支持体のポプラ板と額縁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:34 UTC 版)
「モナ・リザ」の記事における「支持体のポプラ板と額縁」の解説
『モナ・リザ』の支持体となっているポプラ板は、湿度の影響により歪みや反りが生じたことがある。過去に、ポプラ板の歪みによって画面上部にひびが入り、女性像の髪の部分にまでひび割れが及んでしまったことがある。この歪みを矯正するために、18世紀半ばから19世紀初頭にかけて、2点のクルミ材製の固定具が作品の背面に挿し込まれた。ポプラ板の厚みのおよそ3分の1の深さまでこの固定具を挿し込むという、非常に高度な技術が必要とされる作業だったが、この修復は成功し、ひびの状態は安定した。また、1888年から1905年にかけてのいずれかのタイミングで、おそらくは盗難中に上部の固定具が脱落している。さらに、第二次世界大戦中に不適切な保存下に置かれていたために生じた歪みへの対応と、レオナルド生誕500年記念展覧会に出品される準備として、『モナ・リザ』はブナ材の横木がついた、弾力性のあるオークの額縁に収められた。この額縁は、それ以上ポプラ板が歪まないように圧力をかける機能を持っていた。1970年には、ブナ材の横木が虫による食害にあっていることが発見され、横木の素材がカエデ材に交換されている。さらに2004年から2005年に、保存委員会がカエデ材の横木からプラタナス材の横木に交換し、さらに科学的な歪みの測定に基づいて金属製の横木も追加した。 『モナ・リザ』はそれぞれ時代の流行に応じて、様々な額縁に収められてきた。サイズを額縁に合わせるためにポプラ板の端が削られたことはあるが、顔料が塗布された絵画部分には削られた箇所はない。 現在『モナ・リザ』が収められている防弾ガラスのケース内部は厳格な制御がなされており、湿度は50パーセント±10パーセント、温度は18度から21度に保たれている。さらに湿度の変動を防ぐ目的でシリカゲルもケース内に入れられており、相対湿度を55パーセントに保つ一助となっている。
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