湘南ヘルスイノベーションパーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 22:33 UTC 版)
建築
南東側の東海道線[注釈 4]の線路に沿い、約22万m2の敷地面積を持つ。南端にセンターステーション棟(CS棟)があり、線路から敷地内の池を挟んで研究棟が並ぶ。研究棟部分は最下階を連続した基壇とし、その上に5棟の10階建ての研究棟が載せられた構造を持つ。上部構造は、柱にコンクリート充填角形鋼管、梁にH形鋼を用い、奥行約170m、5棟を合わせた長手方向は約330mに及ぶ。当初はCS棟を含めた一体の免震構造とする計画であったが、機能と耐震性のバランスや、地震発生時の研究棟の振動性状を考慮し、研究棟を免震構造、CS棟は耐震構造とした[3]。大阪・十三の武田の旧工場に設計室を設け、設計事務所や建設会社の意思疎通を図り、設備のユニット化などの工夫により21か月半という短期間の工期での建設が実現した[1]。「森の中の研究所」のコンセプトがあり、敷地内の既存の緑地は可能な限り残されている[10]。
研究棟を貫く「ブロードウェイ」と呼ばれる通路の結節点には「ノマド」と呼ばれるコミュニティスペースがあり、施設内にはコンビニエンスストアや保育施設、スポーツジム、バーなども設けられている[1]。武田湘南研究所から湘南アイパークに改めるに際し、畳敷きのラウンジやビリヤードコーナー、海辺のテラスのようなコミュニケーションスペースなど、研究者同士の交流を促進する場が設けられた[17]。実験室の上下には設備の保守を行いやすいよう1層分の空間が用意され、モジュール化された什器や机は、プロジェクトごとの人や機材の臨機応変な移動を容易にした[1]。本建物は、2013年に日本建設業連合会主催の第54回BCS賞[10]、第1回CM選奨[20]を受賞している。
線路沿いの道路には大船駅と藤沢駅を結ぶ江ノ電バスが運行されており、湘南アイパークの正門前に停留所が設けられている。東海道貨物線にはかつてこの近くに湘南貨物駅があり、跡地を活用して東海道線の旅客駅(仮称 村岡新駅)の建設が予定されている[5]。
注釈
出典
- ^ a b c d “武田薬品工業 湘南研究所(プロジェクト概要)”. 山下PMC. 2021年5月17日閲覧。
- ^ “武田薬品工業湘南ヘルスイノベーションパーク”. 竹中工務店. 2021年5月17日閲覧。
- ^ a b c d e f g 竹中工務店「免震建築紹介 武田薬品工業株式会社湘南研究所」(PDF)『MENSHIN』第75巻、日本免震構造協会、2012年2月、4-8頁、2021年5月23日閲覧。
- ^ a b “見えた長谷川改革の全貌 武田薬品、復活への格闘”. 会社四季報ONLINE. (2013年2月2日) 2021年5月23日閲覧。
- ^ a b “村岡新駅周辺地区整備事業及び都市計画に関する説明会” (PDF). 藤沢市役所都市整備部 都市整備課・計画建築部 都市計画課. 2022年1月10日閲覧。
- ^ “年表検索「武田 長兵衞」”. 大阪企業家ミュージアム. 2021年2月23日閲覧。
- ^ “武田薬品工業湘南研究所プロジェクト 人と組織を動かす、意思決定のしくみ”. 山下PMC. p. 1. 2021年2月23日閲覧。
- ^ “武田薬品工業の研究所移転のプラス面を考える”. 大阪都市経済調査会 (2006年11月22日). 2021年5月23日閲覧。
- ^ “旧:武田薬品工業株式会社湘南研究所の概要について”. 湘南アイパーク. 2021年5月22日閲覧。
- ^ a b c “第54回受賞作品(2013年)武田薬品工業株式会社湘南研究所”. 日本建設業連合会. 2021年2月23日閲覧。
- ^ “タケダの敷地に出現した「湘南アイパーク」とは何か?”. Beyond Health(日経BP) (2019年5月13日). 2021年5月23日閲覧。
- ^ “武田薬品、「苦節10年」湘南研究所の成果に託す次の成長”. 日経産業新聞. (2021年5月3日) 2021年5月23日閲覧。
- ^ “武田薬品、湘南研究所で事業開始 創薬研究承継の新会社”. 神奈川新聞カナロコ. (2017年7月12日) 2021年5月23日閲覧。
- ^ 『持株会社体制への移行に関するお知らせ』(プレスリリース)Axcelead Drug Discovery Partners 株式会社、2020年4月1日 。2021年5月23日閲覧。
- ^ 高橋厚妃 (2017年10月18日). “日経バイオテクONLINE Vol.2785 武田薬品湘南研究所の変革”. 日経バイオテク(日経BP). 2022年1月16日閲覧。
- ^ 高橋厚妃 (2017年10月13日). “慶應大岡野教授のベンチャー、武田湘南研究所スペースや機器など利用へ”. 日経バイオテク(日経BP). 2022年1月16日閲覧。
- ^ a b 高橋厚妃 (2018年4月25日). “日経バイオテクONLINE Vol.2911 武田薬品の旧湘南研究所内の変貌”. 日経バイオテク(日経BP). 2022年1月16日閲覧。
- ^ “武田薬品のリストラの舞台“湘南研”、再び革新の揺りかごに”. 日経ビジネス (2021年8月5日). 2022年1月16日閲覧。
- ^ IIF 湘南ヘルスイノベーションパーク | IIF 産業ファンド投資法人
- ^ “【CM】第1回CM選奨の優秀賞に「武田薬品湘南研究所プロジェクト」 CM協会”. 建設通信新聞. (2014年6月14日) 2021年5月17日閲覧。
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