桂馬 概要

桂馬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/22 09:38 UTC 版)

概要

通称は「桂」。駒の名は平安時代当時の貴重品である香料の一種「肉桂」から由来する。本将棋では全ての駒の中で唯一他の駒を飛び越えて敵陣へ進撃できる反面、チェスのナイトと異なり、前2方向にしか進めず後退などが出来ない。主に攻撃を担う駒である。ただし、初期位置にいる場合しばしば防御の要の駒にもなりうる。持ち駒になると他の駒を飛び越せるという性格を活かして、囲いを崩さず敵玉を詰みにしたり効果的な活用がなされる。

成駒である成桂は、金将と同じ動きになり6方向に進めるようになるものの、特徴のある動きが無くなり他の駒を飛び越えることも出来なくなる。このため成、不成は後の戦局にも強い影響を及ぼすため、判断が難しい。本将棋では成れる駒のうち、生駒と成駒とで共通する動きを持たない唯一の駒でもある。ただし、行き所のない駒は禁じ手なので桂馬の不成を選択できるのは、敵陣三段目に限られる(初期位置から移動した場合必ず敵陣三段目に移動する)。一段目(敵陣のもっとも奥)及び二段目に桂馬を打つことはできず、一段目及び二段目に盤上の桂馬を進めた場合は必ず成らなければならない。特に敵陣二段目に打てない(盤上の駒を進めた場合も成らなければならない)のは本将棋ではこの桂馬が唯一である。また、桂馬により王手がされた場合は、飛車竜王)・角行竜馬)・香車による離れた場所からの王手とは異なり、合駒により王手を回避することができない。このため、(特に詰将棋において)1枚で玉将を詰ませるといった場面も見られる。

桂馬は歴史的にはチャトランガの馬に相当する駒である。海外の将棋系ゲームでは日本将棋の桂馬に相当する位置に、チャトランガの馬に相当する駒が配置されている。チェスではナイト、シャンチーでは馬・傌チャンギでは馬、マークルックではマー(馬)が将棋の桂馬およびチャトランガの馬に相当する駒である。しかしチェスからマークルックまでいずれも八方桂の動きとなっており(シャンチーやチャンギではそれぞれ塞馬脚、ミョクと呼ばれる制限がある)、日本将棋の桂馬のみが前2方向のみの動きである。日本将棋の当初の桂馬の動きも、チャトランガの馬が八方桂だったことから、チェスやシャンチー(中国象棋)などと同様に八方桂だったのではないかという説がある。しかし平安将棋では既に前2方向の動きだったと考えられており、チャトランガの馬が前2方向の動きだったのがそのまま将棋の桂馬の動きとなり、チェスやシャンチーなどが変遷を遂げる過程で動きが強化されたという説もある。

桂馬の駒字の表現としては、「桂」の「木」へんは右側が略されて、つくりの「圭」は中央が縦一本につながっているものが多いが、巻菱湖では「木」へんの右側が略されず、鵞堂では「圭」の縦画はつながっていないなどの例外もある。また「馬」の4つの点はそのまま表現されることが多いが、それが一本の棒になっている書体も数は少ないが関根名人書などに見られる。成桂の「金」の崩し文字の表現は、将棋以外の分野での古文書では少ない表現である。




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