三位一体の改革と義務教育費国庫負担制度
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「義務教育費国庫負担」の記事における「三位一体の改革と義務教育費国庫負担制度」の解説
小泉政権下で推進された三位一体の改革においては、国庫負担金の中でももっとも金額の大きい義務教育費国庫負担制度の存廃が大きな問題となった。 2005年(平成17年)には中央教育審議会(中教審)で議論が行われ、議論は、国庫負担制度の堅持を主張する者、財源を地方に移譲した上での一般財源化を主張する者、中立の者にわかれた。とりわけ、地方六団体から推薦された委員は、審議の最後まで、国庫負担金を一般財源化すべきと主張したが、ほかの委員の理解を得るに至らなかった。国庫負担制度の維持を主張する側は、財源が地方に移譲された上で一般財源化された場合、それまで義務教育費に用いられていた財源がそれ以外の用途に転用される可能性があり、結果的に教育費の縮小を招き、義務教育の地域格差が発生するおそれがあると指摘した。一方、財源の地方移譲を主張する側は、「財源が自前のものになれば、地方自治体の当事者意識が高まり、意欲的に教育改革に取り組む姿勢が芽生える」との論を展開した。これに対しては文部科学省から、現状でも教員配置や学級編成、教員加配などの詳細は大半が都道府県の裁量に任されており、制度を変える必要性が無いとの反論がなされた。中教審は平成17年10月26日の総会で「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」を決定。「現行の負担率1/2の国庫負担制度は優れた保障方法であり、今後も維持されるべきである。その上で、地方の裁量を拡大するための総額裁量制の一層の改善を求めたい」と結論づけた。 最終的に、同制度は廃止ではなく、国庫負担率の引き下げ(1/2→1/3)で決着した。
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