2019年イギリス総選挙
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概説
2019年7月、首相のテリーザ・メイは、庶民院で欧州連合と合意した離脱協定案の承認を得られなかった責任を取り総辞職し、後任に離脱強硬派で前外相のボリス・ジョンソンが就任した。
ジョンソンは就任時点での離脱期限である10月末の離脱を目指し、離脱協定案の承認がない「合意なき離脱」も辞さない姿勢を見せた。これに対し議会下院は9月5日、合意なき離脱を阻止する野党提出の法案を可決した。これを受け政府は事態打開のため、10月15日に総選挙を行う動議を提出したが否決された[1]。9月9日の議会閉会直前に再度、解散総選挙を行う動議を提出したが、野党議員のほとんどが反対や棄権にまわり、必要な票数を得られず否決された[2]。
その後、再開された議会で10月28日、政府は総選挙を12月12日に実施する動議を提出したが、合意なき離脱が消えない限りは解散総選挙を支持しないことを明らかにしている労働党などが反対にまわったため三度否決された[3]。同日には英国・EU双方が、10月末に予定されていた離脱期日を2020年1月31日まで延期することに同意し、合意なき離脱の可能性は遠のいた。
ここで、ジョンソン首相は作戦を転換し、12月12日に総選挙を実施する法案を提出。成立に議会の3分の2以上の賛成が必要な動議と違い、法案は過半数の賛成で可決できるためハードルを下げ、これに離脱反対を訴える自由民主党とスコットランド国民党が、離脱阻止を訴えるために総選挙に賛成する意向を表明。最終的には労働党も賛成を表明し、議会下院は10月29日に法案を可決した[4][5]。翌日の貴族院でも可決され、11月6日の議会解散と12月12日の総選挙実施が確定した。
11月4日、ジョン・バーコウは下院議長を退任すると同時に議員辞職[注 2]し、後任に労働党出身のリンジー・ホイルが就任した。
注釈
出典
- ^ “英下院、首相提案の解散総選挙を否決 ブレグジット延期法案は可決”. BBC News. BBC. (2019年9月5日) 2019年11月6日閲覧。
- ^ “英首相が求める解散総選挙、下院が2度目の否決 英議会は閉会へ”. BBC News. BBC. (2019年9月10日) 2019年11月6日閲覧。
- ^ “英下院、解散総選挙をまた否決 ジョンソン首相は再提案へ”. BBC News. BBC. (2019年10月29日) 2019年11月6日閲覧。
- ^ “英下院、12月12日の解散総選挙を可決 ブレグジットこう着打破へ”. BBC News. BBC. (2019年10月30日) 2019年11月6日閲覧。
- ^ Mason, Rowena (2019年10月30日). “Brexit: Parliament breaks deadlock with vote for 12 December election” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077 2019年10月30日閲覧。
- ^ “英議会解散 12月12日に向けた選挙戦本格開始”. 産経ニュース. 産業経済新聞社. (2019年11月6日) 2019年11月6日閲覧。
- ^ “【解説】 イギリス総選挙 仕組みを簡単に”. BBC News. BBC. (2019年10月30日) 2019年11月6日閲覧。
- ^ a b “【英総選挙2019】 女王が議会解散認め、選挙スタートも保守・労働両党で幹部辞任”. BBC News. BBC. (2019年11月7日) 2019年11月12日閲覧。
- ^ “【英総選挙2019】 ブレグジット党、与党・保守党と議席争わない方針”. BBC News. BBC. (2019年11月12日) 2019年11月12日閲覧。
- ^ 国末憲人 (2019年12月20日). “「保守党圧勝」の舞台裏「ブレグジット総選挙」現地レポート(下)”. フォーサイト (新潮社) 2019年12月20日閲覧。
- ^ “英総選挙 与党が公約を発表「来年1月末にはEU離脱実現」”. NHK NEWSWEB. NHK. (2019年11月25日) 2019年12月5日閲覧。
- ^ “イギリス、合意なきEU離脱リスク、今なお消えない理由”. ニューズウィーク. (2019年12月2日) 2019年12月5日閲覧。
- ^ “英 総縮政策のため、医療スタ選挙に向け 野党 労働党が政権公約を発表”. NHK NEWSWEB. NHK. (2019年11月22日) 2019年12月5日閲覧。
- ^ Morales, Alex (2019年12月10日). “英総選挙の逆転期待が後退、EU残留派の希望は「風前のともしび」”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ 2019年12月10日閲覧。
- ^ a b 伊藤寿庸 (2019年11月30日). “イギリス総選挙 無料・国営医療が争点に”. しんぶん赤旗 (日本共産党中央委員会) 2019年12月5日閲覧。
- ^ a b “【英総選挙2019】 各党代表者がテレビ討論 焦点はやはりブレグジット”. BBC News. BBC. (2019年12月2日) 2019年12月5日閲覧。
- ^ “Brexitカウントダウン(21)「離脱疲れ」のなかでの決着へ | 研究活動”. 東京財団政策研究所. 2021年12月5日閲覧。
- ^ a b c “【英総選挙2019】 与党・保守党が大勝 ブレグジットに「新たな信任」と首相”. BBC News. BBC. (2019年12月13日) 2019年12月13日閲覧。
- ^ “英総選挙 ジョンソン首相「1月中に必ず離脱」”. NHK NEWSWEB. NHK. (2019年12月13日) 2019年12月13日閲覧。
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