刑事訴訟法第255条
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 01:17 UTC 版)
刑事訴訟法第255条は、犯人が国外にいる場合、または逃げ隠れしているために公訴を提起して起訴状の謄本を送達できなかった場合、この期間は時効が停止する旨を定めている。ちなみに、「国外にいる場合」とは、逃げ隠れしている場合と異なり、公訴提起があったかどうか、起訴状の謄本の送達ができなかったかどうかには関わりがない(最高裁S37.9.18刑集16-9-1386白山丸事件)、また、一時的な海外渡航による場合であっても停止される(平成21年10月20日 最高裁判所第一小法廷 決定)。なお、起訴状の謄本の送達については第271条を参照のこと。 被疑者が国外にいる場合または犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達もしくは略式命令の告知ができなかった場合は、国外にいる期間又は逃げ隠れている期間について公訴時効を停止する(刑事訴訟法第255条)。この条文の事実上の運用としては国外逃亡中の公訴時効停止が殆どである。例としてよど号グループ(小西隆裕・魚本公博・若林盛亮・赤木志郎)が挙げられる。高知市内の女性から計約3300万円をだまし取った不動産業者に関する詐欺罪の刑事裁判では海外渡航を56回繰り返して通算日数で324日にわたって海外にいたことについて2009年10月20日に最高裁は「犯人が国外にいる間は、それが一時的な海外渡航による場合であっても、公訴時効はその進行を停止する」との判決を下している。
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