大学での納豆と清酒酵母の研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 20:26 UTC 版)
「矢部規矩治」の記事における「大学での納豆と清酒酵母の研究」の解説
矢部は、日本で初めて納豆(納豆菌)を微生物学的に研究したことでも知られる。1894年(明治27年)、納豆から桿状菌1種と小球菌3種を分離したことを『東京化学会誌』に発表した。1894年に『農科大学学術報告』に発表された "On the vegetable cheese, Natto" は、納豆に関する初の英語論文である。 矢部は古在由直のもとで、矢木久太郎らとともに日本酒醸造法の研究にあたった。日本酒の発酵過程については明治10年代以来研究と論争が続けられており、古在は清酒酵母の純粋培養説を唱えていた。1895年(明治28年)、矢部は古在と共同で、日本酒の醪(もろみ)から清酒酵母を分離することに成功。1897年(明治30年)には、清酒酵母の来源が稲藁であることを証明、これらの研究成果を『東京農科大学紀要』に "On the origin of Sake yeast (Sacckaromyces Sake)"の標題で発表した。なお、こうして発見された清酒酵母の学名は Saccharomyces sake であると認識されているが、実は1897年(明治30年)の矢部の論文でも本文中には Saccharomyces sake の名は記載されておらず、1908年(明治41年)の中沢亮治が別種の清酒酵母を発見した論文で用いたのが初出とされる。なお、現代では清酒酵母はいずれも Saockaromyces cerevisiae またはその変種とされている。
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