移動式クレーン 移動式クレーンの概要

移動式クレーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/08 01:24 UTC 版)

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ジブを伸ばしたラフテレーンクレーン

移動式クレーンの分類

  • クレーン船 - 船舶または(はしけ)にクレーンを搭載したもの。浮きクレーン(フローティング・クレーン)ともいう。ただし、船舶甲板上に設置され自船の積荷の積み卸しを主として行うものは揚貨装置(要・別資格)となる。
  • ホイールクレーン - 車輪のついたクレーンで走行可能なものを指す。特殊自動車例示1-イ、9ナンバー
  • トラッククレーン - トラック用シャシ、またはクレーンキャリアの上に架装されたクレーンを指すもので、道路走行用とクレーン操作用の2つの運転席を有する。特種用途自動車使用目的3-3、8ナンバー。[1]
  • ラフテレーンクレーン - ホイールクレーンのうち、不整地走行性に優れるもので、走行とクレーン操作を同じ運転席で行う構造をもつ。クレーンメーカーが上部旋回体・吊上装置・下部走行体の全てを一貫製造するのが一般的。日本国内ではトラッククレーンからの置き換えが進んでいる。[1]
  • オールテレーンクレーン - 外観はトラッククレーンに似るが、4軸(8輪車)以上のものが主流。車体が大きく重量も大きいため安定性に優れ、高所への吊り作業に適しているのが特長。また全ての車輪を舵取りできるものが主流で、車体が大きいにもかかわらず最小回転半径が小さく小回りが利く。特種用途自動車使用目的3-3、8ナンバー。
  • クローラークレーン - 鉄製またはゴム製の無限軌道(クローラ)で走行する。走行速度は極めて低速であり公道では自走できないが、舗装されていない軟弱な路面上でも走行可能なうえに、ジブを伸展した作業姿勢のまま走行可能であり、河川工事、土木工事、基礎工事、大規模な建築工事の現場などで広く用いられている。
  • 車両積載形トラッククレーン - 俗にいう「カーゴクレーン」であり、一般的にはトラックの荷台とキャブ間に架装されている簡易型のクレーン。「ユニック」という名称は、古河ユニックの商標である。直進型のブームを持つものが日本では主流であるが、折り曲げ式ブームのトラック搭載型クレーンもあり、欧米市場ではむしろ折り曲げ式ブームのクレーンの方が普及している。
  • 操重車 - クレーンを搭載した鉄道車両
  • クレーン機能付き油圧ショベル - 2000年代より登場、油圧ショベルをベースに掘削作業と吊り上げ作業の兼用が可能になった。

移動式クレーンの構造

陸上を走行移動できる移動式クレーンの本体は、上部旋回体と下部走行体により構成されている。[2]

上部旋回体

旋回フレームの上には、巻上げ装置、起伏装置、旋回装置、運転室、ブーム(ジブ)が搭載されている。クローラ式、オールテレーン式、一部のホイールクレーンでは、原動機も上部旋回体内に搭載されている。

下部走行体

走行体にはクローラ式、トラック式、ホイール式がある。クローラは、クローラベルト、駆動輪、遊動輪、上部ローラ、下部ローラなどで構成される。トラッククレーン、オールテレーンクレーンのキャリアはトラック式、ラフテレーンクレーンのキャリアはホイール式、どちらのキャリアも特殊自動車である。一般的なホイールクレーンとトラッククレーンでは下部走行体に原動機を搭載して走行と作業に兼用している。

アウトリガ

トラッククレーン、オールテレーンクレーン、ラフタークレーンでは、アウトリガは、下部走行体シャーシ部に取り付けられ、アウトリガボックス、アウトリガビーム、アウトリガフロートなどにより構成される。油圧伸縮シリンダでアウトリガビームを張り出し、油圧ジャッキシリンダで機体を持ち上げ支える。タイプとして、H型アウトリガ、X型アウトリガがある。

  • H型アウトリガ:アウトリガボックスはシャーシ部と一体になっている。アウトリガビーム先端に油圧ジャッキシリンダがあり、その油圧ジャッキシリンダ先端に着脱式のアウトリガフロートを取り付ける構造。
  • X型アウトリガは、アウトリガボックス根本がシャーシ部にピン固定され、アウトリガボックス先端を油圧ジャッキシリンダが押す構造である。アウトリガビーム先端にアウトリガフロートが取り付けられている。

鉄道用操重車で吊上荷重5トン未満の小型のものでは、アウトリガーを装備せず、ターンバックルまたは油圧クランプ装置で、走行車体枠とレールを締付緊締して転倒防止する方式もある。

ワイヤロープ

ワイヤロープは、吊り荷巻上げ、ジブ起伏装置(クローラクレーンやラフィングジブなど)に用いられる。

ドラム(巻胴)

主ドラム、補ドラム、ジブ起伏用ドラム、第三ドラムなどがある。移動式クレーンでは、使用するワーヤーロープが長いため、ドラムにワーヤーロープを多層巻きにする。

シーブ

シーブは、ブームの先端、フックブロック、ジブ起伏ロープの端末で用いられ、このシーブを介してワイヤロープが複数本掛けされる。シーブ一枚の機械効率は、滑り軸受け0.96、転がり軸受け0.98。

クレーン船の構造

小型船舶のクレーン船では長らくデリックが多用されていたが、近年では車両積載形トラッククレーン - 俗にいう「カーゴクレーン」を採用したものが増えている。吊上荷重がおよそ20トン以下の漁業支援用途、揚錨作業用の小型クレーン船では、主巻と起伏のみで旋回機能を有さないものもある。吊上荷重が数十トンから500トン程度の港湾工事・海洋工事用途のものでは、高脚または高床デッキ上にクローラ式クレーンと同様な上部旋回体を搭載したものが一般的である。工事用クレーン船ではグラブバケット作業や重錘を重力落下させて岩礁を破砕する作業が多いので、陸上の移動式クレーンとは違い単索吊上力が非常に大きく、大型クレーン船では単索吊上力50~60トン程度のものが多い。吊上荷重がおよそ1000トンを超える大型クレーン船では、自体に航行装置を持たず、主ジブの動きは起伏のみで旋回機能を持たないものが殆どであり、旋回が必要なときは随伴するタグボートの推進力を受けて船体自体を旋回させる。








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