パートナーシップ法と日本の内縁関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 22:55 UTC 版)
「日本における同性結婚」の記事における「パートナーシップ法と日本の内縁関係」の解説
一方で、パートナーシップ法(シビル・ユニオン)などで、夫婦と同一の権限を同性のカップルにも認める法律を制定し、夫婦としてでなく家族として籍の登録を認めることが同性婚の代替として提案されている。この点で日本は戦前は結婚に親の承諾が必要であったため、駆け落ちなどで結婚をせずに内縁関係の「夫婦」となるケースが多かったため、戦前から、内縁関係の夫婦にも正式に結婚した夫婦に近い権利を与える判例が多かった。 また近年、異性間の婚姻届を出さない「事実婚」カップルでも、住民票に「妻(未届け)」などと記載すれば、事実上の婚姻関係が証明されるようになりつつある。 「事実婚」も参照 この延長で、同性カップルを男女の内縁関係に類似した事実婚とみなし、ある程度は法律が保護するような判断を下した判決や、日本に長年に渡る日本人の同性パートナーがいることを理由として国外退去命令が取り消された例もあり、日本でも、同性カップルの権利が法的に全く無視されているとも言い切れないところもある。そのため、日本の場合、既に認められている権利と認められていない権利の基準があいまいで、司法関係者や行政の窓口の担当者によって判断が違う。同性愛者のカップル自身が、どこまで法的な保護をあてにできるのか、はっきりと分からないところが最大の問題であると指摘する声もある。 また、以下のような判決もある。同性パートナーが死去した後、相手の親族に火葬への立ち合いを拒否された上、共同経営していた会社も廃業させられたとして、相手の親族に対し慰謝料などを求める訴訟が大阪地方裁判所に起こされたが、同地裁は2020年に判決で「親族は、男性が事務所の従業員だと思い、夫婦と同様の関係とは認識していなかった」と述べ、不法行為はなされていなかったとの判断を示して訴えを退けている。 2021年3月19日、同性カップル間でも内縁関係が成立するとの司法判断が最高裁で確定した。 異性と結婚(1960年代半ば頃まで) 1965年(昭和40年)頃までの日本の同性愛者は、明治期以降の家制度にならい、家(いえ)を継承する跡継ぎを設けるために、あるいは世間体を繕うために、同性愛者であっても異性と結婚することが多かった(後述)。地方によっては、夫が自分に関心がない事実を知っていても、妻が忍耐するのが常識であった。 代替制度としての養子縁組 江戸時代頃まで 日本では同性愛の関係が「衆道」といって、年長者と年少者の擬似的な親子関係とみなされ得るものもあったことや、養子関係といっても、1日でも誕生日が違えば養子縁組が可能なことから、ごく最近まで同性愛者間のパートナーシップは、戸籍上は養子縁組の形で登録されてきたという事情もある(詳細「同性結婚#同性結婚の前史参照」。 しかし遺産相続権をめぐって同性愛の関係であることを理由に、片方の親族から養子縁組関係の無効を要求する訴訟を起こされるようなケースが想定される[要出典]。よって、実務的な観点からはパートナーシップ法(シビル・ユニオン)などの明確な立法化が望ましいとされる。
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