分福茶釜とは? わかりやすく解説

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ぶんぶく‐ちゃがま【文福茶釜/分福茶釜】

読み方:ぶんぶくちゃがま

【一】《「ぶんぶく」は沸き立つ音を擬して、それに当て字したもの群馬県館林市茂林寺に伝わる茶釜伝説では、守という老僧愛用していた茶釜が、くんでもくんでも湯がなくならないので不思議がられていたが、住持によって、守(たぬき)の化身であることを見破られ、守は寺を去ったという。

【二】ブンブクチャガマ科のウニ。海の砂泥底にすむ。殻は心臓形平たく長径7センチくらいで、表面獣毛のような茶色のとげが密生する本州中部以南分布


分福茶釜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/14 04:43 UTC 版)

分福茶釜(ぶんぶくちゃがま、ぶんぷくちゃがま)は、日本中で語り継がれている、タヌキ(あるいはキツネ)が化けた茶釜昔話民話)、あるいはおとぎ話[1]童話[2]文福茶釜とも表記する。


注釈

  1. ^ 茂林寺の縁起類(『甲子夜話』も含む)に記述[3]
  2. ^ 菊岡沾涼『本朝俗諺志』に「水をさせば五七日がほど湧出て..常よりぶんぶくゝゝと沸りける」とある[6]
  3. ^ 巌谷小波は単に「」としているが、明治時代の別の童話本では「囲炉裏」であり[14]、ちりめん本の挿絵などでも囲炉裏として描かれる[15]
  4. ^ 漣山人版では、寺の段では狸だと一切触れられていないが、ジェームス夫人訳では寺の段階で"badger"であると判明している[15]
  5. ^ 開山は応永33年(1426年)とされている[20][21]
  6. ^ 元亀元年(1570年)の会合とされる[22]。軍記物に取り入れられた説明だと天正7年(1579年)[23]か、天正10年(1582年)[24]となっている。
  7. ^ 伝説上、守鶴が寺を去ったとされる年
  8. ^ ただし守鶴が高源寺の住職だったという裏付け史料はない[32]
  9. ^ 高源寺(茂林寺の末寺であるという)は、「二百八十年前」(1500–1540年頃)に「正鶴〔ママ〕」が開いたという村人の言い伝えを、大田南畝も『一話一言』(1779–1820年)で記録する[7][33][32]
  10. ^ 坊主らは四人おり、ぶんぶく、ぶんさい、ふくさい、ふくわん(福庵)という名[35][37]
  11. ^ 「むじな」は清春の画では「狸」と書かれて扇子を持っている。
  12. ^ 図書館記録上ではW3CDTF形式で1700年となっているが、文中に1734年初演の歌舞伎『相生獅子』にふれるので、それ以降の作[40]
  13. ^ 原文では"むじなのすいもの"[41]
  14. ^ やはり狸が僧らに陰嚢をひろげて、掛け布団―のようにおおいかぶせる[43][44]
  15. ^ 英文版ではTypes of Japanese Folktales No. 130 に分類。
  16. ^ また、両話とも報恩譚といえるかどうか。いずれも狐(狸)は頼みを引き受けるが、何かの恩返しか不詳である。よって発端が明確でないパターンとして、「命を助ける」恩が発端・「だます」発端のパターンとも榎本論文では区別している。(表の69番、15番)[57]
  17. ^ 柳田のいう狐遊女型は、関敬吾『日本昔話大成』の「238 狐と博労」と「239 狐遊女」[49][50]の両方を含む。
  18. ^ 『日本昔話大成』「625 三人博労」

出典

  1. ^ 巌谷 1908
  2. ^ a b 志田 1941、244頁
  3. ^ a b c d e 榎本 1994, pp. 138–139.
  4. ^ a b 『文福茶釜』”. Crepe-paper Books and Woodblock prints at the Dawn of Cultural Enlightenment in Japan 文明開化期のちりめん本と浮世絵. 京都外国語大学 (2007年). 2019年6月24日閲覧。
  5. ^ 稲田浩二; 稲田和子『日本昔話ハンドブック』三省堂、2001年、139頁https://books.google.com/books?id=dVAnAQAAIAAJ 
  6. ^ a b 「本朝俗諺志」抜粋、物集, 高見 (1918). "分福茶釜". 広文庫. Vol. 17. 広文庫刊行会. p. 814.
  7. ^ a b 大田南畝増補一話一言巻四十一 狸塚」『蜀山人全集』 5巻、吉川弘文館、1908年、327頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/993340/166 
  8. ^ 大田南畝『一話一言』(1779–1820年)等[7]
  9. ^ 鳥山石燕百鬼夜行拾遺(今昔百鬼拾遺) 3巻』 中、長野屋勘吉、1805年https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2551540/12 
  10. ^ Toriyama, Sekien (2017), Japandemonium Illustrated: The Yokai Encyclopedias of Toriyama Sekien, translated by Hiroko Yoda; Matt Alt, Courier Dover Publications, p. 204, ISBN 978-0-4868-1875-7, https://books.google.com/books?id=oeTtDQAAQBAJ&pg=PA204 
  11. ^ a b 榎本 1994, p. 141.
  12. ^ Myers, Tim (2007). The Furry-legged Teapot. Robert McGuire (画). M. Cavendish Children. ISBN 978-0-7614-5295-9. https://books.google.com/books?id=3-wIAQAAMAAJ 
  13. ^ 読売新聞(英語版): "不朽の名声を得た (immortalized)"。童話作家ティム・マイヤーズの序文による[12]
  14. ^ 村井静馬文福茶釜』小森宗次郎、1876年https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1919641 
  15. ^ a b James 1886.
  16. ^ 巌谷 1908「文福茶釜」, 221–237頁
  17. ^ a b c 野村純一ほか編『昔話・伝説小事典』みずうみ書房、1987年、210頁頁。ISBN 978-4-8380-3108-5 
  18. ^ 志田 1941、242頁
  19. ^ a b c 榎本 1994, p. 140.
  20. ^ 榎本 1994, pp. 135.
  21. ^ もりんじ」『日本歴史大辞典』第18巻、河出書房、1959年https://books.google.com/books?id=tikyAQAAIAAJ 
  22. ^ a b 榎本 1994, pp. 135–136.
  23. ^ a b 真書太閤記 : 重修』 貞之、文事堂、1887年、272–814頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/881343/148 厩橋城寄手難戦の事幷分福茶釜の事」
  24. ^ a b 「太閤真顕記」抜粋、物集, 高見 (1918). "分福茶釜". 広文庫. Vol. 17. 広文庫刊行会. pp. 812–814.
  25. ^ a b 『甲子夜話』[29]志田 1941、245–247頁引用。
  26. ^ 榎本 1994, p. 137.
  27. ^ 館林市史編さん委員会『館林市史 通史編2 近世館林の歴史』館林市、2016年、430頁。 
  28. ^ 榎本 1994, p. 139.
  29. ^ a b 「分福」”. ArtWiki. 立命館大学アート・リサーチセンター. 2019年6月24日閲覧。
  30. ^ 榎本 1994, p. 156.
  31. ^ 中村禎里日本人の動物観: 変身譚の歴史』26号、1984年、20頁https://books.google.com/books?id=Zk3TAAAAMAAJ 
  32. ^ a b c 榎本 1994, p. 136.
  33. ^ 志田 1941、248–249頁
  34. ^ 榎本 1994, pp. 136–137.
  35. ^ a b c 宮尾与男対訳日本昔噺集: 明治期の彩色縮緬絵本』 3巻、彩流社、2009年、239–241頁https://books.google.com/books?id=6j80AQAAIAAJ 
  36. ^ 水谷 1973, p. 47.
  37. ^ a b 稀書複製会 編「文福茶釜」『稀書複製会刊行稀書解説』第5巻、米山堂、61–頁、1934年https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1118606/35 
  38. ^ ぶんぶくちゃがま」『日本歴史大辞典』第8巻、河出書房、432頁、1959年https://books.google.com/books?id=NHYxAQAAIAAJ 
  39. ^ 近藤清春 著、稀書複製会 編『ぶんぶくちやがま』米山堂、1928年https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1192270 (復刻版)
  40. ^ 部矢|2017, pp. 143–144, 150.
  41. ^ a b c ふんふく茶釜』[鱗形屋]、c. 1700https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2541129 
  42. ^ 部矢|2017, p. 153.
  43. ^ 岡本 1989, p. 86.
  44. ^ 部矢 2017, p. 153.
  45. ^ 木村八重子 (2018年). “ふんふく茶釜”. 国立国会図書館. 2019年7月7日閲覧。
  46. ^ 国立国会図書館 国際子ども図書館 (2018年). “ぶんぶく茶釜”. 江戸絵本とジャポニズム. 2019年7月1日閲覧。
  47. ^ 俳諧集『文武具茶釜』(1820年)、榎本 1994, p. 141に拠る。
  48. ^ 志田 1941、262–263頁
  49. ^ a b c 関敬吾237A 237B 文福茶釜」『日本昔話集成. 第2部 第3 (本格昔話)』角川書店、1955年、1081–1091頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9542002 
  50. ^ a b c 関敬吾野村純一、大島広志「237A 237B B文福茶釜」『日本昔話大成〈第11巻〉資料篇』角川書店、1980年、53頁https://books.google.com/books?id=DtMLAQAAIAAJ 
  51. ^ Seki, Keigo (1966), Types of Japanese Folktales, Society for Asian Folklore, pp. 67–68, https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1890/154-9295-10.4.224 
  52. ^ 榎本 1994, p. 153 [(記号)<発端が動物の被害>で<結末が綱渡りで大金>のパターン]は小波版に相当するが"意外に昔話の採録の中に出てこない"。p.156, "綱渡..[は] 意外に昔話の採録の中に出てこない"。
  53. ^ 関, 野村 & 大島 (1978)、『日本昔話大成』第6巻、本格昔話5、113–114頁
  54. ^ a b c 柳田國男文福茶釜」『日本昔話名彙』日本放送出版協会、1971年、131–132頁https://books.google.com/books?id=F6zSAAAAMAAJ 
  55. ^ Yanagita, Kunio (1986). “122. Bumbuku Teakettle”. Yanagita Kunio Guide to the Japanese Folk Tale. translated by Fanny Hagin Mayer. Indiana University Press. p. 127. ISBN 978-0-2533-6812-6. http://nirc.nanzan-u.ac.jp/en/publications/afm/afm9/  (英語)
  56. ^ 小笠原謙吉 著「一九 化げ茶釜」、柳田國男 編『紫波郡昔話集』三省堂、1942年、42–43頁。doi:10.11501/1873131https://books.google.com/books?id=3-wIAQAAMAAJ4 
  57. ^ 榎本 1994, pp. 145, 142; 記号解説 p. 149
  58. ^ a b Yanagita & Mayer (1986), pp. 127–128.
  59. ^ 柳田 1971、132, 180頁。
  60. ^ 関, 野村 & 大島 (1978), 『日本昔話大成〈第2巻〉本格昔話 一』、5頁。
  61. ^ 榎本 1994, pp. 141、表2 pp. 142–148、記号と分布図 p.149。


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分福茶釜(ぶんぶくちゃがま)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/04 03:34 UTC 版)

東方鈴奈庵 〜 Forbidden Scrollery.」の記事における「分福茶釜(ぶんぶくちゃがま)」の解説

読み切り妖怪おとぎ話」にて、マミゾウが鈴奈庵買い取ってもらおう持ってきた絵本

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