マクロライド系抗菌薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/06 17:43 UTC 版)
マクロライド系抗菌薬(マクロライドけいこうきんやく)とは、マクロライドの定義に従った構造を有した、抗菌薬として用いられる薬物群の総称である。
注釈
- ^ ただし、15員環のアジスロマイシンは、14員環に窒素を人工的に導入して開発された経緯からアザライド(azalide)に分類する場合もある。
- ^ 通常はクラジノースかデソサミンが結合している。
- ^ 抗生物質と抗菌薬は、厳密には異なる。抗生物質とは、人工合成の化合物ではなく、微生物が産生する天然物であり、他の微生物の発育を妨げる化合物群である。参考までに、抗生物質に当たる化合物群を、医薬品の分類で見ると、抗菌薬、抗真菌薬、抗ガン剤などに跨る。これに対して、抗菌薬とは、天然物・半合成・人工合成に関わらず、細菌に対して毒性を有しており、細菌の活動を抑えたり、細菌を殺す化合物群である。したがって、それぞれの化合物群の集合は、必要条件も充分条件も満たさず、イコールで結べない。
- ^ リボソームでタンパク質を合成するためにアミノ酸を運んできたtRNAが、リボソーム上で合成されつつあるタンパク質と一時的に結合した、ペプチジルtRNAが合成される反応
- ^ ただし、古細菌ドメインのリボソームも阻害されないため、古細菌には無効である。他に、真核生物である、真菌のリボソームも阻害されないため、真菌にも無効である。また、そもそも感染した生物の細胞が有するリボソームを乗っ取って利用するウィルスなどにも無効である。
- ^ 徐放製剤とは、消化管内で薬物を時間をかけて錠剤などから溶出させる方法で、その薬物が長時間にわたって消化管内へと供給されるようにデザインされた製剤である。このため、その薬物が腸管の広い範囲で吸収可能な薬物であった場合には、次々と体内へと吸収されて、体内への薬物の供給が続く。これにより、先に体内へと吸収された薬物が、代謝によって失活したり、排泄によって消失したりしても、新たに薬物が吸収されてくるので、結果として、長時間にわたって薬物が作用する。マクロライド系抗菌薬の徐放製剤の例として、日本では認可されていないものの、クラリスロマイシンに、そのような製剤が開発された。
- ^ グラム陽性菌とは、細菌に対してグラム染色を行った際に、染まる細菌を指す。対義語はグラム陰性菌である。
- ^ 真核生物の細胞内に入り込み易いという、マクロライド系抗菌薬と同様な長所を持つテトラサイクリンは、カルシウムとの複合体を形成し易い。このため、特に成長期にテトラサイクリンを投与すると、骨や歯の形成に対する悪影響を与える。また、歯の形成中にテトラサイクリンを投与すると、歯牙黄染と呼ばれる特徴的な副作用も出る。このため、テトラサイクリンは、殊に妊婦や乳幼児に対しては、可能な限り使用しない事が求められる。
- ^ キタサマイシンは、ロイコマイシン類混合物なので、このように「LM」の略称が使用される。ただし、キタサマイシンは全てのロイコマイシン類を含有しているわけではない。
出典
- ^ a b c d 微生物薬品化学 2003, p. 215.
- ^ 微生物薬品化学 2003, p. 141.
- ^ 微生物薬品化学 2003, p. 177,222.
- ^ 微生物薬品化学 2003, p. 179.
- ^ 微生物薬品化学 2003, p. 51.
- ^ 重信 弘毅・石井 邦雄(編集)『パートナー薬理学』 p.310 南江堂 2007年4月15日発行 ISBN 978-4-524-40223-6
- ^ 微生物薬品化学 2003, p. 188.
- ^ 一部の抗生物質とカルシウム拮抗薬の併用は低血圧をもたらす いきいき健康 NIKKEI NET:閲覧 2011.2.21
- ^ Those taking calcium channel blockers showed raised risk for dangerously low blood pressure Canadian Medical Association Journal(CMAJ)
- ^ Methymycin (CID:5282034)
- ^ Neomethymycin (CID:5282033)
- 1 マクロライド系抗菌薬とは
- 2 マクロライド系抗菌薬の概要
- 3 薬理作用
- 4 問題点
- 5 種類
- 6 使用例
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