T-4 (練習機) 装備

T-4 (練習機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 00:58 UTC 版)

装備

翼下と胴体下には計3ヶ所のハードポイントが設定されている。上記の増槽のほか、胴体下のポイントにはトラベルポッド、標的曳航装置、集塵ポッドなどを搭載することができる[1]

前席用のヘッドアップディスプレイ

なおXT-4では、戦技訓練用として兵装の搭載も考慮されており[3]ヘッドアップディスプレイ(HUD)も、通常の運用で使用する3つのモード[注 3]のほか、空対空射撃(AAG)、空対地射撃(AGG)、爆撃(BOMB)、ロケット(RKT)およびマニュアル(MAN)の5つのモードが選択可能となっていた[19]。AAGモードでは見越し角を自動算出してレティクルにシンボルを表示する機能を備えており、射撃レンジや射撃目標の翼幅は手動で切り替えることができた[19]。またAGG・BOMB・RKTの各モードでは姿勢方位基準装置(AHRS)やエア・データ・コンピュータからの情報と、表示操作パネルから入力された標的の標高や周辺の風向・風速のデータを元に弾道計算を行い、着弾点をレティクルにシンボル表示することができた[19]

搭載兵装としては、胴体下に7.62mm口径のミニガンポッド[3]、また主翼外側のハードポイントに訓練爆弾やロケット弾を搭載することが想定されていた[19]。1987年には試作2号機にミニガンのポッドを搭載して、三沢基地で発射試験が行われた[20]

ただし量産機では、HUDは通常の運用で使用する3つのモード[注 3]のみとなっており[19]、武装せずに運用されている[1]。川崎重工では、T-4を元にして、単座化するとともにエンジンも強化して、火器管制レーダーを搭載するなどアビオニクスを強化、機関砲を固定装備するとともに空対空ミサイル空対艦ミサイルの搭載にも対応した機体を検討したこともあったが、社内研究の域を出るものではなかった[19]


注釈

  1. ^ この方式はイギリスで最初に実用化されたもので、ホーカー・シドレー ハリアーBAe ホークトーネード IDSで採用されていたが、従来採用されてきたイニシエーター方式のように脱出前のキャノピー投棄を必要としないことから、低空でのクリテイカルな状況下での安全マージンの増加をもたらしており、アメリカ空軍の統計では、イニシエーター方式での成功率は80パーセント台なのに対し、破砕脱出方式では100パーセント近くとされていた[3]
  2. ^ 機内燃料搭載量は、ホークでは450ガロン、アルファジェットでは502ガロンであった[3]
  3. ^ a b 離着陸(TOL)、航法(NAV)、整合(ALN)の3つ[19]

出典

  1. ^ a b c d e f g Jackson 2004, pp. 329–330.
  2. ^ a b c 久野 2006.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 宮本 1985.
  4. ^ a b c d e 技術研究本部 2002, pp. 132–135.
  5. ^ a b c 宮本 1989, p. 18.
  6. ^ 参考資料ー自衛隊の現状と課題ー”. 内閣官房. p. 28 (2004年7月13日). 2010年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月13日閲覧。
  7. ^ 宮本 1989, p. 23.
  8. ^ 日本航空宇宙工業会 2003, pp. 41–42.
  9. ^ a b 鷹尾, 磯崎 & 戸田 1990.
  10. ^ 神田 2018, pp. 58–61.
  11. ^ a b 石川 1985.
  12. ^ a b c 航空自衛隊向けT-4中等練習機の最終号機を納入 | プレスリリース”. 川崎重工業株式会社. 川崎重工業. 2020年9月20日閲覧。
  13. ^ 国のムダ遣いなど次々と 寸法違う大量無線機・稼働できぬ航空設備…:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年11月5日閲覧。
  14. ^ 航空自衛隊 (2010年). “パイロット育成レポート ウイングマークを目指せ!”. 2013年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月21日閲覧。
  15. ^ 救装機器”. サイト名. 2021年11月5日閲覧。
  16. ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 502–505.
  17. ^ レッドドルフィン15周年記念塗装 - 航空自衛隊
  18. ^ 第13飛行教育団 - 芦屋基地
  19. ^ a b c d e f g 青木 1994.
  20. ^ モデルアート 2011, p. 23.
  21. ^ a b 世界航空機年鑑1988 酣燈社 1988年 P110-111
  22. ^ 主要装備 T-4航空自衛隊
  23. ^ T-4 ブルーインパルス - 航空自衛隊
  24. ^ 日米首脳共同声明の要旨”. 日本経済新聞 (2024年4月11日). 2024年4月11日閲覧。
  25. ^ 宮本 1989, p. 24.
  26. ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 715–718.
  27. ^ 神野 2008.
  28. ^ 小野 2022.
  29. ^ 宮城県環境生活部原子力安全対策室. “原子力だより みやぎ Vol.75(平成12年10月号)”. 2003年8月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月13日閲覧。
  30. ^ 平成十二年十月十九日提出 松島基地所属の自衛隊機墜落事故等に関する質問主意書 松本善明
  31. ^ 平成十二年十一月十日 衆議院議員松本善明君提出松島基地所属の自衛隊機墜落事故等に関する質問に対する答弁書
  32. ^ 宮城県環境生活部原子力安全対策室. “原子力だより みやぎ Vol.77(平成13年4月号)”. 2005年12月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月13日閲覧。
  33. ^ ブルーインパルス、飛行再開へ 貴重?まずは2機で
  34. ^ 想定以上の振動、機体の経年が影響か
  35. ^ 航空自衛隊T-4中等練習機エンジンの不具合及び今後のT-4の飛行等について
  36. ^ “パイロット養成機、不足続く ブルーインパルスにも影響―航空自衛隊”. 時事ドットコム. (2020年6月8日). https://web.archive.org/web/20200608000912/https://www.jiji.com/jc/article?k=2020060700146&g=soc 





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