法人 法人の能力

法人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/21 17:29 UTC 版)

法人の能力

権利能力

法人には権利能力が認められるがその範囲が問題となる。

性質上の制限

自然人に特有の性別・年齢・親族(結婚や養子など)などの権利義務は法人には発生しない[15][16]。法人には生命権や肖像権などは観念できない[16]。なお、通説では法人にも名誉権はあるので名誉毀損が成立するとしているが[16]、端的に法人に対する損害の発生の問題として処理すべきという説もある[17]

法人は「生存する個人」(個人情報保護法2条1項)ではないので個人情報保護法の保護適用対象とならない(ただし、その役職員については生存する個人であるのでそのように扱われる。)。

法令上の制限

法人格は法令によって認められたものである。法人の能力は法令による制限を受ける[18]

目的上の制限

法人は一定の目的をもって人為的に形成される組織体であり能力は定款で定める目的に制限される[18]

日本の民法は、法人の権利能力に対しては極めて謙抑的な態度をとり、民法第34条において「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」と規定している。これは、英米法におけるUltra Viresの法理によるものである。判例は、同条のいう「目的の範囲」を柔軟に解釈している。 八幡製鉄事件の判決では、定款に定めた目的の範囲内で権利能力があるが、目的の範囲内とは、明示されたものだけではなく、定款の目的を遂行するのに必要ならすべての行為が含まれるとした。

行為能力

法人擬制説と法人実在説で結論が異なる。法人擬制説では、法人とは法が特に擬制した権利義務の帰属点に過ぎないから、行為能力を認める必要はなく、代理人たる理事の行為の効果が法人に帰属するという構成をとる。対して、法人実在説では、法人は自ら意思を持ち、それに従い行為するのであり、法人の行為能力が認められるということになる。


  1. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、134頁。ISBN 978-4535515963
  2. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、135頁。ISBN 978-4535515963
  3. ^ a b 神田秀樹『会社法 第16版』弘文堂、4頁。ISBN 978-4335304606
  4. ^ a b c d 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、121頁。ISBN 978-4656300110
  5. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、141頁。ISBN 978-4535515963
  6. ^ a b c d 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、124頁。ISBN 978-4656300110
  7. ^ 河上正二『民法総則講義』日本評論社、144頁。ISBN 978-4535515963
  8. ^ 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、123頁。ISBN 978-4656300110
  9. ^ 河上正二『民法総則講義』日本評論社、132頁。ISBN 978-4535515963
  10. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、139頁。ISBN 978-4535515963
  11. ^ a b 河上正二『民法総則講義』日本評論社、138頁。ISBN 978-4535515963
  12. ^ 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、126頁。ISBN 978-4656300110
  13. ^ a b c d e f g 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、125頁。ISBN 978-4656300110
  14. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、140頁。ISBN 978-4535515963
  15. ^ 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、129頁。ISBN 978-4656300110
  16. ^ a b c 河上正二『民法総則講義』日本評論社、140頁。ISBN 978-4535515963
  17. ^ 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、130頁。ISBN 978-4656300110
  18. ^ a b 河上正二『民法総則講義』日本評論社、140頁。ISBN 978-4535515963
  19. ^ a b c 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、148頁。ISBN 978-4656300110


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