識別標識 (電線)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/29 09:36 UTC 版)
ここでは、主に色による識別について述べる。
ISO/JISにあるもの
- 接地線、保護導体(PE) - 緑/黄 (IEC 60446英語版記事)、または緑(JIS C 0446)
- 接地側電線、中性線、中間線(N) - ライトブルー(IEC 60446)、または白(薄い灰色)(JIS C 0446)
- これらは、被覆の色であればそれを利用する。これらの色がない場合は、全長にわたって(こちらが望ましい)、あるいは、端末などの要所にこれらの色でマーキングする。
- PEN導体 - 次のいずれか
- 全長にわたり緑/黄、さらに端末にライトブルー (IEC 60364-5-51)、または全長にわたり緑、端末に白(薄い灰色) (JIS C 60364-5-51) - つまり全長にわたりPEの色、端末をNの色にする
- 全長にわたりライトブルー、さらに端末に緑/黄(IEC 60364-5-51)、または全長にわたり白(薄い灰色)、端末に緑JIS C 60364-5-51) - つまり全長にわたりNの色、端末をPEの色にする
- 緑/黄の組み合わせ(IEC 60446)および緑(JIS C 0446)は接地線以外に使用してはならない。
- 誤使用防止のため、単色の黄および緑は、緑/黄の組み合わせと混乱する恐れがあるところでは使用してはならない。
- 中性線、中間線が使われていない場所では、多芯ケーブル内のライトブルーの電線を接地線を除いた他の目的に使用することができる(実際には白も同じ扱いになっている)。
IEC 60446では、望ましいものとして、緑/黄、ライトブルー、黒、茶、の組み合わせを挙げている。JIS C 0446では日本国内の例として、 (緑、)黒、白、赤、をあげている。
日本国内の屋内電気配線では黒、白、赤、緑を使用することが一般的であり、VVFケーブルを用いて配線する場合には、一般的な黒、白、赤の心線のうち、100V系配線では赤を、200V系配線では白をアースに転用して、末端に緑色のビニールテープを巻くなどして識別する場合がある( / )。そのような転用をする必要がない黒、白、緑の3色、または黒、赤、緑の3色の組み合わせのVVFケーブルも存在する。
その他の規格等にあるもの
- 平成16年版 公共建築工事標準仕様書(国土交通省)
平成16年版 公共建築工事標準仕様書(国土交通省)電気設備工事編 第2編 電力設備工事 1.8.4(b)では、以下のようにされている。
主回路の導体は、表1.8.5により配置し、その端部又は一部に色別を施す。ただし、色別された絶縁電線を用いる場合には、この限りでない。
表1.8.5 電気方式 左右、上下、遠近の別 赤 白 黒 青 白 三相3線式 左右の場合 左から
上下の場合 上から
遠近の場合 近いほうから第1相 接地側 第2相 非接地 第2相 第3相 - 三相4線式 第1相 - 第2相 第3相 中性相 単相2線式 第1相 接地側 第2相 非接地 第2相 - - 単相3線式 第1相 中性相 第2相 - - 直流2線式 左右の場合右から
上下の場合上から
遠近の場合近いほうから正極 - - 負極 - [備考]
- 左右、遠近の別は、正面から見た状態とする。
- 分岐回路の色別は、分岐前の色別による。
- 単相2線式の第1相は、黒色とすることができる。
- 発電回路の非接地第2相は、接続される商用回路の第2相の色別とする。
- 単相2線式と直流2線式の切替回路2次側は、直流2線式の配置と色別による。
- 社団法人日本電機工業会規格、JEM 1134「配電盤・制御盤の交流の相又は直流の極性による器具及び導体の配置及び色別」においては以下のように規定している。
電気方式 | 赤 | 白 | 青 | 黒 |
---|---|---|---|---|
三相3線式 | 第1相 | 接地側 第2相・非接地 第2相 | 第3相 | - |
三相4線式 | 第1相 | 第2相 | 第3相 | 中性相 |
単相2線式 | 第1相 | - | 接地側 第2相・非接地 第2相 | - |
単相3線式 | 第1相 | - | 第2相 | 中性相 |
直流2線式 | P | - | N | - |
電力会社 | 赤 | 白 | 青 | 黒 | 黄 |
---|---|---|---|---|---|
北海道電力 | 第2相 | 第3相 | 第1相 | - | - |
東北電力 | 第1相 | 第2相 | - | 第3相 | - |
東京電力 | 第2相 | 第3相 | - | 第1相 | - |
北陸電力 | 第1相 | - | 第3相 | - | 第2相 |
中部電力 | 第3相 | 第2相 | 第1相 | - | - |
関西電力 | 第1相 | 第3相 | 第2相 | - | - |
中国電力 | 第1相 | 第2相 | 第3相 | - | - |
四国電力 | 第1相 | 第2相 | 第3相 | - | - |
九州電力 | 第2相 | 第1相 | 第3相 | - | - |
沖縄電力 | 第1相 | 第2相 | 第3相 | - | - |
[備考]
- 劇場等演出空間電気設備指針では、信号回路に関する接地(機能用接地)の識別として、黄を望ましいとし、かつ端末および適当な場所に、信号回路に関する接地の接地線であることを表示する必要があるとし、以下のように定めている。
電気方式 | 赤 | 白 | 黒 | 青 | 白 | 緑又は緑/黄 |
---|---|---|---|---|---|---|
三相3線式 | R相 | S相 接地側 | S相 非接地側 | T相 | - | 接地線 |
三相4線式 | R相 | - | S相 | T相 | N相(中性相) | 接地線 |
単相2線式[1] | L相 | N相 接地側 | - | - | - | 接地線 |
単相3線式 | L1相 | N相(中性相) | L2相 | - | - | 接地線 |
[備考]
- 幹線を相別する場合には相の色別に合わせる。
- 単相2線式のL相は、黒色とすることができる。
- 赤、白、黒色の3心ケーブルを単相2線式に使用する場合には黒色=L相、白色=中性線、赤色=接地線(両端に緑色テープを巻く)とする。
- 主回路導体の配置に関しては、左右の場合左からを原則とするが、右からとすることもできる。
紛らわしい例
- 日本国内
- スイッチから灯具にいたる配線は、原則に従えば白ではなく、電源側が黒であれば区別のためそれ以外の色、例えば赤になるべきであるが、2芯ケーブルは白と黒なので、例外規定に準じて、白を使って配線されるなど。[2]
第1相 | 第2相 | 第3相 | 中性線 | 接地線 | |
---|---|---|---|---|---|
赤 | 黄 | 青 | 黒 | 緑 | 英(Pre-1997 IEE)[3][4] |
赤 | 黄 | 青 | 黒 | 緑/黄 | 英(Pre-2004 IEE)[3][4] |
茶 | 黒 | 灰 | 青 | 緑/黄 | 欧(IEC 60446)[3][4][5] |
赤 | 白 | 青 | 黒 | 緑 | 豪(日本国内でも丸茂電機旧社内規定などで例有り) |
黒 | 赤 | 青 | 白 | 緑 | 米[4][6] |
- ^ この表には無いが、第二相非接地の場合、L1相=赤、L2相=黒、接地線=緑(白の両端に緑テープで代用可)が正当と思われる
- ^ 平成18年度第二種電気工事士技能試験(7月23日実施)の解答(電気技術者試験センター)リンク切れ
- ^ a b c en:Electrical_wiring_in_the_United_Kingdom
- ^ a b c d en:Camlock_(electrical)
- ^ en:IEC_60446
- ^ en:Electrical_wiring_in_North_America
- 1 識別標識 (電線)とは
- 2 識別標識 (電線)の概要
- 3 総括
- 4 外部リンク
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