適時開示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/16 22:58 UTC 版)
不適正開示防止のため求められる上場会社の対応
現行
取引所規則の遵守に関する確認書
2010年6月29日に施行された改正有価証券上場規程により、株式等を上場する会社等の代表者が提出を義務付けられる書類。
提出書類および記載事項
- 予め以下の定型文が用意されており、そこに会社名を入れるとともに、代表者(社長・CEO等)が署名・捺印することで完成する。(前身の適時開示に係る宣誓書と同様。)
- 私は、当社が、その発行する株券を上場するについて、株式会社東京証券取引所(以下「取引所」という。)が定めた次の事項を承諾したことを確認します。
- 取引所が現に制定している及び将来制定又は改正することのある業務規程、有価証券上場規程、その他の規則及びこれらの取扱いに関する規定(以下「諸規則等」という。)のうち、当社及び上場される当社の株券(以下「上場株券」という。)に適用のあるすべての規定を遵守すること。
- 諸規則等に基づいて、取引所が行う上場株券に対する上場廃止、売買停止その他の措置に従うこと。
- 私は、当社が、その発行する株券を上場するについて、株式会社東京証券取引所(以下「取引所」という。)が定めた次の事項を承諾したことを確認します。
提出義務
- 新たに上場する場合
- 代表者の異動があった場合
廃止
適時開示に係る宣誓書
上場会社は、その代表者が、投資者への会社情報の適時適切な開示が健全な証券市場の根幹をなすものであることを十分に認識し、常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を徹底するなど誠実な業務遂行に努めることについて真摯な姿勢で臨む旨を宣誓した「宣誓書」と、その添付書類として適時開示に係る社内体制の状況を記載した「適時開示体制概要書」の提出が求められる。なお、宣誓書制度は2005年に開始されたが、2010年、提出義務のひとつである「前回提出から5年間が経過するとき」を初めて迎えることから、代表者の異動がなかった上場会社においても見直しが入った。
一方、2010年の制度変更に伴い適時開示に係る宣誓書は取引所規則の遵守に関する確認書へ、適時開示体制概要書はコーポレート・ガバナンス報告書の内容とすることとなり、適時開示に係る宣誓書制度は終焉を迎えた。
提出書類および記載事項
- 適時開示に係る宣誓書
- 予め以下の定型文が用意されており、そこに会社名を入れるとともに、代表者(社長・CEO等)が署名・捺印することで完成する。
- (会社名)は、投資者への適時適切な会社情報の開示が健全な金融商品市場の根幹をなすものであることを十分に認識するとともに、常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を適切に行えるよう添付書類に記載した社内体制の充実に努めるなど、投資者への会社情報の適時適切な提供について真摯な姿勢で臨むことを、ここに宣誓します。
- 予め以下の定型文が用意されており、そこに会社名を入れるとともに、代表者(社長・CEO等)が署名・捺印することで完成する。
- 適時開示体制概要書
- 宣誓書のような定型文はなく、ガイドラインでは適時開示体制の整備のポイントとして紹介される事項に基づき記載する。ただし、機械的に項目を網羅する必要はなく、メリハリをつけて適時開示体制の「概要」を記載することで足りる。適時開示体制の整備のポイントは以下のとおり。
- 適時開示業務を執行する体制の整備にあたり検討すべき事項
- 経営者の姿勢・方針の周知・啓蒙等
- 経営者の姿勢・方針の明示
- 経営者の姿勢・方針の周知・啓蒙
- 経営者による姿勢・方針の実践
- 適時開示体制との関連を考慮したコーポレート・ガバナンス
- 自社の適時開示に関する特性・リスクの認識・分析
- 適時開示に関する自社の特性の認識・分析
- 適時開示に関するリスク及びその原因となる事項の認識・分析
- 経営者の姿勢・方針の周知・啓蒙等
- 適時開示業務を執行する体制
- 開示担当組織の整備
- 開示担当部署の整備
- 全社的な対応体制
- 開示関する教育
- 体制の整備の範囲
- 適時開示手続の整備
- 開示手続と開示プロセス
- 開示対象情報の種類
- 整備した手続の社内への周知徹底
- 適時開示手続の要点
- 情報収集プロセス
- 迅速性:適時開示すべき情報を迅速に収集する
- 網羅性:適時開示すべき情報を網羅的に収集する
- 適時性:適時開示すべき情報を適時に開示できるよう開示業務を管理する
- 分析・判断プロセス
- 適法性:関連法令、有価証券上場規程等を遵守して適時開示業務を実施する
- 正確性:適時開示すべき情報の正確性を確保する
- 公式性:情報の正確性や適法性に加えて、開示資料の内容の十分性、明瞭性等を確認した上で、会社として公式な承認・決定等を行う
- 公表プロセス
- 公平性:開示資料の公表にあたり、公平性に配慮する
- 積極性:開示資料の公表にあたり、積極的に対応する
- 情報収集プロセス
- 適時開示手続と密接に関連する他の社内手続との関連性
- 適時開示体制を対象としたモニタリングの整備
- 内部監査部門等によるモニタリング
- 監査役又は監査委員会によるモニタリング
- 適時開示体制概要図
- 開示担当組織の整備
提出義務
- 宣誓書
- 新たに上場する場合
- 代表者の異動があった場合
- 前回提出から5年間が経過した場合
- 適時開示体制概要書
- 新たに上場する場合
- 代表者の異動があった場合
- 前回提出から5年間が経過した場合
- 適時開示に係る社内体制が変更になった場合
開示場所
- 宣誓書及び適時開示体制概要書は、証券取引所のWebサイトで公衆の縦覧に供される。
関連資料
有価証券報告書等の適正性に関する確認書
上場会社の有価証券報告書および半期報告書について、上場会社の代表者が、不実の記載がないと認識している旨およびその理由を記載した書面(有価証券報告書等の適正性に関する確認書)の提出が求められる。
提出義務
旧証券取引法では任意提出だった確認書を提出した場合には、当該有価証券報告書等の適正性に関する確認書の提出は不要とされていた。そのため、本制度は、任意の確認書を提出していない上場会社のためにあったといえる。
金融商品取引法が施行され四半期報告書制度や内部統制報告書制度とともに、確認書制度が提出が義務化されたことに伴い、「有価証券報告書等の適正性に関する確認書」の提出は実質不要となった。
開示場所
- 有価証券報告書等の適正性に関する確認書は、証券取引所のWebサイトで公衆の縦覧に供される。
- 1 適時開示とは
- 2 適時開示の概要
- 3 不適正開示に対する処分
- 4 不適正開示防止のため求められる上場会社の対応
- 5 証券取引所での取扱い
- 6 関連
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