サテュロスの姿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 05:16 UTC 版)
成熟したサテュロスは前頭部に山羊の角を持つが、若いサテュロスはそこに骨ばった突起を生やしている。アッティカの彩色花器に描かれたサテュロスは平らな鼻、尖った大きな耳、長く巻いた髪、立派な顎ヒゲ、馬か山羊の尾部を持っている。乳首のような突起(pherea)を頚部に持つこともある。 彼等は様々なスタイルで描かれる。上半身が人間で下半身が山羊というのが最も多い。時には角を生やしている。それほど多くはないが、下半身が馬であることもある。いずれにせよ、長くて太い尾と、常時勃起しっぱなしの陰茎を持っている。時代が下るにつれ、人間風に描かれるようになり、獣としての性格を失っていく。最後は尻尾だけがサテュロスであることを伺わせるところまで至った。 馴染みのあるギリシアのサテュロスの描写法は「眠ったサテュロス」(en:Barberini Faun)である(参照)。これはヘレニズム時代のギリシア彫刻をローマ人が複製したもので、ワインと快楽に溺れる筋肉質のサテュロスである。頭部をだらりと下げ、極端でない程度に官能的なポーズをとっている。1998年にシチリアとテュニスの間の深海に沈んだ難破船から紀元前4世紀の青銅のサテュロスのトルソーが引き揚げられ、シチリアのマツァーラ・デル・ヴァッロで公開されている (参照)。これも類似のポーズをとっている。 初期のギリシアではサテュロスは年老いた怪物的な姿で描かれ、下半身も人間の姿であった。ギリシアの彫刻や絵画に描かれているサテュロスも、紀元前4世紀以前のものは人の姿をしていることが多いが、それを境に半人半獣の姿で描かれることが多くなっていった。 後年の作品では、特にアッティカにおいて、獰猛な性格は和らげられ、もっと若く優美な特徴を示すようになった。プラクシテレースの複製と言われている有名な像では、サテュロスは笛を手にし、優美に木にもたれている。アッティカにはサテュロス劇と呼ばれる劇があった。これは神々と英雄達の伝説のパロディーで、サテュロスが合唱を務めた。エウリーピデースの『キュクロープス』の劇はその種のものの現存する唯一の例である(#サテュロス劇)。
※この「サテュロスの姿」の解説は、「サテュロス」の解説の一部です。
「サテュロスの姿」を含む「サテュロス」の記事については、「サテュロス」の概要を参照ください。
- サテュロスの姿のページへのリンク