主流派経済学における政治経済学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/10 01:37 UTC 版)
「政治経済学」の記事における「主流派経済学における政治経済学」の解説
主流派経済学における政治経済学は、社会選択理論やゲーム理論といった数理的手法および計量経済学の統計的手法によって、経済政策や経済的パフォーマンス等を政治制度や政治的アクターの行動等によって説明しようとする研究分野である。社会選択理論は、投票制度をはじめとする制度の記述とそのパフォーマンスの (公理的) 分析のために有用である。ゲーム理論は複数のアクターの行動が互いの利得に影響しあう戦略的状況の分析に有用であり、個々の主体のインセンティブを考慮したうえで,行動の帰結を予測するために用いられる。英語では、political economicsと呼ばれることもある。次の3つの源流がある。 実証政治理論:主体の行動に合理性を仮定して、投票制度などを社会選択理論などを用いて分析する政治学の分野である。社会選択理論やゲーム理論といった数理的手法の厳密な適用が特徴である。社会選択理論とゲーム理論は補完的に用いられることが少なくない。たとえば投票ルールを分析するために、まず社会選択理論的手法で (選好から帰結への対応として) ルールを記述し、次にそのルールのもとでのひとびとの行動をゲーム理論の概念である均衡によって予測する、という具合である。ローチェスター学派によって主導されてきた。ウィリアム・ライカー、ダンカン・ブラック、アンソニー・ダウンズが代表的研究者である。 公共選択論:政治的要因が財政、貿易政策、規制などに与える影響をゲーム論などを用いて分析する経済学の分野である。実証政治理論に比べて、 公共選択論は、ミクロ経済学やゲーム理論をやや軽めに用いることが多かった。たとえば個人レベルの選好やコストまでに溯ることなしに、意思決定その他のコストやアクターの合理性にアドホックな仮定 (獲得予算最大化など) を置くこともあった。ヴァージニア学派によって主導されてきた。ジェームズ・ブキャナン、ゴードン・タロック、マンサー・オルソンが代表的な研究者である。 マクロ経済政策に関する理論的研究:合理的期待仮説を前提に、マクロ経済政策の有効性について研究する経済学の分野である。特に、動的不整合性に着目する。淡水派によって主導されてきた。ロバート・ルーカス、エドワード・プレスコット、フィン・キドランドが代表的研究者である。
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