口型(口形)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 05:57 UTC 版)
手話口形(しゅわこうけい)とは、手話表現と共に表出される口の形。文法や話者の感情を示すマーカーとして使われ、手話の語彙の一部となっているものもある。 以下は一例であるが、他の用法も多く存在しており、その全体像を示す詳細な記述はいまだ発表されていない。 Po(ポ) -「うまく」副詞的な情報を示す。「成功する」という手話表現と共起することも多い。その他の用法もあり、例えば「一体なぜ」という手話表現では必須の口型である。 Pa(パ) - 完了アスペクト・「突然〜」副詞的な情報を示す Pa++(パパパパ) -「たくさん〜」副詞的な情報を示す U (ウ) -「〜する」現在形の一部の動詞とともに出現することがある(日本手話には時制表現はみられない) Ta(タ) -「〜した」特定の手話表現とともに、過去完了の相 (言語学)相(言語学)マーカーとして現れる nm(ンm) -「(顔全体のゆるみとともに)問題なく」「(顔に力を入れて)一生懸命」(副詞的なマーカー) 1. Po(ポ)の一例。日本語訳「うまく見えた」-「見る」と同時に口形「Po(ポ)」があらわれる。 2. Pa(パ)の一例。日本語訳「見た!」-「見る」と同時に完了相の口形「Pa(パ)」があらわれる。文脈によって「見た!」「突然,見えた!」と訳される。 3,Pa++(パパパパ)の一例。日本語訳「たくさん見(え)た」-「見る」と同時に口形「Pa++(パパパパ)」があらわれる。この口形には「連続して〜」という意味があり、この時には口形と共に手話も小刻みな動きで連続して表される。同じ表現が日本語訳「もう見た見た」という意味で使われることもある。 4,U (ウ)の一例。日本語訳「見る」。「見る」と同時に口形「U (ウ)」があらわれる。一部の動詞と共起するが、必須ではない。(音声)日本語からの影響がうかがえるが、この口型の用法の詳細は明らかではない。 5,Ta(タ)の一例。日本語訳「見た」。「見る」と同時に口形「Ta(タ)」があらわれる。この口形には過去完了相のマーカーの働きがあり,よって「見た」という訳となる。 6,nm(ンm)の一例。日本語訳「問題なく見る」。「見る」と同時に口形「nm(ンm)」があらわれる。この口形には「なんら問題なく〜する」という意味があり,よって「問題なく見えた」,「簡単に見えた」という意味となる。この口形「 n m 」は「んむ」と発音されるというより,単に「ンm」といった「口の形になる」という意味である。口形だけで意味が決まるわけではなく、前に述べたように、顔に力を入れると「一生懸命」という意味になる。 「日本語対応手話」では、上記のようなタイプの口型の代わりに(多くの場合)日本語の通りに口を動かしながら手話表現が補足的に用いられる。
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