『絵画劇場』
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『三人の哲学者』は、ハプスブルク家のオーストリア大公レオポルト・ウィルヘルムが所蔵する美術コレクションの目録として、ダフィット・テニールス (子)が制作に関わった『絵画劇場 (en:Theatrum Pictorium)』に、1659年と1673年の二度にわたって記載されているが、これ以前にテニールスが、レオポルトが所有する美術コレクションを描いた『レオポルト・ウィルヘルム大公の画廊』(制作年度により複数点の作品が存在)に登場している。数多くの美術作品が描かれたこの絵画は、美術史上において極めて価値の高い情報源として長きにわたって評価され続けている。 テニールスの『レオポルト・ウィルヘルム大公の画廊』をもとにして、フランドルの芸術家ヤン・ファン・トロイエンが1673年に制作したエングレービング。スロバキア国立美術館所蔵。 『レオポルト・ウィルヘルム大公の画廊』、シュライスハイム宮殿付属州立美術館所蔵。 『レオポルト・ウィルヘルム大公の画廊』(1650年)、プラド美術館所蔵。 『レオポルト・ウィルヘルム大公の画廊』(1651年)、ペットワース・ハウス所蔵。 テニールスの『レオポルト・ウィルヘルム大公の画廊』と呼ばれる絵画の中でもっとも有名なのが、ウィーンの美術史美術館が所蔵する作品である。この『レオポルト・ウィルヘルム大公の画廊』を描くにあたって、テニールスは完成品となる大規模な絵画に描き入れる、レオポルト・ウィルヘルムが所有するすべての美術作品の縮小模写、縮小習作を制作した。21.5 cm × 30.9 cm に縮小されて描かれた『三人の哲学者』の習作には、オリジナルには存在しないものが描かれている。老人が手にする三叉の槍がそれであるが、完成した『レオポルト・ウィルヘルム大公の画廊』の『三人の哲学者』にもこの槍は描かれていない 。オリジナルの『三人の哲学者』の老人が手にしているのは一本の巻物だけである。三叉の槍は古代ギリシア神話の海神ポセイドンの象徴で、テニールスが老人とポセイドンとの間に、何らかの関係性を独自に見出していた可能性もある。
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