『愛の巣』のあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 07:37 UTC 版)
「三面記事小説」の記事における「『愛の巣』のあらすじ」の解説
結婚しているが子供はいないという共通点のある姉の美枝子からよく自宅へ招かれる房枝。しかし話題は決まって美枝子の夫・正文が浮気をしているのではないかというもので、今回は今年の春に正文の学校に来た新任の先生が怪しいということだった。内心うんざりする房枝だったが、これも美枝子の一種の憂さ晴らしなのだ、それで気分が晴れるならと割り切って話を聞いてやる。しかしそんな美枝子からパッタリと連絡がなくなり、気になって房枝から電話をかけても機嫌が悪いのか取りつく島もなく、交流は途絶える。3年後、房枝は夫の大志が昇進したこともあり、念願の庭付き一戸建てに住むため川崎に引っ越す。大志は多忙でなかなか家に帰らなくなっていたが、雑種犬も飼えて房枝は幸せだった。そこで一足先にマイホーム暮らしをしていた美枝子のことを思い出した房枝は、ケーキを手土産に美枝子の自宅を訪ねる。しかしそこにあったのは、青い屋根が錆びつき、ブロック塀にはトタンが積まれ、有刺鉄線まで張り巡らせてあるまるで要塞のような記憶とはだいぶ変わり果てた家だった。近隣住民から「気味が悪い」「変な薬品を庭にまいている」などの悪評も聞き、実際2階の窓から正文に「なんの用だ!」と怒鳴られた房枝は異様なものを感じるが、家から出てきた美枝子は房枝を喫茶店へと連れ出し、「私たちは2人で生きていくって決めたから」とだけ告げ、それ以上詳しいことを話そうとはしなかった。 ほとんど姉夫婦を思い出すことなく日々は過ぎ、ある日房枝は何気なく大志の携帯を手にとる。夫の身辺には色っぽいことが何もないと笑い合うつもりだったのに、意外にも大志は「何やってるんだ!」と大声で怒鳴った。何かあると確信し、探偵事務所に依頼。すると大志には26年の間交際している女性がいて、高校生になる子供までいたことが発覚する。しかし信じられない房枝は探偵事務所のでっちあげだと思い込もうとし、大志には今まで通り接し続ける。そんな中、美枝子から久しぶりに電話がかかってくる。区画整理で立ち退かなくてはならないから、茅ケ崎の少し先の方に引っ越すのだという。しかしその後、テレビにあの要塞が映り、正文が26年前の夏、同じ学校の女性教師を殺害し、美枝子の不在時に死体を持ち帰り床下の地中に埋めたものの、家が取り壊されることになったため発覚を恐れて自首したというニュースが流れる。房枝は、美枝子はこれを知っていたうえで死体の上で夫と暮らすことを選んだのだと確信し、それに対して幸せだったはずの自分は26年間も夫に他の居場所があることを知らなかったとのだと打ちのめされ、ショックを受ける。 房枝 食品メーカーに勤めていたが、2歳年下の大志と恋愛の末に3年前に結婚し、すぐ子供もできるだろうと結婚退職した。しかしいまだ妊娠する気配はなく、原因がわかるのが恐くて婦人科にも行けていない。姉には「ふーちゃん」と呼ばれている。団地暮らし。正文のことを以前から好きになれない。 大志 房枝の夫。課長補佐から課長へ昇進したのと同時にますます忙しくなり、家に帰ってくるのはいつも深夜。優しく、物事をいい方向に解釈する。 小林 美枝子 房枝の姉。家が新築なため、何かと房枝を自宅に呼びたがる。7年前に見合いの末に結婚したが、子供はいない。おとなしく穏やかだが、嫉妬深い面がある。 正文 美枝子の夫。学校職員。訛りがあって無愛想。美枝子とは年齢が離れている。ハンサムでもなく、洒落たことを言えるキャラでもないが、美枝子との結婚前、そして結婚後も1度浮気をして、実家に帰った美枝子に謝ったことがある。
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