若松区 概要・地理

若松区

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 23:18 UTC 版)

概要・地理

若松区は北九州市の北西部に位置しており、概ね旧若松市に相当する地区である。洞海湾響灘に囲まれた若松半島にあり、東部に古墳が散在するなど歴史は古く、自然に恵まれている[1]。北海岸の一部を除いて、臨海部は工場が立地する埋立地であり、北九州工業地帯を構成している。若松区役所や若松駅が位置する区の南東部が旧若松市からの中心市街地である。一方で八幡西区との区境付近に建設された北九州学術研究都市や高須地区の新興住宅地の開発など、区東部に対して西部の発展が大きかった。

若松北海岸は玄海国定公園に含まれ、白い砂浜と響灘の激浪に刻まれた玄武岩、露出した岩礁の眺めが美しいことで有名である。市内で唯一の岩屋海水浴場・脇田海水浴場があり、マリーンスポーツのスポットとして注目されている。脇田漁港の「汐入の里」は大勢の人で賑わいをみせている[1]

グリーンパーク・響灘緑地は北九州最大の総合公園で、サイクリングコース、野鳥の観察ゾーン、サイクリングターミナル、ひびき動物ワールドなどがある。また、グリーンパークの大芝生広場、熱帯生態園、バラ園などは市民の憩いの場となっている[1]

若松南海岸通り(洞海湾沿岸)の「若松バンド」は、大正時代の建物を中心とした近代港湾都市固有の帯状の都市空間で、かつて日本一の石炭積出港として栄えた歴史を伝えている[1]

文化の面では、若松出身の芥川賞作家・火野葦平の資料館が若松市民会館内にあり、葦平ゆかりの資料が展示されている。また、当時の状態で復元された葦平の旧居「河伯洞(かはくどう)」も一般公開されている[1]

「あじさい祭り」の会場でもある高塔山からは、若松の街並み、若戸大橋、響灘、関門海峡を一望できる。山頂には葦平文学碑、万葉植物園、河童封じの地蔵などがあり、四季折々の花が咲き誇る[1]

自然を残しながらも一方で、近年、響灘埋立地では資源循環型社会の実現を目指し、北九州エコタウン事業が展開されている。エコタウンでは環境関連技術の開発やリサイクル産業の集積が進んでいる[1]。「ひびきコンテナターミナル」は、東アジアと北米などとを結ぶ日本海ルートに面しているという地理的優位性を活かし、国際物流拠点港としての役割が期待されている。港湾の後背地には事業用地が広がり、物流関連産業や加工組立産業などの企業の立地が相次いでいる[1]。ひびき灘臨海工業団地の一角には風力発電施設「エヌエス ウインドパワーひびき」が立地するほか、響灘東地区の沖合では新エネルギー・産業技術総合開発機構によって洋上風力発電の実証研究を行う国内初の「洋上風況観測タワー」が設置されている[2]

若松区西部及び八幡西区北西部の北九州学術研究都市は、「アジアに開かれた学術研究拠点」と「新たな産業の創出・技術の高度化」を目指し、2001年にオープンした。理工系の国・公・私立大学や研究機関が同一キャンパスに集積し、学術研究機能と産業界との連携促進により、アジアの先端産業都市の実現を目指している[3]

洞海湾をはさんで戸畑区と隣接しているが、かつては若戸渡船が唯一の交通手段であったところ、1962年若戸大橋が開通し戸畑、小倉方面との往来が飛躍的に改善した。若戸を直接結ぶ唯一の幹線である同大橋は開通当初より予測を大きく上回る交通量のために交通渋滞が著しく、この解消と市街地をバイパスする物流ルートの構築を目的とした若戸トンネル新若戸道路)が2012年に開通した。


  1. ^ a b c d e f g h 若松区の紹介”. 北九州市. 2018年3月14日閲覧。
  2. ^ 国内初の洋上風況観測タワー設置完了”. 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (2012年7月3日). 2015年6月14日閲覧。
  3. ^ 北九州学術研究都市とは”. 北九州学術研究都市. 2018年3月14日閲覧。
  4. ^ 地名の由来”. 北九州市. 2018年3月15日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 若松区のあゆみ”. 北九州市. 2018年3月14日閲覧。
  6. ^ “ひびきの小が開校式 北九州市 児童増で新設15年ぶり”. 西日本新聞. (2017年4月9日). https://www.nishinippon.co.jp/amp/nnp/f_kitakyushu_keichiku/article/320447 2017年5月13日閲覧。 
  7. ^ 北九州市営バス路線図”. 北九州市 (2023年3月18日). 2023年4月20日閲覧。
  8. ^ 西鉄バス路線図(北九州市内)”. 西鉄バス北九州 (2017年9月). 2018年3月28日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 若松南海岸”. 北九州市. 2018年3月14日閲覧。
  10. ^ 火野葦平旧居「河伯洞」”. 北九州市. 2019年3月9日閲覧。
  11. ^ a b c 高塔山公園”. 北九州市. 2018年3月14日閲覧。
  12. ^ 響灘緑地グリーンパーク”. 響灘緑地グリーンパーク. 2018年3月14日閲覧。
  13. ^ a b c 若松北海岸”. 北九州市. 2018年3月14日閲覧。
  14. ^ ひびき海の公園”. 北九州市. 2018年3月14日閲覧。
  15. ^ 響灘ビオトープ”. 北九州市. 2018年3月15日閲覧。





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