TBS不二家捏造報道問題
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その後の展開
TBSの謝罪放送後も、この問題は国会を始め各方面で取り上げられ、その真偽について検証が行われている。
2007年(平成19年)
- 4月25日、井上が定例記者会見において、改めて「捏造は無い」「証言は信用性が高い」と発言。これを受けて不二家は井上へ抗議を行い、発言の訂正と同様の発言を控えるよう求めた[14]。
- 4月27日、総務省がこの問題に加え、同局の「人間!これでいいのだ」や「サンデージャポン」での過剰演出や不適切な編集などを取り上げ、これらが放送法の虚偽報道・番組基準違反に抵触しているとして、情報通信政策局長名による「厳重注意」の行政指導をTBSに通告するとともに再発防止を強く要請した[15][16][17]。
- 5月10日、国会での審議において、国会での真相究明や井上と郷原の参考人招致が提案された[18]。
- 5月15日、郷原および「『外部から不二家を変える』改革委員会」の委員長を務めた田中一昭が、BPOにこの問題に対する調査と審理を要請する申し立てを行った。BPOは放送倫理検証委員会で検証を行い、6月8日に審理入りを決定した[19][20]。マスコミ各社が一斉に報じたがTBSは報道しなかった。
- 6月20日、衆議院決算行政監視委員会で郷原信郎と広瀬民放連会長が参考人として呼ばれ「朝ズバッ!」問題が議論される。郷原はTBSのコンプライアンスの欠如を厳しく指摘。広瀬会長は局のコンプライアンス体制もBPOの審査対象に入り、倫理検証委員会の決定は放送界の最高裁決定として扱うと答弁。
- 8月6日、放送倫理検証委員会は審理の結果、「内部告発の存在自体に捏造はないものの、重大な放送倫理上の問題があった」とし、「勧告」より弱い「見解」の扱いとすることを発表した[21]。これに対し、本件の審理申立をした郷原信郎は「まったく評価できない」としている[22]。
- 8月7日、TBSは『みのもんたの朝ズバッ!』内で初めてBPOの審査について触れ、「捏造はなかったと認められた」ことを強調し、TBSとしての見解を発表したが、郷原側の主張には一切ふれなかった。
- 上記の流れを受け、8月16日の『みのもんたの朝ズバッ!』にて、夏期休暇明けのみのもんたが自ら視聴者に対して謝罪を行った。なお、本番組ではみの自身が謝罪すること自体、異例である。
- 11月16日、TBSが社員と顧問弁護士らによって構成されたTBS検証委員会の報告書がTBSのホームページにアップされる[23]。
- 11月28日、郷原信郎は、担当ディレクターが「カントリーマアム」がチョコレートの商品名であると誤認していたとするレポート内容に対し、3月25日に不二家とTBSとの間で行われた会談中に、カントリーマアムがクッキーであることを認識している旨のプロデューサーの発言と矛盾しているとして、この発言の音声を公開の上、TBSの井上弘社長宛に公開質問状を送付した[24]。
- 12月4日、衆議院総務委員会で郷原が「朝ズバッ!」不二家報道捏造の疑いに関するTBS側の不誠実な対応と、それをまったく検証しなかったBPO検証委員会の審理を厳しく批判。
同日、TBSが郷原の公開質問状に初めて回答したが、内容は「私ども東京放送は、外部委員を交えたTBS検証委員会から報告書の提出を受け、当社のホームページ上に掲載しており、その内容に関する個別、具体的な質問については、答えを差し控えさせて頂きます」という実質的な回答拒否であった[25]。
2008年(平成20年)
- 1月13日、J-CASTニュース郷原信郎教授インタビュー 「捏造は間違いなくあった」[27]
- 1月14日、J-CASTニュース郷原信郎教授インタビュー 「コンプライアンス崩壊TBS」「会社自体が死にかけている」[28]
- 2月10日、郷原が中央公論3月号「TBSに企業不祥事を追及する資格はあるのか」[29]で、これまでの経緯を示し、TBSに企業不祥事を追及する資格はないと批判しつつ、「TBSは、直接の、当事者、関係者、経営者のすべてが、事実に向き合わず覆い隠すことで「結束」し、報道機関として二度目の「死」に瀕している。それを救う唯一の途は、TBSに所属するジャーナリストが声を上げることだ。」としている。
- ^ 2007年5月10日衆議院決算行政監視委員会
- ^ 2007年6月20日衆議院決算行政監視委員会
- ^ 2007年12月4日衆議院総務委員会
- ^ 2007年12月4日参議院総務委員会
- ^ 2007年12月12日参議院総務委員会
- ^ 2007年8月7日毎日新聞
- ^ [* 不二家「信頼回復対策会議最終報告」【別紙資料2】1月22日放映のTBS『朝ズバッ!』での不二家関連報道に関する問題について(355KB) 2007年3月30日不二家信頼回復対策会議最終報告書 【別紙資料2】1月22日放映のTBS『朝ズバッ!』での不二家関連報道に関する問題について]
- ^ 2007年8月6日BPO放送倫理検証委員会決定第1号 TBS『みのもんたの朝ズバッ!』不二家関連の2番組に関する見解
- ^ 2007年11月19日 『みのもんたの朝ズバッ!』の不二家関連報道に関するTBS検証委員会の報告書 『みのもんたの朝ズバッ!』「不二家関連」報道 番組制作と放送の問題点について
- ^ “みの「廃業」発言で 不二家TBS提訴の可能性”. J-CASTニュース. (2007年3月29日)
- ^ “朝ズバッ!捏造疑惑深まる みのもんたよ「テレビの画面上で謝罪すべきだ」”. J-CASTニュース. (2007年3月30日)
- ^ “TBS、不二家に謝らず…みの、身内の態度に激怒とも”. ZAKZAK (産経新聞社). (2007年3月29日). オリジナルの2007年4月9日時点におけるアーカイブ。
- ^ “不二家問題でTBS 「不十分謝罪放送」”. J-CASTニュース. (2007年4月18日)
- ^ “不二家「社長発言」に抗議 TBS「捏造問題」重大局面”. J-CASTニュース. (2007年4月27日)
- ^ 鈴木秀美・山田健太・砂川浩慶 編『放送法を読みとく』p.88 2009年 商事法務
- ^ 総務省からTBSへの処分通告[リンク切れ]
- ^ 村上聖一. “戦後日本における放送規制の展開―規制手法の変容と放送メディアへの影響―”. NHK放送文化研究所 年報2015 第59集. pp. 89. 2019年12月25日閲覧。
- ^ “TBS「捏造」疑惑 ついに国会で「強制」解明”. J-CASTニュース. (2007年5月10日)
- ^ “郷原氏、TBS捏造疑惑でBPOに申し立て”. J-CASTニュース. (2007年5月15日)
- ^ 高田隆 (2007年6月8日). “BPOの放送倫理検証委員会,TBSの「不二家問題」の審理入りを決定”. 日経XTECH(日経ニューメディア)
- ^ TBS『みのもんたの朝ズバッ!』不二家関連の2番組に関する見解 放送倫理検証委員会 2007年8月6日報道
- ^ “TBS不二家報道で重大ミス 朝ズバッ!「捏造疑惑」晴れず”. J-CASTニュース. (2007年8月6日)
- ^ “『 みのもんたの朝ズバッ!』「不二家関連」報道 ~番組制作と放送の問題点について~ (PDF)”. TBS検証委員会 (2007年11月16日). 2016年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月5日閲覧。
- ^ “TBSはウソつきなのか? 不二家報道で「会談音声」公開”. J-CASTニュース. (2007年11月18日)
- ^ 中央公論2008年3月号「TBSに企業不祥事を追及する資格はあるのか 」
- ^ 12月5日郷原信郎記者会見[リンク切れ]
- ^ “郷原信郎教授インタビュー(上) TBS「朝ズバッ」不二家報道 「捏造は間違いなくあった」”. J-CASTニュース. (2008年1月13日)
- ^ “郷原信郎教授インタビュー(下)コンプライアンス崩壊TBS 会社自体が「死にかけている」”. J-CASTニュース. (2008年1月14日)
- ^ 中央公論3月号「TBSに企業不祥事を追及する資格はあるのか 」
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