鳥津
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目次
地理
佐田岬半島のほぼ中部の伊予灘側に面した集落であり、山脚が海に迫り平地に乏しいという特徴がある。宇和海側と比べ日照時間が短い上に、冬の季節風と夏の台風時の嵐が激しく、柑橘園の防風林の育成さえ困難という土地柄のために柑橘化が進まず、零細漁業を営む集落として発展してきた経緯がある。
歴史
二見浦の鳥居茂市が、文久元年に鳥津地区に訪れた際、あまりの魚の多さに驚き、試しに蚊帳を網代わりにして曳いたことにヒントを得て、イワシの大網漁を思いついた。すに申し出て、開拓の許可を得るとともに鳥津地区の与頭として認めてもらった上で、私財を投じて波止の築造に取り掛かり、慶応2年にこれが完成。8回にも及ぶ築造の末にようやく波止が完成し、それ以後、鳥津地区はイワシ漁の根拠地となった。茂市は二見浦から通う生活を続けていたものの、慶応3年に転居を決意し、他の人々も追々これに従ったため新たな集落が形成された。[1][2]
開拓時期
”町見郷土誌”によると「鳥津は安政2年二見浦の人鳥津茂市氏住居せるにはじまることは文書又は古老の傳へる所である。」[3]とあり、”角川日本地名大辞典38愛媛県”も左記から引用しているが、”水産例記”では「元治元年(1864年)二見浦のうち本浦から鳥津へ移住、新網許可される。」[4]とある。一方で、"伊方町誌"では「慶応3年に開かれた漁業集落」[5]、"岬半島の人文地理"では「慶応3年に現在の地へ転居、他の人々も追々これに従った。」[6]と書かれている。鳥津家に伝わる由緒書によれば「通いでは不便なので慶応三年(一八六八)移住する。」[7]とある。
網代
宇和島藩庁の郡奉行御浦方役所で作成された"安政三年浦々鰯網前網代科改帳"によれば、名義人が茂市の網代は2つある。[8]
〈時期〉 〈場所〉 〈種類〉 〈名義人〉
■ 慶応2年9月 本浦(二見本浦の略) 鰯新網代壱帖 茂市
■ 慶応4年4月 上波(上場、伊予灘側) 魬網壱帖 茂一("一"は原文のままであるが、"市"の間違いである。)
地名の由来
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「鳥津」という地名の由来については、記録が残されてないため正確なことは不明であるが、宇和島藩庁の郡奉行御浦方役所で作成された"安政三年浦々鰯網前網代科改帳"によれば、「但安政三年九月曳出附出 上波 大鳥津 安政三年九月亀三郎前網代 相渡置の所の振替願出堂の前 前網代相渡此網代葉網代相成」[9]とある。二見浦の亀三郎氏は「天保11年4月 一小網壱帖 此網代 大成堂の前 上波有」とあるように前網代を持っていたが、後に別の場所へ振替を願い出ている。"網代は海の小字である"といわれているように、網代名がそのまま地名になった例もあるため、「大鳥津網代」から鳥津という地名が命名されたのではないか。
愛媛県以外で使われている地域
鳥津という地名は愛媛県以外に福岡県(福岡市博多区)及び香川県(現・坂出市坂出町)に存在していたことが分かっている[10]。
a.博多(旧国名:筑前)
博田・博太・博多田とも書く。また,石城府・冷泉津・鳥津などの異称をもつ。中国の史書では覇家台・花旭塔・八角島などとも表記される。
b.中央町
坂出市坂出町の一部(通称明神町・文明町の各一部および北海岸町など)。明治中期頃坂出市内を東西に横断する道のほか、海岸に沿っても並行して東西に通る道ができた。東から鳥津、海岸町、明神町である。
- ^ 藤岡謙二郎(編)『岬半島の人文地理 ― 愛媛県佐田岬半島学術調査報告』大明堂 1966年[要ページ番号]
- ^ 加戸宏平(編)『自治行政録愛媛編昭和五十年記念』地方人事調査会 1977年p551
- ^ 町見村役場 『町見村郷土誌』p29
- ^ 伊方町誌改訂編集委員会編著 『伊方町誌』1987年3月31日 p785
- ^ 伊方町誌改訂編集委員会編著 『伊方町誌』1987年3月31日 p1315
- ^ 藤岡謙二郎(編)『岬半島の人文地理 ― 愛媛県佐田岬半島学術調査報告』大明堂 1966年p261
- ^ 伊方町誌改訂編集委員会編著 『伊方町誌』1987年3月31日 pp785~786
- ^ 久保高一編著 『浦々鰯網前網代改帳簿全』1986年7月1日pp52~53
- ^ 久保高一編著 『浦々鰯前網代改帳簿 全』1986年7月1日pp53
- ^ 角川日本地名大辞典[要ページ番号]
- ^ 渡部文也・高津富男著『えひめブックス23 伊予灘漁民誌』財団法人愛媛県文化振興財団、平成13年3月30日 p209~211
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- 2 鳥津の概要
- 3 鳥津という地名が出てくる古文書
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