雛壇芸人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/14 09:54 UTC 版)
芸人にとっての分岐点
「雛壇芸人」というジャンルが一般に知られるようになって以降、若手だけでなく中堅でそれまでリポーターなどで活躍していた芸人の中でも話術のある芸人や、滑ってもわかりやすいキャラクター、一発ギャグを持っている芸人など、雛壇芸人としての出演が多くなっている。もともと雛壇は若手芸人の指定席ともいえたが、近年「雛壇芸人」と呼ばれる専門の技術を持った中堅クラスの芸人が台頭してきたために、若手芸人にとってはチャンスが激減している傾向にある。ある程度知名度を獲得した芸人はバラエティ番組の雛壇に座り、トークを無難にこなして初めて次のステップに進む、というのが現在の流れでは規定のコースとされている。しかしその場でのトークはその芸人がこれまで培ってきた芸とは別の能力を必要とするため、雛壇で玉砕してしまうケースも多く、漫才やコントなどの著名なグランプリで優勝したにもかかわらず雛壇トークがイマイチだったためにバラエティ番組に呼ばれなくなった芸人も数多い。このように雛壇は、芸人がバラエティ番組に向いているかを評価される、芸人にとっての「分岐点」となっている[6]。
種類
品川庄司の品川祐は、雛壇芸人は以下の種類があるとしている。ただし必ずしも種類分け可能というわけではなく、2種類以上に渡るスタイルの芸人も存在する。
- 裏回し型
- 「裏回し」とは、「司会者が振った話題を雛壇にいるゲスト同士で回して盛り上げる」という技術を指し[7]、そのような技術に長けている雛壇芸人がこの類に入る。司会者やゲストに話題を振ったりツッコミを入れたりと、バラエティ慣れしていなかったり緊張している俳優やタレントが話しやすくなるような雰囲気作りをする。司会者が直接話しかけると目立つため、自然な進行が求められる[4]。
- 天然・自由演技型
- 司会者が笑いを取りにいく際に必要とされる、いわゆる“いじられ役”である[4]。
- ガヤ芸人
- 司会者がネタとして芸人達をないがしろにするような言動を取った時や、クイズ席やステージに上がっているゲストが大ボケをした時に、雛壇の後方から大声でツッコミやヤジを入れたり、揃って席から転げ落ちるなどのリアクションを取ったりする。品川によると『お笑い芸人歌がうまい王座決定戦スペシャル』(フジテレビ系列)、『史上最強のメガヒットカラオケBEST100 完璧に歌って1000万円!!』(テレビ朝日系列)など、ゲストが多人数での番組から誕生した後発のジャンルとのこと。
- その『アメトーーク』でも2008年11月20日と2012年2月16日の2回「ガヤ芸人」を取り上げた。
小ワザ
VTR鑑賞中に「あ〜」「へぇ〜」「なるほど〜」と感嘆してみせることで、笑いとは関係ないがワイプに映し出され[8]、場合によっては音声もオンエアされる場合もある。また、場合によっては教養番組のようなゲストのリアクションが欲しい番組で起用されることもある[9]。
- ^ 「アメリカザリガニのお笑い用語講座 連載第五回な行」『お笑いタイフーンJAPAN』第11号、エンターブレイン、2005年、pp.104。
- ^ “ノミネート60語発表!流行語大賞候補に「1000円高速」「トゥース」”. オリコン. (2009年11月13日)
- ^ a b “工夫のない「ひな壇番組」が増えてきた理由とは”. ガジェット通信. (2013年3月25日)
- ^ a b c d e 「エンタ業界の大疑問100 “テレビ編”」『日経エンタテインメント!』第10巻第15号、日経BP社、2006年10月、pp.28。
- ^ a b c “ひな壇芸人のギャラ「高くても50万円程度」と元テレビ局P”. NEWSポストセブン. (2013年3月23日)
- ^ “「一発芸人」におくる傾向と対策”. All About. (2007年9月4日)
- ^ 「人気者の賞味期限」『日経エンタテインメント!』第11巻第17号、日経BP社、2008年4月、pp.44。
- ^ “「ワイプ芸人」で生き残りをかける矢口真里”. 日刊ゲンダイ. (2011年12月15日) 2011年12月16日閲覧。
- ^ “「司会もゲストも観てるだけ......」ロケ番組のスタジオパートって本当に必要なの?”. 日刊サイゾー (2010年4月12日). 2011年12月16日閲覧。
- ^ “陣内智則〝横MC〟のルーツは島田紳助さん「当時紳助さんにツッコむ人いなかった」”. サンスポ (2023年2月16日). 2023年2月20日閲覧。
- ^ “フットボールアワー後藤輝基が、再注目された理由”. All About. (2011年8月22日)
- ^ a b c “エンタがビタミン♪】『ひな壇芸人』にたけしが警告。「タモリ、紳助を引っ張り降ろせ」とも。”. TechinsightJapan. (2010年6月17日)
- ^ “「ひな壇芸人的存在」から抜け出す確実な方法 誰からも重宝される人は「裏回し」がうまい!”. 東洋経済オンライン. (2017年1月5日)
- ^ “オードリー若林 機転の利いた対応力に評価高まる”. NEWSポストセブン. (2016年7月11日)
- ^ “オードリー若林、エッセイストとしての活躍のルーツは“人見知り”時代?”. リアルライブ. (2018年10月28日)
- ^ a b 「注目のお笑い、今年はどうなる?③「爆笑問題 ここにきて縮めてきた映画界との距離、その真意とは?」」『日経エンタテインメント!』第14巻第5号、日経BP社、2010年3月、pp.98。
- 1 雛壇芸人とは
- 2 雛壇芸人の概要
- 3 概要
- 4 芸人にとっての分岐点
- 5 雛壇芸人とされる主なお笑いタレント
- 6 関連項目
固有名詞の分類
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