メートル法の先駆者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 09:00 UTC 版)
十進法は、接頭語を付けて分量・倍量を表すメートル法では必須の部分である。これにより計算が簡素化される。インド人は数学的な計算のために十進法を使用したが、日常の目的のために十進法の使用を最初に主張した人物はシモン・ステヴィンであり、1585年の著書『十進法』(La Thiende)によってであった。彼の小数の表記法は使いづらいものであったが、後に小数点の導入によって克服された。小数点は、バルトロメオ・ピティスクス(英語版)が書いたとされる『三角法』(1595年)で最初に使われたものである。 1668年に刊行された『真性の文字と哲学的言語にむけての試論』(An Essay towards a Real Character and a Philosophical Language)で、ジョン・ウィルキンス(英語版)は、メートル法のコンセプトに非常に近い単位系を提案している。彼は、秒を時間の基本単位とし、最下点を1秒ごとに通過する(つまり周期が2秒の)振り子の長さを長さの基本単位とすることを提案した。彼が「スタンダード」(standard)と命名したこの長さの単位は、今日の単位では994 mmになる。また、立方スタンダードの枡に入れた蒸留した雨水の質量を質量の単位とし、これを「ハンドレッド」(hundred)と呼んだ。十の冪数で基本単位を作るために彼が提案した名前は、その当時使われていた単位の名前であった。 1670年、ガブリエル・ムートンは、ウィルキンスの提案と実質的に同様な提案を出版した。ウィルキンスとの差は、長さの単位を緯度の1分の円弧の1/1000(約1.852 m)としたことである。彼はこの単位をvirgaと呼ぶことを提案した。そして、それまでの単位のように倍量・分量に別々の名前を付けるのではなく、後にメートル法で採用されるような接頭語を付けた一連の名前を提案した。 1790年に、トーマス・ジェファーソンは、貨幣と度量衡に十進法を採用することを提案した報告書(英語版)を連邦議会に提出した。報告書では、長さの基本単位「フィート」を、周期2秒の振り子の長さの3/10または1/3とすることを提案している。この「周期2秒の振り子の長さ」とは、1世紀以上前にウィルキンスが提案した「スタンダード」のことである。これは11.755インチ(29.8cm)または13.06インチ(33.1cm)に等しい。ウィルキンスと同様、十の冪数による倍量・分量の単位には、その当時使われていた単位の名前がつけられた。この時代の測地学への大きな関心と、発展した測定システムのアイデアは、どのようにアメリカ大陸が調査され区分されるかに影響した。新しい単位系のためのジェファーソンの完全なビジョンは、ガンター氏チェーンと伝統的なエーカーが使用されることによって幕を閉じた。
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