ケインズの批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 03:11 UTC 版)
「第一次世界大戦の賠償」の記事における「ケインズの批判」の解説
ケインズは1919年12月に「平和の経済的帰結」(en:The Economic Consequences of the Peace)を著して賠償強硬派や「もしもロイド・ジョージ氏かウィルソン氏が、彼らの注意を必要とした諸問題で最も重大なものが、政治的あるいは領土的問題ではなく金融および経済に関するものであったこと、また将来の危険が国境や主権にではなく食糧、石炭および運輸にあることを理解していたら、 ヨーロッパはなんと異なった将来を予想しえたであろう」と、首脳達を批判した。 さらに同書と1922年の「条約の改正」では予算問題とトランスファー問題(de)によってドイツの賠償支払いが著しく困難なものであると警告している。予算問題とはドイツ政府が賠償を支払うためには、政府財政で毎年黒字を計上せねばならない。黒字達成のためには増税や支出削減が必要であるが、賠償額が大きくなればなるほど国民生活を圧迫し、これが続けば労働意欲や生産力も低下するというものである。トランスファー問題とは、ドイツが賠償支払いを外貨で行わねばならないことから生じる問題で、ドイツが自国の財政黒字を外貨に両替するためには経常収支が黒字であることが必要であるが、現実的にはその達成が困難だと指摘したものである。ケインズはこれらの理論により、イギリスとアメリカに対連合国債権をすべて放棄させた上で、ドイツに賠償額を30年賦で12億6000万金マルクずつ支払わせるのが妥当と算定した。
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