冬捕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/27 06:17 UTC 版)
査干湖は冬に湖に穴を開け、網を使って魚を取る伝統漁「冬捕」が行われることでも有名である。 冬捕は湖付近にある西山外村の村民によって行われる漁の中で最も重要な漁である。この漁は、当日に氷上で漁を行う約60人の漁師を含め、村人全員が何かしらの役割を分担して作業を行う。村の漁師たちはカメを河の神の化身として崇めているため、冬捕を行う前に村から20 km離れた「河神廟」と呼ばれる祠へ馬車で向かい、儀式を行う。この儀式は、祠の前に紙を広げた後に殺したニワトリや蒸し饅頭、黄酒等を載せて神に供え、漁師は神に向かって3回礼を行い、安全と大漁を祈願するという儀式である。 冬捕当日に漁師は午前2時に起床し、午前3時頃に村を出発する。その後、「漁撈長」と呼ばれる、熟練の漁師が夏から冬までの間、湖氷の具合などの変化を観察して決定した場所に向かう。到着すると漁撈長が氷の下でどのように網を移動させるかを決め、漁師全員で道具の準備を開始する。その後、決めた経路に従うように氷に100以上の穴を開ける。「入網口」は8人がかりで穴を開け、そこから網を左右に広がるように入れ、それぞれ2人がかりで網が出網口から引き上げることが出来るように網を移動させる。 漁で使われる網は、イチビの繊維で作られており、1枚20 mの網48枚で構成されている。秋に漁師がイチビの茎を刈り、水に浸けて汚れを除去し、茎を柔らかくする。その後、村の女性と老人が繊維に加工し、禁漁期の間に1世帯毎に2、3か月かけて1枚の網を編んでいる。最後に漁撈長や縄の職人が各世帯から網を集め、出来を確認しながら、1枚の網を作っている。昔はこの網をブタの血に浸けて煮沸しており、網が赤く染まり丈夫になっていた。これは、この地域では一度の網で多くの魚を捕らえることを「紅網」と呼んでおり、網を赤く染めて験担ぎを行っていたためである。 網を引き上げる際には、4、5頭の馬を利用して、漁撈長の合図を基に旗で指示しながら、2 m四方の出網口から引き上げる。網が引き上がり、魚が氷上に出てきた時点で競りが開始される。このとき最初に上がった魚は幸運を呼ぶと信じられており、他の魚よりも高値で競売にかけられる。 2002年以降、県は文化継承を目的として毎年「査干湖氷雪捕魚節(查干湖冰雪捕鱼节)」という祭りを開催している。
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