美 美の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 03:45 UTC 版)

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ノートルダム大聖堂バラ窓ゴシック建築では、光は最も美しい神の啓示と考えられており、そのデザインにはその啓示が込められていた。

概説

辞書的定義

広辞苑では次のように定義されている。

  • 美しいこと。美しさ。りま。[1]
  • よいこと。りっぱなこと[1]

そして3番目に哲学用語の「美」を挙げており、次のような説明になっている。

  • (哲学)知覚・感覚・情感を刺激して内的快感をひきおこすもの[1]。『快』が生理的・個人的・偶然的・主観的であるのに対して、『美』は個人的利害関心から一応解放され、より普遍的・必然的・客観的・社会的である。

ブリタニカ百科事典では、(広辞苑の3番目に挙げてある哲学的説明から入り)、「感覚、特に視聴を媒介として得られる喜悦・快楽の根源的体験のひとつ」としている[2]。そして、続いて次の注意点を指摘している。

  • 対象にみられる均衡・充実・輝きによって惹起される(タイプの美もある)[2]
  • だが、直接感覚を通さない、いわゆる《精神美》も考えられ、それは「超越美」と呼ばれる[2]

つまり、一方で美には直接の感覚による美があるが、他方、直接感覚に依存せず、精神的に感じられる美もある、と言っているのである。たとえば「彼の一生懸命な生きざまは美しい」「最後まで正義を貫いたこのお方の人生は本当に美しい」などと言うことがある。また「美しいの持ち主」と言うこともある。

これに関連して、今道友信は、『岩波講座哲学 第14』の「美学と芸術理論」において、美は自然の事物等に対する感覚的に素朴印象から、芸術作品に対して抱く感動感情、あるいは人間の行為の倫理価値に対する評価にいたるまで、さまざまな意味解釈の位相を持っている、と指摘した[3][注 1]

美しいものの具体例

人が例えば何を美しいと言うかというと、自分の祖国や故郷を美しいと言うことがあり、風景を見て美しいということがあり、はたまた美術作品などを見て美しいということもあり、男性は形の整った女性を美しいと言うことがあり、そして女性は形の整った男性を美しいと言うことがあり、数学者は方程式のある種の解法を美しいと述べることがある[4][注 2][注 3]

またモーツァルトフォーレの音楽は、「繊細な美しさを持つ」[5]と言われることがある。

ヘルマン・ヘッセは、作品に『青春は美し』という題をつけた。その意味で、青春も美しいとされることのあるもののひとつと言えよう(ただし、青春は人それぞれで、実に様々な形容詞がつけられている。)

美と芸術の相違

「美」と「芸術」は異なる。『岩波哲学講座 (6)芸術』の「はしがき」を書いた人によると、美しいものは必ずしも芸術ではない[5]」。美しいものすべてが芸術というわけではない。また、逆に芸術作品すべてが美しいというわけでもない。

美と存在論

プラトンは《超越美》(=「精神美」)は実在し、個々の美しいものは、この超越美の分有である、と述べた[2]。(イデア論

美の具体的種類

美を一意に定義することは困難であり、その定義づけが美学という一つの学問として成立するほどである。美の種類、もしくはカテゴリーとして次のようなものがある。

  • 自然美 - 自然の手付かずの美、自然による造形(グランドキャニオンなど)
  • 芸術的な美 - モナリザ、ダヴィデの像、印象派の絵画
  • 造形美 - 建築構造物の美(宮殿、大聖堂、ピラミッド)
  • 機能美 - ハンドクラフト、織部の焼き物、パイプ、ガラス器

美のイメージ

ひとにとって美は、概念的に思考することのできるものであるだけでなく、同時にイメージとしても思い描かれ、それと重ね合わせて想像することもできる。

映画:マリリン・モンローブリジット・バルドー
ダンス:イザドラ・ダンカン
絵画:ビーナスの誕生モナリザ、裸体のマハ

注釈

  1. ^ 今道友信は、より厳密な表現においてであるが、自然・技術・芸術・人格存在のありようにおいて、「美の位相差」を論じている。
  2. ^ これらは別の「美しいもの」によって例示可能である。
  3. ^ 数学者が感じる美についての説明は「数学的な美」という詳細な記事が書かれている。
  4. ^ 古代ギリシア語カロス(kalos)は、現代日本語の「美しい」とは意味の異なる言葉である。英語の beautiful に「見事な」という意味があるように、言葉の概念が対応しない例である。

出典

  1. ^ a b c 広辞苑第六版【美】
  2. ^ a b c d ブリタニカ百科事典【美】
  3. ^ 桑原武夫,加藤周一 編 1969, p. 13.
  4. ^ 「はしがき」『岩波講座哲学 (6)芸術』、i。巻頭の「はしがき」において、編者は、「大和の国は美しく、小野小町は美しく、方程式のこの解法は美しいという」と記している。(引用)
  5. ^ a b 「はしがき」『岩波講座哲学・芸術』、i。
  6. ^ 今道友信「西洋における芸術思想の歴史的展開(古代・中世)」『岩波講座哲学・芸術』、p.39。パンドーラーキルケーヘレネーなどの「美しき者」はまた同時に災悪(カキアー)であった。
  7. ^ 今道友信「西洋における芸術思想の歴史的展開(古代・中世)」、p.54。「カロカカキア」というギリシア語は存在しない。『理想』に掲載した論文中で今道が造語した。
  8. ^ a b 今道友信「西洋における芸術思想の歴史的展開(古代・中世)」『岩波講座哲学・芸術』、p.39。
  9. ^ a b 桑原武夫,加藤周一 編 1969, p. 8.
  10. ^ 羍(タツ・こひつじ)について『説文』に「小羊なり」、『玉篇』に「生まるるなり」とあり、小羊の生まれるさまをいう(白川(字統) p.597)。
  11. ^ 白川(字統) p.85、p.168、p.597、p.745
  12. ^ 白川(常用字解) p.50、p.103、p.537






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