裏切りは僕の名前を知っている
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/15 15:13 UTC 版)
作中用語
- 祇王一族(ぎおういちぞく)
- 代々特殊な能力を持つ家系で、知られざる影の存在ながらも政財界に影響を与えている。現在は天白が総帥として一族を率いている。夕月や『戒めの手』のメンバーも祇王一族である。元は京都に本家を構えていたが、政治経済の中心が東京に移ったことにより現在は鎌倉に本邸を構え、総帥である天白が住んでおり、“祇王一族の力の源”である『神の霊石』がある、京都本家を現在管理しているのは式部家。
- 祇王一族は祇王家を頂点とした『十神家』で構成され、特殊能力を保持する為に血族内での婚姻を繰り返している。特にツヴァイルトはツヴァイルト同士の婚姻が望ましいとされている。十神家は以下の通り。「祇王家」「神命家」「叢雨家」「蓮城家」「碓氷家」「蓬莱家」「降織家」「乙撫家」「式部家」「黎泉家」。
- 神命家は祇王家に次ぐ強力な能力者を輩出してきた家系である。しかし4年前にカデンツァを召喚し制御に失敗した正宗の父親の咎により、正宗兄弟と母親は一族から追放された。その後、母が倒れたため正宗が悪魔召喚士になることを条件に天白に保護を約束され、現在に至る。なお、泠呀の血筋も元をたどれば神命家であるらしい。
- 江戸時代、幕府の命で江戸の町の要所に悪魔の侵入を防ぐための結界を張っており、現在も警視庁などから情報機関『終焉の盾(ワールド・エンド)』にもたらされた、普通であれば死ぬはずのない場所で人が死ぬ、発見された時の状況に反して遺体の状態が酷いなどの不審な事件の捜査にツヴァイルトなどを介入させ、悪魔の仕業かどうかを見極めることもある。
- ルカは1つ前の戦いから祇王の陣営に加わっているが、本来敵である上級悪魔であるため本邸の関係者の中にはルカの存在をよく思わない者もいる。
- 神の光(かみのひかり)
- 夕月が持つ能力。悪魔の攻撃で受けた傷を癒し戦う力を回復させることや、防御術などによる戦闘補助が行える能力。ただし、傷を癒す際は、対象者の体から自分の体に傷を移し替える方法を取るため、傷の度合いによっては痛みに苦しんだり、力を注ぎすぎて倒れることもある。斎悧によれば、歴代の『神の光』は戒めの手たちの傷を癒し続けた結果、引き受けた痛みや苦しみに耐えきれず、最後は狂い死ぬ。
- この能力を持つ者は代々天白が行う「神降りの儀」によって、祇王一族の中でも力の強い女性を母体として転生する。戒めの手たちにとっては主であり、守るべき存在。祇王一族の切り札であるため、かつてはその身を護る戒めの手といえども簡単に面会できない存在だったが、先代の能力者であるユキは黄昏館で戒めの手たちと暮らしていた過去があり、当代の夕月も現在は戒めの手たちと行動を共にする。
- 戒めの手(ツヴァイルト)
- 祇王一族の中でも特に強力な能力を持つ者達の総称。運動能力や治癒力なども普通の人間とは比べ物にならないほど高い。悪魔を狩る役目を負っている。能力を保持するために秘術による転生を繰り返す。しかし、悪魔に殺された者は魂ごと消滅してしまい、転生することは不可能となる。その戦闘力は生命力に依るところが大きく、戦いに際して対悪魔武器を使い、特殊能力を使うということは自らの寿命を削るのと同じこと。そのため悪魔に殺されずとも概して短命で、気力体力の充実した10代の頃に戦えるよう、天白が転生時期を調整している。『黄泉の落日』から戦っている、特殊能力を持つ者は特に「オリジナル」と呼ばれる(斎悧は『黄泉の落日』の次の戦いから参戦しているが、当時はあまり血が薄まっておらず特殊能力の邪眼を持っていたため例外的にオリジナルの方に入るらしい)。その特殊能力ゆえか、転生組は「自分の存在そのものが、自分が大切に想う周囲の人間に不幸をもたらし、時には死へ導く」という認識を持つ[5]。また、『黄泉の落日』当時、転生組のほとんどは天白に従って悪魔の討伐に行っていたため、里へ戻ってきたら火の海だった、というくらいしか覚えていないという[5]。
- 本能的に『神の光』の能力者の傍で命令を受けられることを喜びと感じ、『神の光』の存在自体に救われている。そのため、自分達の要でもある『神の光』が諸事情で自分達の目の届かないところに行けばテンションが下がり、能力を使ったことによる疲労等で倒れた場合は心配し、「自分達が未熟なせいだ」と極端なまでに落ち込む[注 6]。
- 7歳になると師匠の元で修行を始める。原則的に攻撃専門と保守専門の二人一組で行動し、戦死者が出たりしない限り、ペアの変更はほぼない。また、ペアは精神的な同調率を高めているため、第六感めいた勘で相手の存在を感知することが出来る。各自身に着けている指輪に呪文(スペル)を練り込み、対悪魔武器を封印している(後述)。この呪文は前世の自分が決めた言葉であり、そのまま武器の名前となる(ただし、武器の形状はその時々によって異なるらしい)。なお、ツヴァイルトの持つ対悪魔武器は所持者にしか使えず、所持者は重さを感じない[4]。
- また、その能力は悪魔以外のいわゆる「霊的なモノ」にも一応効果があるらしく、黒刀と千紫郎はいわゆる「狐憑き」の少女を相手に除霊めいたこともやってのけた(ただし完全に浄化できるわけではないので、本式の浄化は陰陽師である冬解に委ねられた)。
- 黒刀と千紫郎のペアのように片方が今世から参戦する新人である場合、戦死した前任者の指輪を引き継ぐ儀式を行う必要があるが、指輪(直前に身に着けていた前任者)に認められるほどの絆を結べていなければ指輪を身につけることは出来ない。
- 戒めの手の指輪
- シンプルなデザインの銀の指輪で、刻まれている文字は「AGLA(汝は強大にして永遠なり)」と持ち主の名前。これに各自武器を封印している。また、指輪をどの指に嵌めているかはそれぞれ違う(上段の戒めの手の項目参照)[9]。
- 結界(ロックセプト)
- 保守専門ツヴァイルトのみが使える術。原作では夕月も使えるようになった。ある一定の範囲の空間を異次元へ隔離し、部外者の侵入を妨げる。この空間内で破壊されたものは術を解くと修復される。
- 解縛(かいばく)
- 保守専門ツヴァイルトのみが使える術。人間に取り憑いている悪魔を人間から引き剥がし、結界の中に閉じ込める。
- 既に実体化している悪魔に対しては同様に「緊縛」という術を使い、動きを封じる。術者によってその形態は異なり、九十九は十字架に磔にするように、愁生は檻に閉じ込めるように具現化する。どちらも悪魔の能力が高ければ破壊されることがある。
- 聖護盾(ハーロ・ウォー)
- 『神の光』のみが使える最強の防御術。カデンツァ曰く「『神の光』の得意技」。ただし、魔力をかなり消費するので長時間発動させることは難しい。
- 神の癒し手(かみのいやして)
- 舞台版で登場した、『神の光』が使える回復術。複数の仲間を同時に回復させる。仲間が分散していても使える。複数人を同時に癒し、戦う力を補充するため、『神の光』本人の負担は大きい。
- 黄昏館(たそがれかん)
- 夕月や戒めの手達が共同生活を送る洋館。敷地には天白の住む鎌倉本邸同様結界が張ってあり、一般の人間が入ることは出来ない。都内新宿付近某所にあるようだが地図には載っていない。遠間曰く、ここで働けることは「一族の者にとって名誉なこと」。
- 戒めの手の中では焔椎真・愁生ペアが最も早く移住してきたらしいが、その当時から橘が館長を務めている。
- インフェルヌス
- 悪魔界の総称。悪魔達はここから人間界へ何者かによって召喚されるか、あるいは突発的に現れる。
- 悪魔(デュラス)とその階級
- 悪魔(デュラス)は、インフェルヌスの生命体の総称。ただし、下級悪魔は、条件が合致すれば人間界で自然発生することもある。基本的に中級以上の悪魔は召喚されない限り人間界に現れることはない。人間界では悪魔と呼ばれるが、インフェルヌスでは“誇り高き者”を意味する種族名。
- 心に闇を持つ人間に取り憑き、その人間の禍々しい思いを取り込むことによって能力が上がる。悪魔に取り憑かれた人間は、体の何処かに黒っぽい痣のようなもの(「血の刻印」)が浮かんでいるが、分かりやすい位置にあるとは限らない。また、能力の高さによって階級分けして呼ばれているが、ランク付けは祇王家が便宜上行ったもの。
- 下から「下級悪魔(ニーダトレヒ)(ランクE、F)」「中級悪魔(ミッドヴィルン)(ランクB、C、D)」「上級悪魔(オーパスト)(ランクA、S、SS)」と呼ばれる。階級の高い悪魔ほど、この世のものとは思えないほど美しい人型をしている。また、ランクAより強い上級悪魔は上から順に「貴族」(ランクSS)、「将校」(ランクS)とも呼ばれ、貴族より上(ヒエラルキーの最上位)に魔王クラスの「ランクU」が存在する。この「U」は「Unknown」(未知)や「Unidentified」(未確認)を意味する[9]。
- 本名を知られるのは支配される事であるため通り名を使い、本当の名前を知るのは本人と契約主だけ(親兄弟であっても知らない)である。
- 悪魔召喚士(ネクロマンサー)は、その本名を知り支配下に置いた悪魔や竜など妖魔を使役する。上位の悪魔ほど召喚・制御には膨大な魔力が必要であり、呪縛から逃れようと下克上を狙われやすい。
- 魔道書(グリムワール)
- 悪魔召喚士が召喚の際に用いる本。悪魔の本当の名前が羅列されている。作中では泠呀が用いる『ラジエルの鍵』(表紙が水色系)の他、天白が用いる『ソロモンの鍵』(表紙が赤系)、神命正宗が用いる『ゴエティアの鍵』、リアらが海外から回収してきた物などが確認されている。また、かつて有王が所持していた『エノクの鍵』と呼ばれる物は『黄泉の落日』以来行方不明とされていたが、終盤にて京都本家に保管されていたことが判明。『ラジエルの鍵』・『ソロモンの鍵』・『エノクの鍵』の3冊は、最高クラスの魔道書である[5]。この3冊と使い手が揃った時、魔王クラスの悪魔ルシファーが召喚できると言われていた。
- 京都の祇王本家には魔導書ばかりを集めた図書館があり、関係者しか出入りできないよう不審者対策が施されている。
- 黄泉の落日(よみのらくじつ)
- 千年以上前、平安時代に起こった祇王一族と悪魔の戦い。四聖人のうち2名をはじめ、里の半数が殺された。以後、悪魔との戦争は数百年ごとに繰り返されており、戦いの時期になると『戒めの手』は転生の秘術により現世に呼び戻される。
- ワルプルギスの夜
- 年に一度、人間界での悪魔の魔力が高まる日の夜を指す。事故や殺人が起こりやすくなる。別名『死を招く紅い月の夜』。
- ブランド・ゼス
- クロスゼリア一族が生まれて間もなく腕に刻まれる印のこと。ブランドは“刻印”で、ゼスは“罪深き者”の意。大昔に祖先が大罪(人間に同胞の名を売り渡した)を犯したことにより、クロスゼリア一族は子々孫々まで生まれた時から罪人・奴隷として扱われる。血族婚を繰り返したため、エレジーに「醜い存在でありながら、純血であるが故に美しい存在」と評された。
- ルカの刻印が赤いのは、前の主人(魔王クラスの悪魔)が契約時に、彼を独占する目的で自身の血を使った契約を刻印に施したから。そのため、ユキによって契約が強引に破棄され、夕月と契約している現在でも、完全に破棄されたとは言えないらしい。
- 泉摩利学園(いずみまりがくえん)
- 学生ツヴァイルトの大半と夕月が通う私立学校。守護の女神の加護を受けているため、敷地内に悪魔が立ち入ることは出来ない。学年によってネクタイの色が異なる。高等部のほかに中等部もあるらしい。
- 高等部の保健医は特殊能力を持たない祇王一族の女性で、ある程度ツヴァイルトの事情を知っている。
- 朝陽院(あさひいん)
- 夕月が当初暮らしていた児童養護施設。院長が武道を嗜むためか、敷地内に道場がある。高校を卒業したら退所する決まりになっていて、奏多は高校2年の時に施設を出ている。夕月は当初、一足先に自立している奏多への憧れもあって、新居とする予定のアパートを探していた。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j 『月刊ニュータイプ 2009年10月号』 角川書店、2009年9月10日、131頁、ASIN B002MV4RIQ
- ^ データファイル「裏僕舞台袖」、『裏切りは僕の名前を知っている』第9巻より。夕月、ルカ、十瑚、九十九のデータ出典先も上記に同じ
- ^ a b 53話での斎悧の回想より。
- ^ a b あとがきまんが「裏僕楽屋裏」、『裏切りは僕の名前を知っている』第10巻より
- ^ a b c d あすかコミックスDX『裏切りは僕の名前を知っている 深紅にとけゆく想いの果てに』
- ^ 「戒めの手の昔々」、『裏切りは僕の名前を知っている』9巻収録(初出:あすかコミックスDX『裏切りは僕の名前を知っている』3巻&月刊「ASUKA」2008年1月号、2月号 応募者全員サービス「公式!裏僕攻略本」)
- ^ 『裏切りは僕の名前を知っている』第10巻 ドラマCD&トートバッグ付きスペシャル限定版(2012年6月5日発売)より
- ^ 単行本第1巻あとがきより。
- ^ a b データファイル「裏僕舞台袖」、『裏切りは僕の名前を知っている』第9巻
固有名詞の分類
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