麻痺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 10:07 UTC 版)
麻痺の治療
運動麻痺も感覚麻痺も徴候であり、治療は原因疾患の治療を行うのが一般的である。しかし痺れを主訴とした来院も多いため、対症療法を一部示す。
- 特発性良性慢性しびれ
軽症であればアリナミンF®(ビタミンB1)50mg 1×やメチコバール(メコバラミン、ビタミンB12)1500μg 3×、ユベラN®(トコフェノール、ビタミンE)100mg 2×、ビタメジンカプセル®50mg 1×(複合ビタミン剤)などを使用する。また心因性の場合も多いため、抗不安薬も併用することもある。
- 末梢神経障害
糖尿病性ニューロパチーの場合は軽症の場合はキネダック®150mg 3×(エパレスタット)がよく用いられる。キネダックはアルドース還元酵素の阻害薬でありアルドース還元酵素を特異的に阻害し神経内のソルビトール蓄積を抑制する。神経が不可逆的阻害を受けていなければ有効とされている。糖尿病性神経症の疼痛やしびれに使用されることが多い。尿が赤くなるが、それは特に問題とならない。痛みが強くなってきた場合はキネダック®150mg 3×に加えてメキシチール®(メキシレチン)300mg 3×を併用する場合が多い。メキシチールはI b群の抗不整脈薬であり、不整脈を誘発することがあるので投与まえに心電図を検査することが望ましい。1か月をめどに使用し効果がなければ2週間で退薬する。また痛みが難治性となった場合はテグレトール®400mg 2×(カルバマゼピン)を使用することも多い。この痛みによってうつ状態となることも多く、抗うつ薬、抗不安薬が効果的な場合もある。トフラニール®30mg 3×(イミプラミン)は三環系抗うつ薬であり、セルシン6mg 3×(ジアゼパム)は抗不安薬である。セルシン®とテグレトール®の併用はしばしば行われる。だが、日常生活に支障がでるほどの糖尿病性神経症では神経が不可逆的な変化を起こしておりこれらの薬物が効果的でない場合も多い。その場合、痛み、しびれは訴えないこともある。
アルコールや栄養障害のニューロパチーを疑った場合はビタメジンカプセル(50)3C3×とメチコバール 1500μg 3×を併用することもある。
- 手根管症候群
この場合は原疾患の治療とNSAIDsによる疼痛を行う場合が多い。浮腫に対してラシックス®(フロセミド);40mg1×も使用される。
- 神経痛
テグレトール®(カルバマゼピン)が頻用される。帯状疱疹後などではフランドルテープ®が効果的なこともある。
- 急性腰痛症
急性腰痛症の薬物療法としてはNSAIDs、筋弛緩薬(ミオナールやアロフト)、ワクニシアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン)、ビタミンB12製剤、プロスタグランジン製剤、抗うつ薬、漢方薬、抗不安薬、抗てんかん薬などが用いられる。プロスタグランジン製剤ではプロレナールやオパルモンなどが用いられる。プロスタグランジンE1誘導体であり腰部脊柱管狭窄症による下肢のしびれや痛みに対して用いる。循環障害の軽快にて症状を緩和させる。軽症から中等症では効果があるが重症例では効果は限定的であり有効率は50%程度とされる。副作用は消化器症状や動悸、ほてりなどである。漢方薬では牛車腎気丸や八味地黄丸などが用いられる。八味地黄丸は腰部脊柱管狭窄症に対してはRCTで70%の効果がありNSIDsより有効とされている。牛車腎気丸は八味地黄丸に2つの生薬を配合し効果が増強されている。
- ^ Cook, Danielle; Simons, David J. (2023), Neuromuscular Blockade, StatPearls Publishing, PMID 30855885 2023年10月21日閲覧。
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