あげち‐れい【上知令】
上知令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/13 00:57 UTC 版)
上知令(あげちれい、じょうちれい)は、江戸幕府や藩による知行召し上げ命令(収公令)。1870年代には明治政府によっても土地没収命令が出された。上地令と表記する場合もある。天保の改革(1841年-1843年)において水野忠邦が発令したものが有名である。
注釈
- ^ 近藤重蔵は、琉球支配を認めた薩摩藩への朱印状とは異なり、幕府が松前藩に発給した朱印状・黒印状には蝦夷地の領有を認めたものは全くないので蝦夷地公領化は充分に法的根拠を有していると主張した[3]。
- ^ 松前氏には、陸奥国伊達郡および出羽国村山郡に代替となる知行地が与えられた[6]。
- ^ 1842年(天保13年)6月にはオランダ商館長がイギリス軍艦の来日計画を報じている[8]。それに対し、幕府は同年7月、異国船打払令を止め薪水食料の給与を許した[9]。12月、幕府は伊豆国下田奉行所を復活、武蔵国羽田奉行所を新設した[9]。1843年5月、ロシア船が漂流民を護送し、択捉島に来航している。またこの年の10月には、イギリス軍艦が琉球王国八重山列島の測量をおこなっていた。
- ^ ことに江戸は、必要物資の大半を大坂や奥羽などからの供給に頼る、大人口をかかえる政治都市だったために、江戸への海上輸送が途絶えれば大量の餓死者さえ生じうる危険をかかえていた[9]。水野によって進められた印旛沼工事は、したがって、単に新田開発のための干拓というにとどまらず、銚子から江戸への物資輸送水路の整備という意味合いを持っていた[9]。しかし、天保の改革の挫折により、4度目となった印旛沼の工事もついに中断されたのだった[9]。
- ^ 作家の藤沢周平は、上知令は水野忠邦にとって改革の総仕上げであると述べている[13]。なお、藤沢は、その目的の第一を「窮迫する幕府財政の補強」、第二を「幕領、私領の年貢収公率の平均化」、第三を「上げ知した土地を窮迫化してきた海防の基地とする」ことだとしている[13]。
出典
- ^ a b c 木村(1998)pp.32-39
- ^ 井上(2009)pp.116-119
- ^ a b c 桑原(1994)pp.202-205
- ^ 新城(1979)pp.85-86
- ^ 桑原(1994)pp.212-213
- ^ a b c 桑原(1994)pp.213-216
- ^ 桑原(1994)pp.217-220
- ^ 井上(2009)pp.142-144
- ^ a b c d e f 井上(2009)pp.144-147
- ^ a b c d 大口(1989)pp.53-54
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 井上(2009)pp.147-149
- ^ a b c d e f g 岡本(1979)p.575
- ^ a b 『藤沢周平全集 第18巻』(1993)p.520-521
- ^ a b c d e f 大口(1989)pp.54-55
- ^ a b c d e 桑原(1994)pp.223-226
- ^ a b 桑原(1994)pp.220-223
- ^ 島田(1984)p.386
上知令(上地令)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 02:57 UTC 版)
上知令を出して江戸や大阪の周囲の大名・旗本の領地を幕府の直轄地とし、地方に分散していた直轄地を集中させようとした。これによって幕府の行政機構を強化するとともに、江戸・大阪周囲の治安の維持を図ろうとした。大名や旗本が大反対したため、上知令は実施されることなく終わった。
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上知令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 00:56 UTC 版)
利益の大きい産業のある藩領を幕府領に編入するべく上地を命じようとした。 秋田藩領 阿仁銅山宝暦14年(1764年)貿易用の銅の直接確保のために5月に上知令を出したが、秋田藩の反発が激しく翌月撤回。 尼崎藩領 摂津・西宮明和6年(1769年) 灯油の原料である菜種の生産地域1万4千石の村と都市を代替地と引き換えで上地を命じた。 蝦夷地松前藩から蝦夷地そのものを上地しようとしたが田沼失脚とともに頓挫した。
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