セミラミス
セミラミス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/15 23:57 UTC 版)
セミラミス(Semiramis、アラム語: Shamiramシャミーラム)は、紀元前800年頃[1]のアッシリアの伝説上の女王。モデルは紀元前9世紀アッシリアの王シャムシ・アダド5世の王妃でその子アダド・ニラリ3世の摂政を務めたサンムラマートで、ギリシャに渡ってセミラミスとなった。[2][注 1][注 2]
注釈
- ^ 『ディオドロス「神代地誌」』訳注p32。歴史上、サンムラマートが一時的に息子にかわって摂政を勤めたことと、イシュタル女神のイメージが重ね合わさったことによって、ギリシャ・ローマ世界において伝説的な女王像が出来た、としている。
- ^ 『ヘロドトス 歴史 上』P474。セミラミスの名はしばしば女神イシュタルと同一視される。またイシュタルはギリシャのアフロディーテにあたる女神。
- ^ エウセビオス『年代記』が引用する歴史家のセファリオンの書によると、在位42年で息子のニニュアスに殺されたとある。
- ^ いわゆる九偉人に対して、その女性版となる「九人の女傑」は時代により異なる。伊藤氏の「髪を梳く女傑」によると、騎士道的寓意文学作品『遍歴の騎士』ではデーイピュレー、シノーペー、ヒッポリュテ、メナリッペ、セミラミス、ランペト、トミュリス、テウタ、ペンテシレイアの9人。なおマンタ城のサーラ・バロナーレの壁面ではメナリッペの代わりに「エティオペ」が入るが、セミラミスの逸話に出る「エチオピア」の誤読から来たものといわれる。
- ^ 『ディオドロス「神代地誌」』訳注p32。フェニキアのアスタルテ神の異名。Atargatis、Dea Syriaとも呼ばれる。
- ^ 『ヘロドトス 歴史 上』p171、p463、p467、p476。ギリシャ、ローマ人は異国の神を自国の神に当てはめて呼ぶのが普通であった。アッシリア人はアフロディーテのことをミュリッタと呼び、ミュリッタは原語ではバアルの妃ベリトとされる。アッシリアではアスタルテ、アスカロンではデルケト、ペルシャではアナヒタとも呼ばれる。
- ^ 『ディオドロス「神代地誌」』訳注pp33。ギリシャ人はバビロンのベル・マルドゥークをこう呼んでいた。
- ^ 彼女は地位を奪われることを恐れて正式な結婚をしなかった。
- ^ 『ディオドロス「神代地誌」』訳注pp33。ストラボンは著書でセミラミスの名を冠する築造丘(実際には古代の集落跡)、城壁、砦、水道、貯水場、階段状の登山路、運河、道路、橋があったと言う。
- ^ 『ヘロドトス 歴史 上』P480。アモンはエジプトの重要な神で、しばしばゼウスと同一視されたため併称される。
- ^ 後の紀元前332年、アレクサンドロス3世も同様に神託を得るために訪れている。
- ^ ジェームズ・フレイザー『金枝篇』によるとバビロニアにはサカエア(Sacaea)という新年の祭典があり、5日の間、主と従者、信徒と祭司、王と死刑囚などの立場を入れ替えるという風習があった。
- ^ 『ヘロドトス 歴史 上』P519、『ヘロドトス 歴史 上』巻3.155(386頁)岩波文庫(1971/12/16)。バビロンには百の城門があり、セミラミスの門は町の西方にあった。
- ^ デウカリオーン説やアテス説、デュオニソス説などがあり、それぞれ祭られる女神もジュノー、レアー、ヘラなど異なっている。また、ルキアノスの時代には最初の寺院は壊れ、現在残っているのはマケドニア王・デメトリオス1世の娘ストラトニケによるものと伝わる。
出典
- 1 セミラミスとは
- 2 セミラミスの概要
- 3 アルメニアの伝承
- 4 参考文献
- 5 関連項目
セミラミス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 08:05 UTC 版)
「セミラミス」を参照 伝説の女王セミラミスは、通常、神話上の人物に過ぎないと考えられている。しかし、アッシリアの記録には、セミラミスが、実際はサンムラマートをギリシャ語化させたものである可能性があることを示唆する証拠がある。もっとも、このような同一視には異論もある。別の可能性として、サンムラマートが死後、シュメール神にあやかった称号を与えられたのではないかということが指摘されている。女性でありながら統治をうまく行うことができたことで、アッシリア人はサンムラマートに特別な敬意をもったと推測され、サンムラマートの統治の成果(破壊的な内戦後の帝国の安定と強化を含む)が世代を超えて語り継がれたため、最終的にサンムラマートは神話上の人物になったと考えられる。ジョルジュ・ルーは、後のギリシア人とイラン人(ペルシャ人とメディア人)がセミラミスの神話をつくりあげたのは、サンムラマートがこれらの民族に対し軍事的な成功を収めたことと、そのような帝国を支配する女性が目新しかったことによると推測している。
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「セミラミス」を含む「サンムラマート」の記事については、「サンムラマート」の概要を参照ください。
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