アップサイジング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 02:16 UTC 版)
「Microsoft Access」の記事における「アップサイジング」の解説
Access2000以降、スタンドアローンのデータベース(accdbファイルとmdbファイル形式)に加えて、別のMicrosoft SQL Server(またはMSDE)内にテーブルをおき、ビューやストアドプロシージャ、トリガーを定義するプロジェクトと呼ばれる開発手法(adpファイル形式)が備わった。accdbやmdbからadpへの移行をアップサイジングと呼んでいる。Accessのデータベースユーティリテイとしてアップサイジングウイザードが用意されているが、システム全体の移行にはクエリの手直しなどが必要で、決して容易な作業ではない。困難を回避するには、accdbやmdbシステムが肥大化する前にアップサイジングを行い、固有のノウハウを早く蓄積すべきである。なおアップサイジングウイザードは2013から廃止された。 mdbファイルの中のテーブルやクエリの実体はローカルにそのまま存在するが、adpファイルの中のテーブルやクエリ(ビュー、ストアドプロシージャなど)の実体はMicrosoft SQL Server内に存在する。そのためadpファイルはMicrosoft SQL Serverの管理ツールとしても機能する。ただしダイレクトにテーブルなどの定義・編集が可能となるのは、Access2000ではMicrosoft SQL Server7.0(またはMSDE)、Access2003ではMicrosoft SQL Server 2000(またはMSDE2000)である。いずれもMicrosoft SQL Server 2005(Expressを含む)と接続はできるが、テーブルなどの編集・改変はできない。Microsoft SQL Server 2005のテーブルの編集などはAccess2007およびSQL Server Management Studio(無償のExpressもある)で行える。 adpにおけるMicrosoft SQL Serverとの接続についてはODBCリンクより効率がよく有益な手法だが、プロジェクト開発に関する参考書籍など必要な情報が極端に少ないのが現状である。なおテーブルとリレーションシップの定義、ビューの作成など基本的なデータベース設計をadpで行い、入力フォームと出力レポートの設計をaccdbやmdbで行い、データをODBCリンクで結ぶという、併用的折衷的な開発スタイルもある。この場合、accdbやmdbにおいて各種外部ファイルのリンクテーブルとローカルテーブルを使い分けるといった、柔軟なシステム設計が可能となる。 ともあれ、データベース本体とフロントエンドを分離するアップサイジング開発においては、常にネットワークトラフィックの軽減を意識しなければならず、1台のPC内で完結でき、それだけわがままが許されるスタンドアローン開発とは発想の転換が必要となり、必然的にVBAコーディングが増加して、Access本来の魅力である手軽さが失われることになる。
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