ド・グレン式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 10:22 UTC 版)
フランスの鉄道で長く親しまれた方式は4シリンダー複式のド・グレン式 (De Glehn) である。原型機はアルザス機械製造会社 (Société Alsacienne de Constructions Mécaniques:SACM) の技術者であるアルフレッド・ド・グレン (Alfred de Glehn) によって設計された2-2-2-0であった。この機関車は4シリンダー構成で、動輪は連結されておらず、表面的にはウェッブ式に似ているように思われるが、内側の高圧シリンダーが前側車輪を駆動し、外側の低圧シリンダーが後側車輪を駆動するという点が異なる。1891年には外側高圧・内側低圧にシリンダー配置を入れ替えた2種類の量産機関車が運転を開始した。このうちの一方は当初は原型と同様に動輪を連結していなかったが、連結したものより劣っていることが分かった。 ド・グレン式は様々な車軸配置でフランス国内および国外向けにフランスで多くの量産がなされた一方で、ドイツやベルギーで生産されたものもあった。多くの機関車は長く用いられた。車軸配置4-6-0の230D型機関車は1909年に導入され、クレイユに配置されて1960年代末までパリ北駅でも見ることができた。 4-4-2の形式の3両がイギリスのグレート・ウェスタン鉄道によって購入された。1両は1903年に、これよりわずかに大きな2両が1905年に、技師長のジョージ・チャーチウォード (George Jackson Churchward) によって比較試験のために導入され、彼自身の設計による単式2シリンダー機(2900形:セイント級)と比較された。さらにド・グレン複式と比較のために、4シリンダー単式4-4-2のNo.40(North Star)が特別に製造された。これらの試験の結果としてフランスの流儀の多くの部品がグレート・ウェスタン鉄道に採用されたものの、No.40の量産型となる4000形では単式4シリンダー構成が採用され、ド・グレン式は採用されなかった。
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