他の諸作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 10:18 UTC 版)
「キュクロープス (ルドン)」の記事における「他の諸作品」の解説
キュクロープス・ポリュペーモスは、ルドンの作品を彩った最初の神話上の生き物ではなかった。 ケンタウロス、ペガサス、サテュロス、セイレーン、そしてヒトの頭をした蜘蛛でさえもまた、彼の絵とデッサンにしばしば現われている。 1883年になされた8点の石版画の連作『起源集』(英語:The Origins)において、ルドンは、連作における第3番として知られる別のキュクロープスを描いている。これはスタイルにおいて、より大きな油彩のキュクロープスとかなりの類似性が見られる。いずれも目が大きく、もしその表現の繊細さが無かったならば、威嚇されるような印象があったであろう。第3番のキュクロープスは、空をじっと見上げながら、無邪気に微笑している。 背景ははっきりしないが、戸外のようだ。 「岸辺にぶかっこうなポリプが浮かんでいた、微笑している醜いキュクロープスのようなものが。」 キュクロープスは、通常は嫌悪と恐怖を与えるものとされるが、ルドンのそれは見る者の心に恐怖心を与えようとしていない。 連作における残りの挿絵と同じように、リトグラフのキュクロープスは、その顔は本来醜いのかもしれないが、その醜さは油彩のものと同じ優しい筆致の下に隠されている。 「ルドンの全経歴は、自然界におさまらない何かを描く途を見つけることにあった。彼が描く怪物は、彼の芸術家としての足跡の特異性を図らずも象徴している:芸術は、怪物そのもののように、ヒトとヒトでないもの、醜いものと美しいものを区別しようとする心の陥穽を、我々に気付かせてくれる。」
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