戦法の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 03:03 UTC 版)
将棋には様々な戦法があり、さまざま分類法があり、基本はあるが、つきつめてゆくと分類は複雑である。 よくある分類法は、最序盤の局面の進行を、大駒の位置(特に飛車の位置。ついで角の位置や、初期段階で角と角を「交換」するかなど。)に着目していくつかの型(たとえば「居飛車」つまり飛車をもとの位置のままにしておく型、と「振飛車」つまり飛車の位置を左方面に動かす型、など)に大別し、それを「戦型」と呼んだ上で、各戦型ごとに、その戦型で攻撃する側と、その攻撃を受けて防御する側の効果的な指し方「戦法」について分類する方法である(こういう文脈では、限定的な意味で「戦法」という言葉を使う)。 とはいえ、棒銀戦法のように、様々な戦型で効果を発揮する汎用的な「戦法」もある。 また、戦型と戦法(限定的な意味のほう)は相互に複雑に関係しており、必ずしも、大駒の位置で大分類してその下位分類として「戦法」を置けばよいというわけでもない。 たとえば囲いが、大きな意味での戦法、一局全体を決定づけていることもある。例えば穴熊囲いは囲いの一種であり、穴熊囲いを守備に選ぶということがそもそもれっきとした「戦法」である。一方が穴熊囲いを選ぶと残りの駒も決まり攻撃に使える駒が決まり、一方穴熊囲いと対峙する相手の側はその穴熊囲いに翻弄され、結果として盤上のやりとりのほとんどが、その「穴熊囲い」を軸に展開してゆく。 双方が矢倉囲いに組むことは「相矢倉」や「矢倉戦」などと呼ばれる。これなども「囲い」を基準にして「戦い方」を分類している。 なお、将棋では、(穴熊囲いのように)自軍の王の守りをガッチリと固めてあるほど相手に対する攻めも「ガンガン」と激しく行うということになる、自軍の王の守りが中途半端だと相手に対する攻めも中途半端になりがち、という面もあり、つまり(自軍の中ですら)守備と攻撃は相互に影響しあっているので、どんな時でも飛車の位置を基準とした分類(つまり攻撃用の駒の位置を基準とした分類)だけしかしない、というのは必ずしも適切ではない。したがって上級者の心の中では戦法は、実際にはひとつの分類法だけを用いるのではなく、さまざまな角度から、複雑な分類が行われている(ただし、心の中で戦法をどのように分類しているかということ自体が、いわば「情報戦」の一部であるので、上級者は明かさない)。
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