紀州弁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 09:22 UTC 版)
紀州弁の一例
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【県内全域】
- 助動詞「やん」には、強意、打消、疑問の意味がある。
【紀北方言】
- 「かだら」=「体」 (「かだらの調子悪いわ」)
- 「あれー(発音はHLL)」=「あらまあ」
- 「いや!」(HL)=「あれ!」
- 「おもしゃい」=「面白い」
- 「わい・わえ」=「僕、俺、我」男性の一人称。(和歌山放送で放送中のWA!ERAの由来。「わえら」=「我ら」)
- 「吾(あ)が」・「吾(あ)がら」=「私」・「私ら・俺ら・我ら」。「(相手に向かって)自分(ら)」 和歌山県南部の地方紙・紀伊民報のURLの agara.co.jp の語源である。
- 「おまはん」=「あなた」、「御前様(尊敬語)」
- 「○○もて」=「○○しながら」/→「つれもて」=「一緒に」
- 「いこら」=「行きましょう」
- 「ほや」「ほいだら」=「それなら」「ほなら」
- 「動詞の連用形+やな」=「~ないと(義務)」※しやな=しないと、見やな=見ないと など
- 「去(い)んでくる」=「帰る」の未来進行形。去んでからまた来る、という意味ではない。例「ほな、去んでくるわ」=「じゃ、帰るからね」
- 「1月」=「いちげつ」(「いちがつ」ではない)
- 「ジテコ・チャリ」=「自転車」(原チャリ=原付)
- (和歌山市周辺)「きいそば」、「中華そば」=「ラーメン」
- 「どてらい」、「どえらい」=「凄い」・「とんでもない」(『どてらい男』の題名の元になった。)
- 「水雪履」=「ビーチサンダル」
- 「バレーシューズ」=「上履き」
【紀中・紀南方言】
- 疑問の助詞「け」(例・~してるんけ?)
有田地方に多く見られ、紀州弁のみならず、泉州地方の方言などでも見られる。
- 「てき(てきゃ)」・「てきゃら」=「あいつ」・「あいつら・奴ら」
- 「○○いけんごー」=「○○いけますよ(出来ますよ)」
- 「うたとい」=「鬱陶しい」あるいは「面倒くさい」 上古、中古表現「うたてもはべりけるかな」参照
- 「じょう」=「しょっちゅう、いつも」。例「てきゃ、じょうあんなこと言うちゃあら」=「あいつ、しょっちゅうあんなこと言っているんだ」
- 「そこたい」=「そこら辺」(和歌山市~日高郡みなべ町周辺まで)
- 「もじける」=「壊れる」(「もじけ飛ぶ」=「ぶっ壊れる」、下津・有田地方以南)
- 「いっかど」=「沢山・大変(紀南のみ)」
- 「やにこい」=「とっても 英語のVery」(日高郡みなべ町・田辺市・白浜町を中心とした西牟婁地方)
- 「がいな」=「途方もない、大変な、あきれた」 (「がいな嫁やなあ」)徳島県にも見られる表現
- 「うとい」=頭の鈍い、うとさく=アホ・バカ(紀南のみ)[52]
【その他】
- 「関口1番」=「開口1番」(意味は同じで両方使われることもある)
- 「さいら」=「秋刀魚」
- 「なっとう」=「どのように」 例:「なっとうしたん?」=「どうしたの?」、「なっとうすなぁよ」=「どうするんだよ」・「どうするっていうんだよ」
- 「ずつない」=「~いっぱい」例:「腹ずつないわー」=「腹いっぱいだー」
- 「ごんぱち」=「イタドリ」
- 「ながれこ」=「トコブシ」
- 「とごる」=「沈殿する」
- 「ほる・ほかす」=「捨てる・破棄」
- 「なおす」=「片付ける」
- 「いちびり」=「お調子者」
- 「べっこう」=「余計な事」
- 「こうしゃく」=「言い訳」
- 「~えらい」=「~しんどい・~疲れた」
- 「よじめる」=「寄せ集める」(物に対しての例、人物に対しては使わない)
- 「へた・ふつ」=「切り傷等の血の固まった痕」
- 「ちゃっちい」=「おかしい・変」
- 「横やり」=「横入り・横割り」(会話の途中で意味のない事や関係ない話を挟んできた場合に使う時の例)
- 「(指)つめる」=「(指)挟む」ドア・窓に指を挟んだ時に使う。
- 「こぼつ」=「解体・崩す」例:「あの建物こぼっとる」=「あの建物、解体してる(崩してる)」
- 「さら」=「新しい・新品」→(皿の意味ではない):発音は=「さらぁ」となる。
- 「あらくたい」=「もの凄い」
- 7時のことを全国的には「しちじ」と読むが、紀州弁では「ななじ」と読む。(和歌山駅の駅放送など)
昭和の中期以降に生まれた世代の県民ではこれらの一部はあまり使われなくなっている(この「一部」というのは、育った地域や環境で異なる場合がほとんど)。紀ノ川流域、岩出市や紀の川市などでは、若い世代の割合が高いため、特に語彙に年代別の差が見られる。
- ^ 楳垣 1962, pp. 12–14.
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- ^ 飯豊毅一ほか (1982-1986)『講座方言学』(全10冊),東京:国書刊行会
- ^ 遠藤嘉基ほか (1961)『方言学講座』(全4冊),東京:東京堂
- ^ 柴田武 (1988)『方言論』東京:平凡社
- ^ 平山輝男 (1968)『日本の方言』, 東京:講談社
- ^ 加藤和夫 (1996)「白山麓白峰方言の変容と方言意識」『日本語研究諸領域の視点』,323-345平山輝男博士米寿記念会編 明治書院
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- ^ 金田一春彦「熊野灘沿岸諸方言のアクセント」『日本の方言 アクセントの変遷とその実相』教育出版、1975年(『金田一春彦著作集第七巻』玉川大学出版部、2005年)
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- ^ a b c d 楳垣 1962, pp. 393–395.
- ^ a b c d 村内 1982, pp. 185–186.
- ^ a b 丹羽 2000, p. 29.
- ^ a b 『近畿方言の総合的研究』p.407より引用。原典では方言文はカタカナ表記。
- ^ 楳垣 1962, pp. 400–403.
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- ^ 楳垣 1962, pp. 128, 398–399.
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- ^ 楳垣 1962, p. 400.
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- ^ 司馬遼太郎著『この国のかたち』(文芸春秋刊)、第1巻152頁。
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- ^ 丹羽 2000, pp. 33–34.
- ^ 村内 1982, p. 190.
- ^ a b 丹羽 2000, p. 33.
- ^ 村内 1982, p. 191.
- ^ 朝日放送『探偵!ナイトスクープ』の調査より
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