境界のある滑らかな多様体に対しての定式化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:37 UTC 版)
「一般化されたストークスの定理」の記事における「境界のある滑らかな多様体に対しての定式化」の解説
Ωを向き付けられた滑らかな境界を持つ n 次元多様体、α を Ω 上のコンパクトな台を持つ滑らかな n 形式とする。 まず、α が単一の向き付けられた座標チャート {U, φ} の領域でコンパクトな台を持つと仮定する。 この場合、Ω 上の α の積分を、αから Rnへの引き戻し(英語版)を介して ∫ Ω α := ∫ φ ( U ) ( φ − 1 ) ∗ α {\displaystyle \int _{\Omega }\alpha :=\int _{\varphi (U)}(\varphi ^{-1})^{*}\alpha } と定義する。 より一般的に Ω 上の α の積分を定義する。{ψi} を(一貫して方向付けられた)座標チャートの局所有限被覆 {Ui, φi} に関連付けられた1の分割とし、積分を ∫ Ω α := ∑ i ∫ U i ψ i α {\displaystyle \int _{\Omega }\alpha :=\sum _{i}\int _{U_{i}}\psi _{i}\alpha } で定義する。ここで総和の各項は上述のように Rn に引き戻すことによって評価される。この量は明確に定義されている。つまり座標チャートの選択や1の分割には依存しない。 一般化されたストークスの定理は次のようになる。 定理 (ストークス・カルタン) ― ω を、滑らかな境界付き n 次元多様体 Ω上の、コンパクトな台を持つ滑らかな (n-1) 形式であるとする。∂Ω を Ω から誘導された向きを持つ Ω の境界とする。 i : ∂ Ω ↪ Ω {\displaystyle i:\partial \Omega \hookrightarrow \Omega } は包含写像とする。このとき、 ∫ Ω d ω = ∫ ∂ Ω i ∗ ω . {\displaystyle \int _{\Omega }\mathrm {d} \omega =\int _{\partial \Omega }i^{*}\omega .} 包含写像による微分形式の引き戻しは単純にその領域への制限: i ∗ ω = ω | ∂ Ω {\displaystyle i^{*}\omega =\omega |_{\partial \Omega }} であるため、通常 ∫ ∂ Ω i ∗ ω {\textstyle \int _{\partial \Omega }i^{*}\omega } は ∫ ∂ Ω ω {\textstyle \int _{\partial \Omega }\omega } と省略される。ここで d は外微分であり、多様体の構造のみを使用して定義される。(n-1) 次元多様体 ∂Ω が境界を持たないことを強調するために右辺は ∮ ∂ Ω ω {\textstyle \oint _{\partial \Omega }\omega } と書かれることもある(この事実はストークスの定理を含意する。これは、与えられた滑らかな n 次元多様体 Ω に対して定理を2回適用すると、任意の (n-2) 形式 ω に対して ∫ ∂ ( ∂ Ω ) ω = ∫ Ω d ( d ω ) = 0 {\textstyle \int _{\partial (\partial \Omega )}\omega =\int _{\Omega }\mathrm {d} (\mathrm {d} \omega )=0} となり、これは ∂(∂Ω) = ∅ を意味するからである)。応用において、右辺は積分法則を定式化するためによく使用され、左辺は等価な微分法則の定式化につながる。 この定理は、Ω がより大きな多様体(多くの場合 Rk)に埋め込まれた、向き付けられた部分多様体の上で ω が定義されている状況でよく使用される。
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