漸化式 他分野での応用

漸化式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 14:42 UTC 版)

他分野での応用

生物学

最もよく知られた差分方程式のいくつかは、集団動態モデルの研究に起源を持つ。たとえば、フィボナッチ数はうさぎの個体数の増加モデルとして使われたことがある。

ロジスティック写像は人口増加モデルに直接使われたり、より詳しいモデルの雛形として使われたりする。この文脈でいくつかの差分方程式はしばしば、二者あるいはもっと多くの人口の相互作用モデルとして用いられる。たとえば宿主・寄生生物相互作用に対するニコルソン-ベイリーモデルは

で与えられる。Nt は宿主、Pt は寄生生物のそれぞれ時刻 t における個体数を表す。

積分差分方程式は空間的な生態学の重要な漸化式を形成する。このような、あるいはもっと他の差分方程式は一化性動態のモデリンクに特に適している。

デジタル信号処理

デジタル信号処理では、漸化式はある時点の出力が新たな時点の入力となるシステムのフィードバックをモデル化することができる。したがって、無限インパルス応答 (IIR) ディジタルフィルタなどを考えることができる。たとえば、遅延時間 T の「フィードフォーワード」IIR 櫛型フィルタは

となる。ここで xt は時刻 t における入力で、yt は時刻 t における出力、α はどの程度の遅延信号を出力へフィードバックするかを制御するものである。ここからわかることとして

などが挙げられる。

経済学

漸化式、とくに線型漸化式は、理論経済学と実証経済学の双方にわたって広く用いられている[6]。特にマクロ経済学では、エージェントの活動が遅延変数に依存する経済のさまざまな幅広い分野(金融部門、商品部門、労働者市場など)のモデルが展開されている。したがって、このモデルは、外生変数や遅延外生変数を使って(金利や実質GDPなどの)鍵となる変数の現在値に関して解かれる必要がある。時系列分析も参照されたい。


  1. ^ Gilson, Bruce R. (2009). The Fibonacci Sequence and Beyond. CreateSpace. pp. 16 ff.. ISBN 978-1449974114 
  2. ^ Discussion on s
  3. ^ Partial difference equations, Sui Sun Cheng, CRC Press, 2003, ISBN 9780415298841
  4. ^ Chiang, Alpha C., Fundamental Methods of Mathematical Economics, third edition, McGraw-Hill, 1984.
  5. ^ Papanicolaou, Vassilis, "On the asymptotic stability of a class of linear difference equations," Mathematics Magazine 69(1), February 1996, 34-43.
  6. ^ Sargent, Thomas J., Dynamic Macroeconomic Theory, Harvard University Press, 1987.





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