その後のセントサイモン系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 04:05 UTC 版)
「セントサイモン」の記事における「その後のセントサイモン系」の解説
詳細はセントサイモン系及びリボー系を参照 セントサイモン系はイギリス内では完全に途絶え、イギリス圏に輸出されたものも大半は滅亡したため、その後はフランス及びロシア、ベルギーにいた馬の子孫によって展開した。特に、プリンスチメイ、プリンスローズ、ラブレー、ドリクレス、フロリアル(ドリクレスと同じフロリゼル産駒。ロシアダービーなど)らは21世紀まで何らかの形で父系を存続させた。 フランスにいたプリンスチメイからは、1938年にダービーを勝ったボワルセルが出た。プリンスローズはベルギー競馬史上最強馬とも言われ、1950年代以降大きく拡大した。ラブレーの仔アヴレサックは、セントサイモン(2×3.5)とガロピン(3×5.4.5.6)の非常に強いインブリードを持つことが特徴で、イタリアで11回リーディングサイアーとなった。この父系からは非常に成功した競走馬であるリボーが出て、1970年代に世界的に流行した(リボー系)。ラブレーの子孫は他にワイルドリスクがいる。ドリクレスからはマシーンが出て、主にフランスで残った。フロリアルの子孫も東側諸国以外での活躍は殆ど見られなかったが、数多のソ連ダービー馬を輩出した。 しかしそのリボー系も20世紀終盤・21世紀には苦戦を強いられており、衰退傾向が強い。ただしこれはリボー系・セントサイモン系に限った話ではなく、21世紀の世界競馬はノーザンダンサー系(ダンジグ系、サドラーズウェルズ系、ストームキャット系)、ミスタープロスペクター系およびエーピーインディ系(と日本のサンデーサイレンス系)が圧倒的なシェアを占めており、これら以外の父系は急激にサラブレッドから消滅しつつある。2016年現在、多少とも目立つ成績を収める種牡馬はアメリカ合衆国にいるリボー系やオーストラリアのプリンスローズ系に属する少数の種牡馬に限られる。ボワルセル系はアメリカにDemon Warlockという種牡馬が1頭いる。ワイルドリスク系およびドリクレス、フロリアル両父系も完全には滅んでいないものの、主要国では既に消滅している。2016年段階で産駒をG1に送り込める能力を有している種牡馬は、Mossman(プリンスローズ系)、Albert the Great(リボー系)だが、何れも高齢である。 2019年段階では、Mossman、Albert the Great何れも種牡馬引退している。ほぼ全系統の全種牡馬が繁殖牝馬を集めることに失敗しており、稀な活躍馬も去勢馬であることが多く、サラブレッドにおいては父系断絶に近い状態となっている。最後の主力種牡馬は、Mossmanの産駒でオーストラリア供用のLove Conquers All(プリンスローズ系)という馬で、初年度と2年目で合計310頭以上の種付けを行った。Mossmanの産駒にはG1を7勝したBufferingなど牡馬の重賞馬が9頭いたが、うち8頭は去勢されており、Love Conquers Allが唯一の後継種牡馬だった。これ以外にまともに種付け数を集めている種牡馬は存在しない。 今のところセントサイモン系存続の可能性が最も高い系統は、馬術競技の障害飛越に進出してセルフランセとなった馬たちである。2000ギニーに勝ったセントフラスキンは種牡馬として成功したものの後継種牡馬をほとんど残せなかったが、コンデ賞に勝ったセントジャストから更に2代経由したオレンジピールというサラブレッドが、アングロノルマンやセルフランセ種牡馬として成功した。更にその子孫からはセルフランセ最大の根幹種牡馬であるイブラヒムが登場する。その子孫たちはセルフランセ主流血統を形成し、一部ホルシュタインなどにも浸透を始めている。1990年代の障害飛越トップ種牡馬100頭の内、26頭の父系祖先はオレンジピールであり、同じサラブレッド出身のフリオーソ(ハリーオン系)の17頭を上回って最大という。
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