かじき座AB星A
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/18 21:53 UTC 版)
主星は、スペクトル型K1Vの橙色の主系列星で、光度階級はVだが、年齢が非常に若いので前主系列星(後おうし座T型星)と言われる。 質量は、太陽の8割程度だが、星系内の4つの星の中では飛び抜けて大きい。大きさは太陽より若干小さく、光度は太陽の4割程度と暗いため、近い恒星であるにもかかわらず7等星となっている。 1980年代から高速で自転することは知られており、その自転周期は12時間あまり(太陽のおよそ1/50)と非常に短い。赤道付近には強力な磁場が発生し、多くの黒点が現れる。黒点があることで、自転周期に従って見かけの明るさが変化し、回転変光星に位置付けられる。自転周期内での明るさの変化は0.13等級程度だが、黒点の状態によって概ね0.1等級くらい周期ごとに差が表れ、それとは別に太陽活動周期と似たような活動周期により、およそ20年周期で平均的な明るさが変動する。差動回転しているので、極付近より赤道付近の方が自転が速いが、その差は時間によって変化する。これは、対流層を貫く磁場の働きによって角運動量の輸送が変動するので、赤道付近の自転速度も恒星表面活動の周期によって変化するためと考えられる。 主星の表面では爆発現象も観測され、光球面の外には、1,500万Kまで加熱された水素プラズマが、磁場に閉じ込められて球状の層を形成している。プラズマは、強いX線を放射し、距離が近いこともあって、全天で最も明るいコロナX線源の一つとなっている。
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