芦屋市 環境

芦屋市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/27 22:46 UTC 版)

環境

阪急芦屋川駅から徒歩圏内にある東山町、山手町、三条町といった大正期に開発された山の手地区は、いずれも摂津国であり芦屋川や六甲山に近く、大阪湾を見渡すことのできる好立地にある。南傾斜地に建つ家々は成熟した文化を感じさせ、芦屋を代表する風光明媚な街並みが広がる。

昭和初期、市東北部に開発された六麓荘町は、駅から遠い立地を逆手に、運転手を有する富裕層向けの豪邸用地として造成された。地形に配慮した広い舗装道路や電線類を地中化した街には、広大なテニスコートプールなどが配された豪邸が次々と建築され、高級住宅地としての芦屋の名を一気に全国区に押し上げた。六麓荘町、及び奥池南町では現在も厳しい建築協定のもと、街の景観が守られている。芦屋川沿いにあり、海に近く、松林が点在する平田町や、浜芦屋町、松浜町なども歴史のある高級住宅地として名高い。

戦後になると、上記の町に隣接する朝日ヶ丘町や岩園町、阪急線以南などで次々と宅地開発が行われ、住宅地としての芦屋の地位はさらに確立された。有料道路沿いにある奥池町や奥池南町は、通勤圏内にある別荘地として開発され、現在では(2016年)奥池町、奥池南町を併せて630世帯もの邸宅が建設され、関西の著名人たちも様々な邸宅を建設している。 昭和40年代には、朝日ヶ丘町周辺でマンション建設ラッシュが、昭和50年代には芦屋浜の埋め立て地に高層マンションが次々に建設され、若い世代の流入が促進された。

昭和後期の国鉄〜JR芦屋駅前の再開発に伴い、駅周辺の商業施設が以前よりも充実すると、芦屋のイメージも一新され、大原町を中心にJR線沿いに利便性の高い住宅が供給され始めた。JR以南の地域でも宅地化、マンション建設が進んだ。

1995年の阪神・淡路大震災では、主にJR以南の地域で多くの家屋が倒壊、街の風景が一変するが、倒壊により空き地が目立った一帯に徐々に新しい家々が建築されるようになり、震災の10年後には、ほぼ、街も以前の落ち着きを取り戻した。また、2003年に入ると、埋立地の南芦屋浜の開発が進み、潮芦屋(愛称)ではヨットハーバーや人工砂浜のほか、日本初の係留施設付き邸宅が分譲され、芦屋に新しい表情が生まれた。この新しい町は、広い歩道と車道があり、電線類を地中化している。

住宅地で相続の際に広大な屋敷が集合住宅に立て替えられたり、敷地が細分化される傾向により、かつての高級住宅地としての芦屋の景観が徐々に変わりつつことが懸念される中、住宅地の景観保全に向けて、2006年、市議会で「建築物の制限に関する条例改正案」が審議され、六麓荘町における400平方メートル未満の土地売買の禁止、高さ10メートル以上の建物新築の禁止、さらに敷地面積400平方メートル以上の土地にのみ戸建住宅の新築が許可されるといった、全国に先駆けたいわゆる「豪邸条例」が可決された。この条例は2007年2月から施行されている。芦屋市では、この六麓荘町と奥池南町のみが、「豪邸条例」が施行されている。また、奥池南町では、もっとも規制が緩い地域で、敷地面積が500平方メートル以上とされている。

2015年には、芦屋らしい景観を守るための「芦屋市屋外広告物条例」が市議会本会議で可決、成立し、2016年7月より施行された。この条例では、京都市と同様に屋上広告物アドバルーンの禁止、点滅式照明の全面禁止などが盛り込まれており、住宅地で突き出し看板の面積を1平方メートル以下に定めた点など、全国でもっとも厳しい規制となっている。

芦屋市には市が建設を許可しないためパチンコ店が一店舗もないことで知られている。


注釈

  1. ^ 兵庫県全体ではほかには加古郡播磨町も、近畿地方の市ではほかには京都府向日市も該当する。
  2. ^ 旧菟原郡の残りは現在の神戸市灘区または東灘区となる。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『伝家之宝典 自治団体之沿革 兵庫県之部』240 - 241頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2021年4月18日閲覧。
  2. ^ 図典 日本の市町村章 p158
  3. ^ 高潮の阪神沿道で三百人行方不明『大阪毎日新聞』昭和9年9月22日号外(『昭和ニュース事典第4巻 昭和8年-昭和9年』本編p229 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  4. ^ 市章・市勢”. 芦屋市. 2023年3月2日閲覧。
  5. ^ 「芦屋ブランドを発展」伊藤舞市長が初登庁」『神戸新聞』、2019年6月11日。2019年6月11日閲覧。オリジナルの2019年6月11日時点におけるアーカイブ。
  6. ^ 芦屋市長が収支報告書に虚偽記載 事実認め謝罪”. 神戸新聞 (2011年6月4日). 2011年6月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月2日閲覧。
  7. ^ “芦屋市長を書類送検、政治資金規正法違反疑い”. 日本経済新聞. (2013年9月1日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3102E_R30C13A8CC1000/ 2018年6月10日閲覧。 
  8. ^ 選挙期日と議員任期の「ずれ」の解消に伴う次期県議会議員の任期について”. 兵庫県議会. 2019年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月2日閲覧。
  9. ^ 銀行、手数料安い「自治体指定金融機関」辞退の動き」『産経ニュース』、2019年2月26日。2023年3月2日閲覧。
  10. ^ 別冊宝島2611『80年代アイドルcollection』p.100.
  11. ^ 谷口晴紀(編)、2024年1月23日『Triangle magazine 02』〈日向坂46 正源司陽子 cover〉(初版)、東京都: 講談社、158–159頁。ISBN 978-4-06-534773-7






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