溶存酸素量 溶存酸素量の概要

溶存酸素量

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/24 13:23 UTC 版)

測定方法

隔膜電極法
酸素透過性のプラスチックで被覆されたカソードアノードの両極の間隙を電解質で満たす。その両極を試料液に入れると、試料中の酸素分子が皮膜と電解質の中を拡散し、カソード表面に到達して還元される。このとき流れる電流は酸素分子の拡散に比例するので、そこから溶存酸素量を求めることができる。隔膜電極には、主に定電位電解法とガルバニセル法がある。定電位電解法は外部電源を用いてカソードの電圧を一定化するのに対し、ガルバニセル法は、卑金属電極をカソードと組み合わせ、一定の電圧を得る。
ウインクラー法
試料水に塩化マンガン溶液を加え、次にヨウ化カリウム/水酸化ナトリウム混合溶液を加えると、水酸化マンガンが生成され、さらに水中の酸素と反応して溶存酸素の量だけ酸化され沈澱する[1]。この沈殿は、ヨウ化物イオンと酸を加えて溶解すると溶存酸素量に比例してヨウ素を遊離するので、これをヨウ素と反応するチオ硫酸ナトリウムで滴定して定量する。
上記のオリジナルの方法には誤差要因が内在し、カーペンターにより分析試薬に由来する酸素以外の要因をほぼ無視できる改良手法が考案された[1]。これは上記の塩化マンガン溶液とヨウ化カリウム/水酸化ナトリウム混合溶液の代わりに、硫酸マンガン溶液と水酸化ナトリウム溶液を用いるものである。
ウインクラーアジ化ナトリウム変法
ウインクラー法による溶存酸素量測定の精度向上を図った方法で、ウインクラー法の最終工程であるチオ硫酸ナトリウムによる遊離ヨウ素の滴定の後、残余の遊離ヨウ素をでんぷん溶液で再度滴定する方法。
比色法
試料と試薬を混ぜ、発色の濃さで確認する。簡易的な試験法であり、有効数字は1桁程度に過ぎない。試薬は、溶存酸素測定キットとして市販されている。

飽和溶存酸素量

飽和溶存酸素量は、気圧、水温、溶存塩類濃度などによって変化する。一般に、気圧が高いほど、水温が低いほど、飽和溶存酸素量は多い。以下は蒸留水、1 atm 下における各温度の飽和溶存酸素量である。横軸は温度の小数点以下の部分、縦軸は温度の整数部分である。例えば5.5℃の場合は、縦軸:5、横軸:0.5を参照し12.22を得る。

蒸留水、1 atmにおける各温度の水中の飽和溶存酸素量(mg-O/L)
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
0 14.15 14.12 14.08 14.04 14.00 13.97 13.93 13.89 13.85 13.81
1 13.77 13.74 13.70 13.66 13.63 13.59 13.55 13.51 13.48 13.44
2 13.40 13.37 13.33 13.30 13.26 13.22 13.19 13.15 13.12 13.08
3 13.04 13.01 12.98 12.94 12.91 12.87 12.84 12.81 12.77 12.74
4 12.70 12.67 12.64 12.60 12.57 12.54 12.51 12.47 12.44 12.41
5 12.37 12.34 12.31 12.28 12.25 12.22 12.18 12.15 12.12 12.09
6 12.06 12.03 12.00 11.97 11.94 11.91 11.88 11.85 11.82 11.79
7 11.75 11.73 11.70 11.67 11.64 11.61 11.58 11.55 11.52 11.50
8 11.47 11.44 11.41 11.38 11.36 11.33 11.30 11.27 11.25 11.22
9 11.19 11.16 11.14 11.11 11.08 11.06 11.03 11.00 10.98 10.95
10 10.92 10.90 10.87 10.85 10.82 10.80 10.77 10.75 10.72 10.70
11 10.67 10.65 10.62 10.60 10.57 10.55 10.53 10.50 10.48 10.45
12 10.43 10.40 10.38 10.36 10.34 10.31 10.29 10.27 10.24 10.22
13 10.20 10.17 10.15 10.13 10.11 10.09 10.06 10.04 10.02 10.00
14 9.97 9.95 9.93 9.91 9.89 9.87 9.85 9.83 9.81 9.78
15 9.76 9.74 9.72 9.70 9.68 9.66 9.64 9.62 9.60 9.58
16 9.56 9.54 9.52 9.50 9.48 9.46 9.45 9.43 9.41 9.39
17 9.37 9.35 9.33 9.31 9.30 9.28 9.26 9.24 9.22 9.20
18 9.18 9.17 9.15 9.13 9.12 9.10 9.08 9.06 9.04 9.03
19 9.01 8.99 8.98 8.96 8.94 8.93 8.91 8.89 8.88 8.86
20 8.84 8.83 8.81 8.79 8.78 8.76 8.75 8.73 8.71 8.70
21 8.68 8.67 8.65 8.64 8.62 8.61 8.59 8.58 8.56 8.55
22 8.53 8.52 8.50 8.49 8.47 8.46 8.44 8.43 8.41 8.40
23 8.39 8.37 8.36 8.34 8.33 8.32 8.30 8.29 8.27 8.26
24 8.25 8.23 8.22 8.21 8.19 8.18 8.17 8.15 8.14 8.13
25 8.11 8.10 8.09 8.07 8.06 8.05 8.04 8.02 8.01 8.00
26 7.99 7.97 7.96 7.95 7.94 7.92 7.91 7.90 7.89 7.88
27 7.87 7.85 7.84 7.83 7.82 7.81 7.79 7.78 7.77 7.76
28 7.75 7.74 7.72 7.71 7.70 7.69 7.68 7.67 7.66 7.65
29 7.64 7.62 7.61 7.60 7.59 7.58 7.57 7.56 7.55 7.54
30 7.53 7.52 7.51 7.50 7.48 7.47 7.46 7.45 7.44 7.43

  1. ^ a b 宮尾孝、梅田振一郎、髙谷祐介、永井直樹 (2013). “溶存酸素量測定の高精度化”. 測候時報 80 (特別): S150. https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/sokkou-kaiyou/80/vol80s149.pdf. 
  2. ^ 藤井 哲雄 『基礎からわかる金属腐食』 p.2、p.37、p.38 日刊工業新聞社 2011年2月25日発行 ISBN 978-4-526-06616-0
  3. ^ 藤井 哲雄 『基礎からわかる金属腐食』 p.14、p.58、p.73 日刊工業新聞社 2011年2月25日発行 ISBN 978-4-526-06616-0


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