漫画 各国の漫画

漫画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 13:44 UTC 版)

各国の漫画

世界各国で漫画は発行されているが、なかでも日本アメリカフランスの3か国は独自のアートスタイルと市場を持つ[18]

アメリカン・コミックスは、新聞漫画であるコミック・ストリップと、大手出版社からコミック・ブック形式で発行されるメインストリーム・コミック、そして独立系出版社のオルタナティヴ・コミックとに分かれる[19]スーパーヒーローもののコミックに代表され[20]、アメリカ国内でもその認識が強い[21]。コミック・ブックはカラーが中心である[22]

フランスの漫画はバンド・デシネと総称され、これにはフランスのみならず、ベルギー漫画などフランス語圏諸国のものが含まれる[23]。フランスでは「第9の芸術」と呼ばれることもあり、エンターテイメント性の高いものが中心ではあるが、技巧や芸術性の高いものも存在する[24]

世界的にはカラーが主流であるが、日本の漫画はおもにモノクロで描かれ[25]、独特のデフォルメされた絵柄や表現技法、ストーリーの長さ、そして老若男女すべてを対象とする読者層の広さと、ジャンルの多様性に特徴があるとされる[26]

そのほかの国家の漫画については、中国の漫画香港の漫画台湾の漫画中国語版韓国の漫画フィリピンの漫画マレーシアの漫画インドの漫画トルコの漫画の各記事を参照のこと。

産業

産業としての漫画の市場規模は、日本が突出して大きく、他国の数倍以上の規模を持っている。アメコミ・マンガ・バンドデシネなどすべての漫画を含めた2008年度の漫画の売り上げは、日本が4,483億円、アメリカが281億円、フランスが246億円と推定されており、そのほかの国はさらに小さなものとなっている[19]。その後は日本が伸び悩む一方で世界的には市場は伸長し、2017年度には日本39億ドル、アメリカ10億ドル、中国8億ドルの順となっている[27]。日本では出版物の3分の1を漫画が占めるほど大きな地位を占めているが、1995年以降漫画の売り上げは長期低落傾向にある[28]。ただし2020年にはCOVID-19のパンデミックによる巣ごもり需要の急拡大や、電子書籍需要の急増、そして「鬼滅の刃」の大ヒットによって減少傾向が一転し、前年比23.0%増の6,126億円となって過去最大の売上高を記録した[29]

漫画は単体のみならず、アニメ映画のコンテンツ供給源としても重要である[28]。これは日本のみならず、アメリカンコミックや中国[30]においても同様の傾向がみられる[19]

日本では漫画家1人か作画とシナリオの2人にアシスタントが補助するスタイルで制作され、作家個人の才能に依存するという意識が強いが、近年ではアニメーション制作アメリカン・コミックスのようにプロット、シナリオ、ネーム、下書き、背景、彩色などを分業化したスタジオ形式で制作される例もある[31]

脚注


注釈

  1. ^ 日本漫画家協会の英称はTHE JAPAN CARTOONISTS ASSOCIATIONであり、マンガ大賞の英称もCartoon grand prizeである。
  2. ^ 同様に銃器の取り扱いなどを解説する学習アニメも企画され、ディズニーなどが請け負っていた。これらは終戦後には廃れており、幼児教育向けのみが残っている。

出典

  1. ^ 茨木正治『メディアのなかのマンガ』臨川書店、2007年。ISBN 9784653040118 
  2. ^ 漫画会館所蔵品展「楽天・異国へのまなざし」”. さいたま市プラザノース (2011年1月). 2014年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月10日閲覧。 “(北沢)楽天は政治風刺画や風俗漫画の執筆で活躍した日本で初めての職業漫画家でした。明治期に外国から入ってきた「comic(コミック)」「cartoon(カートゥーン)」の訳語として漫画という言葉を広めたのもまた、楽天でした。”
  3. ^ 「マンガジャンル・スタディーズ」p3 茨木正治編 臨川書店 平成25年4月30日初版発行 ISBN 4653041962
  4. ^ 「平常、舗中ニ在ツテ梧ニ凭リ、偶、夫ノ貴賎士女老少等ノ大路ニ交加スル所ヲ漫畫シ」 山東京伝『四時交加』(1798年)序文
  5. ^ 北斎漫画 - 近代デジタルライブラリー
  6. ^ 「マンガ文化 55のキーワード」(世界文化シリーズ別巻2)p9 竹内オサム・西原麻里編著 ミネルヴァ書房 2016年2月25日初版第1刷発行
  7. ^ 世古紘子 (2021年2月27日). “関心高まる仏語圏漫画「バンド・デシネ」 政治や移民 深いテーマ”. 中日新聞Web. 2023年3月3日閲覧。
  8. ^ 雑賀忠宏 (2020年3月6日). “メキシコの知られざる大衆漫画「イストリエタ」 ルチャ・リブレのレスラーら庶民の英雄像描く”. 好書好日. 2023年3月3日閲覧。
  9. ^ 「マンガ文化 55のキーワード」(世界文化シリーズ別巻2)p4-7 竹内オサム・西原麻里編著 ミネルヴァ書房 2016年2月25日初版第1刷発行
  10. ^ Perry, George; Aldridge, Alan (1989 reprint with introduction). The Penguin Book Of Comics. Penguin. ISBN 0-14-002802-1. p.31
  11. ^ Beerbohm, Robert (2003) The Adventures of Obadiah Oldbuck Part III. The Search For Töpffer In America. Retrieved on May 30, 2005.
  12. ^ Weiss, E. Enter: The Comics, University of Nebraska Press, Lincoln, pp.4. (1969)
  13. ^ 「アメリカン・コミックス大全」p12 小野耕世 晶文社 2005年11月20日初版
  14. ^ a b 「はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド」 (玄光社MOOK) p14 原正人監修 玄光社 2013年7月7日初版発行
  15. ^ 「アメリカン・コミックス大全」p15 小野耕世 晶文社 2005年11月20日初版
  16. ^ 「アメリカに日本の漫画を輸出する ポップカルチャーのグローバル・マーケティング」p141-142 松井剛 有斐閣 2019年3月15日初版第1刷発行
  17. ^ 日本の漫画と西洋漫画の違いを山藤章二は『ヘタウマ文化論』(岩波新書)p.159で“日本漫画のそれは、筆の運びが持つ「徘味」と「描いてないところを想像させる空間の面白さ」と言った、いわば「落語の間(ま)に通ずる空気感があるのです。/西洋漫画のそれは、「面白い所(アイデア)は描く」のです。描かないで読者の想像力にまかせる、ということはほとんどない、文化の違いでしょう。”と書いている。
  18. ^ 樹崎聖 (2016年11月13日). “なぜ日本人は「アメコミ」を読まず、米国人は「MANGA」を読まないのか? 現役漫画家が特別寄稿で教えます”. クーリエ・ジャポン. 2023年3月3日閲覧。
  19. ^ a b c 増田弘道 (2012年9月12日). “アメコミ市場は日本の10分の1、世界のマンガ市場を見る(後編)”. ITmedia ビジネスオンライン. 2023年3月3日閲覧。
  20. ^ 「はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド」 (玄光社MOOK) p88 原正人監修 玄光社 2013年7月7日初版発行
  21. ^ 「アメリカに日本の漫画を輸出する ポップカルチャーのグローバル・マーケティング」p141 松井剛 有斐閣 2019年3月15日初版第1刷発行
  22. ^ 「アメリカに日本の漫画を輸出する ポップカルチャーのグローバル・マーケティング」p36 松井剛 有斐閣 2019年3月15日初版第1刷発行
  23. ^ 「はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド」 (玄光社MOOK) p18 原正人監修 玄光社 2013年7月7日初版発行
  24. ^ 「はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド」 (玄光社MOOK) p15 原正人監修 玄光社 2013年7月7日初版発行
  25. ^ 荒岡瑛一郎 (2021年9月22日). “漫画のカラー化、AIが肩代わり 精度100%ではなくても有用なワケ”. ITmedia NEWS. 2023年3月3日閲覧。
  26. ^ 「アメリカに日本の漫画を輸出する ポップカルチャーのグローバル・マーケティング」p36-42 松井剛 有斐閣 2019年3月15日初版第1刷発行
  27. ^ 韓国発の電子コミック注目 近年急増、世界市場で存在感 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト at the Wayback Machine (archived 2020-07-03)
  28. ^ a b 増田弘道 (2012年9月11日). “出版物の3冊に1冊を占めるけど……危機を迎える日本のマンガ(前編)”. ITmedia ビジネスオンライン. 2023年3月3日閲覧。
  29. ^ 「2020年のコミック市場規模発表 紙+電子で23.0%増の6,126億円、統計開始以来史上最大 紙は13.4%増、電子は31.9%増」公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所 2021年2月25日 2021年3月21日閲覧
  30. ^ 竹内亮 (2022年3月2日). “「未だに日本が世界一だと勝手に考えているだけなのです…」中国に移住した“サラリーマン漫画家”が語る“日本漫画界”のリアルな現状”. 文春オンライン. 2023年3月3日閲覧。
  31. ^ 三木美波 (2022年3月15日). “あのDMMがWebtoon事業に参入、本気の資本と戦略ではじまるGIGATOON!代表取締役とCOOインタビュー”. コミックナタリー. 2023年3月3日閲覧。


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