安倍首相の「強制性」否定発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 10:13 UTC 版)
「強制連行」の記事における「安倍首相の「強制性」否定発言」の解説
詳細は「アメリカ合衆国下院121号決議」を参照 安倍晋三が2006年に首相に就任すると、河野談話の見直しに反対する野党やメディアから過去の発言を追及された。 安倍は、河野談話を批判するのに90年代から「強制性」という言葉を用いていたが、首相就任後の会見で「強制の定義が変わった」などと述べたことで、批判を呼んだ。 国会では「狭義の意味においての強制性」はなかったと説明する首相に対し、民主党の小川敏夫が、どういう「強制」があったのかと追及する場面が見られた。 問題は海外にも波及し、韓国の宋旻淳外相が、安倍の「狭義の強制性」発言を「言葉遊び」だと批判した他、欧米のメディアは、首相を「歴史修正主義者」などと批判した。 こうした状況を受け、朝日新聞は「首相には『強制性』について、こだわりがあるようだ」「細かな定義や区別にことさらこだわるのは・・・潔い態度とは言えない」 「強制性を『広義か狭義か』で分けた当初の首相の語り口には、欧米でもメディアを中心に強い批判が起きた」、問われたのは、政治指導者が負の歴史にどう向き合うのかだと苦言を呈した。 一方、産経新聞の石川水穂論説委員は、「広義(狭義)の強制性」は強制連行説が破綻した10年前に朝日新聞などが持ち出したものだと書いた。 安倍首相の一連の発言には、強制連行説に否定的な人々の中からも批判が出た。小林よしのりは、「『狭義の強制はなかった』と発言した時点で、『これは危ない』と思った」といい、秦郁彦は、首相の発言を聞き「誤解か曲解の玉突き現象が起きはしないか」と危倶したという。秦は、安倍の広義・狭義の二分法を、河野洋平や吉見義明のレトリックと見分けがつかないと述べた。 安倍首相の発言が、結果的に米下院の対日非難決議案(121号決議)の採択を後押ししたと指摘されている。
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