アラブ民族とイスラームに対するヒトラーの見方
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「ナチス・アラブ関係」の記事における「アラブ民族とイスラームに対するヒトラーの見方」の解説
ヒトラーは演説の中でイスラーム文化へ友好的に言及していた様子であり、「例えばフランスよりも、イスラームの人々のほうがもっと我々に近しいのが常だろう」等と述べていた。 イスラームやアラブ民族に対するアドルフ・ヒトラーの見方について有名な逸話が、 アルベルト・シュペーアによって詳述されている。シュペーアのベストセラーである回想録『第三帝国の内幕』〔Inside the Third Reich〕の報告によれば、「ヒトラーは著名なアラブ人の代表団から学んだ歴史の断片に、非常に感動していた」。 アラブ人代表団の推測によれば、ベルベル人およびアラブ人が8世紀「トゥール・ポワティエ間の戦い」に勝利していれば、世界は「イスラーム的」〔Mohammedan ムハンマド的〕になっていた。そしてドイツ人はイスラームの担い手 ―― すなわち「自らの信仰を剣で広げ、全ての国々を自らの信仰に服従させることを信条とする宗教 ……そのような信条はドイツ気質に完全に適合するものであった」 ―― の担い手となっていた。シュペーアはさらに、この件についてのヒトラーの主張を以下のように示している。 ヒトラーは、征服者たるアラブ人は人種として劣っているため、長期的には国土のより厳しい気候に対抗できなかったであろうと述べた。アラブ人の征服者には、より強壮な原住民を抑えつけることはできなかっただろうから、最終的にはアラブ人ではなくイスラーム化されたドイツ人が、このイスラム帝国の指導者となったであろうと。 同様にヒトラーは、「カール・マルテルがポワティエで勝利していなかったら ... 我々は十中八九イスラームへと転向していただろう。英雄主義〔ヒロイズム〕を讃え、大胆不敵な戦士にのみ第七天国を開く、イスラームというカルト宗教へと。その後、ゲルマン民族が世界を征服しただろう」との発言を筆記されている。 シュペーアによるとヒトラーは通常、自分の歴史的推論を次のような発言で結論付けていた。「いいかね、我々は不運にも、誤った宗教〔キリスト教〕を持ってしまった。なぜ我々は日本人の宗教〔神道〕を持たなかったのだろうか、日本人は自己犠牲を、祖国〔Fatherland〕のための最善と見なしているのに? イスラームとて、キリスト教よりも遥かに我々へと適合しただろう。なぜ柔和や軟弱を備えているキリスト教でなければならなかったのだろうか?」。
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