五神名地神塔
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 05:54 UTC 版)
五角柱や六角柱に「埴安媛命 倉稲魂命 大己貴命 天照大神 少彦名命」の五神名を刻む。徳島県と、江戸時代には徳島藩に属していた淡路島(兵庫県)のほか、香川県の東讃地方と岡山県にも多い。 徳島県の神社において、「大山祇命」「句句廼馳命」「罔象女命」の三神名を刻む三神塔が五神名地神塔に隣接して造立される事例が徳島市で6件、北島町で1件確認されており、山神、木神、水神をあわせて祀ることによって地神塔の農業五神を補強する意図があったと推測されている。阿南市には、八角柱に五神名と「水神」「山神」「木神」を刻む八角柱=八神号型の塔が2基あり、三神塔の併立との関連が示唆される。 岡山県では、自然石に「地神」などと刻まれた文字塔が中北部に分布し、五神名地神塔は南部に分布する。ただし分布域は重なり、明確に線引きできる訳ではない。岡山県で最古の五神名地神塔は1787年(天明7年)銘であり、その塔が存在する吉備中央町には、自然石の地神塔が多い。 関東地方では神奈川県、埼玉県、千葉県などに散在する。地域的な片寄りが少なく共通の基準に従って造立されていることから、各地域とも『春秋社日醮儀』を直接参考にしたと考えられている。 北海道網走市には、倉稲魂命の代わりに「豊受大神」を刻むもの、天照大神の代わりに「大地主命」を刻むものが存在する。これらを含め、北海道の地神塔造立には徳島県の影響が指摘されている。 神名の変異は各地で見られ、天照大神が「天照太神」「天照大神宮」「天照皇大神」「天照皇太神」「大土御祖神」と刻まれたり、倉稲魂命などの「命」が「神」になる例がある。
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