外洋海軍の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 02:17 UTC 版)
公的な言説では、外洋海軍の能力は戦艦や巡洋艦、航空母艦、原子力潜水艦といった象徴的かつ重要な艦艇の運用と同一視される。例えば、オーストラリア海軍が「メルボルン」を交替すべきかどうかという1970年代の議論の中で、元海軍長官はオーストラリアがその最後の空母を交替しなければ、「もはや外洋海軍を擁することはなくなるだろう」 と述べた。結局オーストラリアは新たな空母を購入しなかったが、議会国防顧問だったゲリー・ブラウンは2004年にも、オーストラリア海軍は「効果的な外洋海軍」だと主張することができた。冷戦終結に向けたソ連海軍は、潜水艦やミサイル艦、長距離爆撃機に代わり、最小限の空母を有した外洋海軍のもうひとつの例である。 外洋海軍の能力は、海中、海上、そして空中の脅威からの戦力の防護と持続可能な後方支援を意味し、戦力投射の射程内にて持続的なプレゼンスを可能にする。真の外洋海軍の特徴は、海上での補給遂行能力にあり(replenishment at sea, RAS)、補給艦の就役は海軍の外洋への野心の強い兆候である。しかし、外洋海軍は他国の沿海(英語版)に戦力投射できる一方で、能力の劣る部隊(非対称戦争)からの脅威に晒されやすいままでもある。射程内の戦力維持と兵站には高いコストを要するため、地上配備の航空戦力や地対地ミサイル、通常動力型潜水艦、あるいは高速沿岸攻撃艇(Fast Inshore Attack Craft)のような非対称戦術を用いることで、その展開戦力よりも攻撃上の利点があるかもしれない。この脆弱性の一例は、2000年10月にアデンで起きた米艦コール襲撃事件である。 「外洋海軍」という用語は個々の艦艇の能力と混同してはならない。例えば、地域海軍の艦艇は短時間であれば外洋で運用できる。多くの国は豊富な海軍資産を有しているが、必要とされる持続可能な兵站維持能力に欠けている。それらの中には、ソマリア沖の海賊対策パトロールのような、外洋展開における統合任務部隊に参加しているものもある。
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