ルーシ語
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ルーシ語[1][2](ルーシご; руский языкъ, проста мова)は、インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派東スラヴ語群の言語の一つである。14世紀から18世紀にかけて今日のウクライナやベラルーシにあたる地域におけるルーシ人、およびモルダヴィアの正教徒が用いた文語である。ウクライナ語やベラルーシ語の祖語であり、今日では死語となっている。外名でルテニア語(英語: Ruthenian language; ドイツ語: Ruthenische Sprache)あるいはロシア語と呼ばれることもあるが(本文参照)、それぞれ別の言語と紛らわしい[注 1]。
- ^ しばしばルテニア語と呼ばれるルシン語やパンノニア・ルシン語、それにロシア語。
- ^ 別名、古大ロシア語(Старовеликору́сский язы́к)
- ^ または古白ルーシ語(こはくルーシご)、古白ロシア語。これはたんに翻訳の仕方が違うだけであり、「ベラルーシ」は「白ルーシ」、すなわち「白ロシア」という意味である。
- ^ または西ルーシ文語。ロシア語に限っては、「ルーシの」という形容詞と「ロシアの」という形容詞に区別がないため、どちらで翻訳すべきか場合によって判断される。従って、仮にロシア語でも「ルーシ語」を指して Русский язык と書けば同時に「ロシア語」という意味になってしまい、今日のロシア語(Русский язык)とウクライナ語・ベラルーシ語の祖語であるルーシ語との区別がつかなくなるため、そのようには書かない。
- ^ ウクライナ文学やベラルーシ文学に関する同種の解説書は存在しないため、ロシア文学のみについて言及する。
- ^ 今日のロシア語。
- ^ チャールズ・J・ハルパリン 著、中村正己 訳『ロシアとモンゴル……中世ロシアへのモンゴルの衝撃』図書新聞、東京、2008年、257頁。ISBN 978-4-88611-4198。
- ^ 「ルーシ語」という単語については中井和夫『ウクライナ語入門』大学書林、東京、1991年(初版)/1993年(第2版)、157頁。ISBN 4-475-01797-1。にも見られるが、用法が異なる。すなわち、同書ではキエフ・ルーシ時代のいわゆる「古ルーシ語」について「東スラヴ語(ルーシ語)」としている。
- ^ 中井和夫『ウクライナ語入門』大学書林、東京、2007年、159頁。ISBN 4-475-01797-1。"1321年、ウクライナ地方の大部分はリトアニア領となった。<中略>リトアニアの当時の公式の言語は西部ルーシ語(古代ベロルシア語と教会スラヴ語の混合したもの)だった。"。
- ^ 和田春樹 編『ロシア史』山川出版社、東京〈世界各国史; 22〉、2002年。ISBN 978-4634415201。
- 中井和夫『ウクライナ語入門』大学書林、東京、2007年、160頁。ISBN 4-475-01797-1。"1626年<中略>当時のウクライナ文語自体は、ウクライナ語、ベロルシア語、ポーランド語、教会スラヴ語の要素の混合した、後に「ヤジーチエ」と呼ばれるものにとどまっていた。"。
- ^ イェジ・ルコフスキ、フベルト・ザヴァツキ 著、河野肇 訳『ポーランドの歴史』創土社、東京〈ケンブリッジ版世界各国史〉、2007年。ISBN 978-4789300537。
- ^ a b 山口巌『中世ロシア文法史』名古屋大学出版会、愛知、1991年。
- ^ 江川卓ほか 著、ロシア手帖の会 編『ロシア文学への招待』三省堂、東京、1978年。ISBN 978-4385430546。
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