関節炎 関節の検査

関節炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 23:18 UTC 版)

関節の検査

関節の診察

視診

視診では指を開いて対称性を確認する。指が一致しなくともMCP関節が両側で腫れていたら対称性ありとする。しかしMCP関節とPIP関節といったように関節の部位が異なった場合は対称とは言わない。

squeeze

MCP関節、MTP関節を握り圧痛を確認する。

指の可動域を調べる。

二段階拳で行う。具体的にはPIP関節を曲げて、つぎにMCP関節をまげる。

手首の可動域を調べる

底屈、背屈で行う。

関節穿刺

関節穿刺の最もおい適応は原因不明の急性単(少)関節炎である。特に化膿性関節炎を少しでも疑う場合は思考するべきである。また原因不明の慢性単関節炎も適応であり結核性関節炎など稀な疾患の診断に役立つこともある。穿刺部に皮膚感染を起こしている場合と出血傾向の場合は禁忌と成る。蜂窩織炎と鑑別が困難な場合は関節のMRIや超音波検査を検討する。人工関節は関節穿刺は相対的禁忌となる。関節穿刺の合併症は感染と出血である。穿刺に伴う感染のリスクは1万回に1回以下といわれている。

関節液の解釈

関節液 外観 粘性 白血球数(/μL) 多核球割合 結晶 培養
正常 透明 <200 <10% なし 陰性
非炎症性 透明 200〜2,000 <10% なし 陰性
炎症性関節炎 半透明 2,000〜50,000 様々 なし 陰性
結晶誘発性関節炎 混濁 200〜>50,000 >90% 痛風では尿酸結晶、偽痛風ではCPPD 陰性
化膿性 混濁 様々 200〜>50,000 >90% なし 陽性
血性 血性 なし なし なし 陰性

化膿性関節炎を疑うときは培養とグラム染色を優先する。化膿性関節炎グラム染色は感度が低いが特異度が極めて高い。検体が少量の場合は培養検査を最も優先する。Rule of 2sといわれているが、細胞数が多いほど、分画で好中球が多いほど化膿性関節炎の可能性が高くなる。

細胞数(/μl) 分類
〜200 正常
200〜2,000 非炎症性
2,000〜20,000 炎症性
20,000〜 化膿性

血性の関節液の場合は多くは関節腔内の小血管の損傷である。関節液の特徴と疾患を下記のようにまとめる。

関節液の特徴 疾患
非炎症性 変形性関節症、外傷性、SLEなど膠原病
炎症性 関節リウマチ、脊椎関節炎、SLEなど膠原病
結晶誘発性 痛風、偽痛風
化膿性 細菌性関節炎、結核性関節炎
血性 外傷性、シャルコー関節、腫瘍性(絨毛結節性滑膜炎など良性腫瘍)、血友病などによる出血傾向、結核性関節炎

  1. ^ 岡田 定 編: 「最速!聖路加診断術」 pp 162-166
  2. ^ ノーベル賞を補完する「クラフォード賞」 読売新聞(2017年12月10日)2018年1月13日


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